【東武東上線】どうして「特急」はまったく走っていないのか?

東武東上線には「特急」という列車種別が存在しない。かつてはあったものの、現在では快速急行・TJライナーが一番最速となっている。どうして本線系統とは違ってまったく走っていないのか。その理由に迫る。




かつては東上線にも特急という列車があった。しかし、停車駅は今の快速急行と同じであり、特急券もいらない追加料金なしの電車であった。

現在では座席整理券が必要なTJライナーが走っているが、使われている車両はふつうの通勤型電車である。座席は転換クロスシートになっているが、特急専用車ではない。長距離用の列車というよりは単に確実に座れるという性質の電車であると考えてよい。

東上線

速達性に関しても、各段に速いというわけではない。追加料金がかかるTJライナーでさえも、その値段は310円または410円と安い。JRのグリーン車のような電車といえるかもしれない。

特急がない理由は?

東武東上線の総延長は75.0km(池袋~寄居)であるが、小川町駅で系統分離されるため、実質的には64.1kmである。日光線や伊勢崎線の場合は遠方に観光地があるため、そうした行楽地へ向かう人のために特急列車を走らせている。

これは小田急や西武、京成などにも当てはまることだが、首都圏のはずれに観光スポットを持っている路線の特徴といえる。

東武東上線の場合も観光スポットはあるものの、都心部からあまり遠くはない。どちらかというと通勤路線という性質を持っている。高い追加料金がかかる特急列車の需要そのものがない。

さらに高密度運転が行われていて、各停から急行・快速・快速急行といったさまざまな種別の電車が走っている。

速達列車にも輸送力が求められている。通勤電車にしてできるだけ多くの乗客を一度に運ぶことが課題となっている。

TJライナーとは、座席整理券のいる優等列車ではあるが、これは近中距離利用者であるが座って電車に乗りたいという人向けのものであり、本線のような長距離利用の特急とは性質が違う。

ダイヤが過密すぎる

さらに、東武東上線はそもそもダイヤが過密状態にあるため、従来の列車に加えて特急をはせらせる余裕がないのもまた事実だ。

東武スカイツリーラインでは複々線区間が長い。線路容量にもそれなりに余裕がある。特急が最高速度を十分に維持しながら走行できる環境になっている。

一方の東上線にはそんな余裕はない。複線区間に東武池袋へ行く電車と副都心線直通の電車が走っている。ここに特急を入れたとしても、徐行運転を余儀なくされる。設備のことを考えても現実的には不可能としか言えない。

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