東京メトロ/都営地下鉄の合併のメリットとは!? 分かりやすく解説

東京メトロと都営地下鉄

東京メトロと都営地下鉄の合併(統合)で利用者が得られるメリットとは、何よりも運賃の統一化。

これまでのところはそれぞれ別料金に設定されていて、互いに乗り換えるとそれぞれの初乗り運賃が取られる。

距離に対して割高になってしまい、乗客にとっては大きなデメリットとなっている。これが解消されるのが理想なのは言うまでもない。


東京の地下鉄の一元化のメリット

主なメリット 利点の度合い 詳細な内容
運賃の共通化 ★★★★★ 運賃制度が共通になることで総支払額が減少
経営の効率化 ★★★ 1つの事業者になることで経営が効率的に

東京都内の2つの地下鉄が一元化されることで得られるメリットは上記の2点。

利用者である乗客によってのメリットは、特に最初の「運賃の共通化」である。

参考:都営地下鉄と東京メトロの違いとは!? 3つの相違点あり!

運賃の共通化

運賃制度

今のところ、東京メトロと都営地下鉄ではそれぞれ運賃制度が分かれている。

東京メトロでは自社で決めた運賃表を採用。一方の都営地下鉄も自局で決めた運賃表を独自に使用。

例えば、新宿→大手町を利用するとする。

交通手段としては次の2通りがある。

①都営新宿線に乗り、神保町駅にて都営三田線に乗り換えていくという方法
②東京メトロ丸ノ内線を利用する方法。

運賃はそれぞれで異なる。

①都営新宿線+都営三田線…220円
②東京メトロ丸ノ内線…200円

東京メトロの方が20円安いという結果になる。

東京メトロと都営地下鉄の運賃制度が共通化されると、ここでは200円になる。

東京メトロ+都営地下鉄を利用する場合、乗客はそれぞれの運賃を別々に支払うこととなっている。

例えば、渋谷→大門の移動の場合は、半蔵門線で青山一丁目駅まで行き、ここで都営大江戸線に乗り換えるというルートになる。

しかし、半蔵門線と大江戸線では鉄道事業者が異なるため、それぞれ別々に運賃を支払うことになる。

・渋谷→青山一丁目:170円
・青山一丁目→大門:180円

運賃特例 「他社間割引」が適用されて合計運賃(350円)から70円引になって280円に。

それでも全線が東京メトロだった場合は200円に収まる。

もし運賃制度が統合されればもっと割安な料金に切り替わり、乗客にとって大きなメリットになること間違いない。

経営効率化

経営の効率化

もう1つのメリットが経営の効率化。

こちらは利用者には直接的に良い点はないかもしれない。

それでも会社の運営にてあらゆる無駄が少なくなることが期待される。

運転本数が増えたり、新型車両が積極的に導入されたり、駅構内のトイレがきれいになったりなどの恩恵があるかもしれない。

そもそも何で2つに分離?

◎東京都23区内の地下鉄事業者の推移

  • 戦前:民間企業「東京地下鉄道」が建設・運営
  • 戦後:交通営団が政府主導の元で建設・運営
  • 高度経済成長期:営団地下鉄単独では需要に対応できるほど建設が追い付かず、東京都単独での建設を容認
  • 現在:政府が赤字気味の都営地下鉄の吸収に反対、東京メトロの上場を試みる

東京23区内に東京メトロと都営地下鉄という2種類の鉄道事業者が存在し、しかも共存している理由は過去の歴史にある。

戦前から民間資本の元で建設され、太平洋戦争が勃発してからは実質的に国営化されたが、ここまでは1つの事業者のみだった。

転換点は高度経済成長期。急ピッチで都内の地下鉄網を建設する必要性があったことで、2つ目の事業者になる東京都交通局が登場。

最初はメトロのみだった

銀座線

もともと地下鉄の建設と運営を行ってきたのは東京メトロ。営団地下鉄の時代からは政府の主導にて多数の路線の建設を行ってきた。

最初の路線である銀座線は戦前の東京地下鉄道株式会社の時代。この時は完全に民間企業だった。

しかし、戦時中の鉄道事業者の統合の流れによって、首都東京の地下鉄は政府の影響下に置くのが好ましいということで「交通営団」に吸収された。

急拡大する交通需要への対応のため都が参入

その後は政府が中心となった団体として経営されてきたが、戦後の高度経済成長期によって次々と地下鉄が建設された。

しかし、地上の交通量の増加が急拡大する一方、新規路線の建設のスピードが追い付かない状態に陥る。

需要に対して供給が追い付かない状況下で、東京都による地下鉄の建設も要因されることとなった。

一方、この時点では営団地下鉄がすべての路線網を建設し終えた後は都営地下鉄との経営統合がされるという前提で2つの事業者の存在が認められた。

政府(国)が統合に消極的

それが、現在では大幅な黒字の東京メトロと黒字幅が小さい都営地下鉄の収益力の格差があることで、東京メトロの株主である政府が消極的な姿勢を見せている状態が続いている。

都営地下鉄を吸収すると企業価値が落ちるとの不安の声により、今でも一元化が実現していない。

営団地下鉄は長年にわたって黒字経営が続いてきた。

一方の都営地下鉄は浅草線・三田線が赤字気味。これを抱えたくないという本音が東京メトロのバックにいる政府の本音。

東京メトロと都営地下鉄の運賃制度

東京メトロと都営地下鉄の距離ごとの運賃表は以下のようになっている。

同一距離ごとの運賃の違い
営業キロ数 東京メトロ 都営地下鉄
5km 170円 180円
10km 200円 280円
15km 250円 280円
20km 290円 330円
25km 290円 380円
30km 320円 430円
35km 320円 430円
40km 320円 430円

東京メトロと都営地下鉄の乗り継ぎ割引:合計金額から70円引

上記の表はそれぞれのキロ程毎の切符料金を示したもの。

それぞれ別々の料金が適用され、しかも距離対運賃も金額が異なる。

営業キロ数が同じだった場合、東京メトロの方が安い値段なのが読み取れる。

なお、東京メトロと都営地下鉄を同時に利用する場合は「乗り継ぎ割引」という割引制度があり、合計金額から70円引く形になる。

利用者によっては多少なりメリットになるものの、それでも別料金に近い状態。一元化ほどのメリットではない。