京阪電鉄の複々線化工事の延長、もう計画はゼロ!?

京阪本線で複々線化が今の寝屋川信号所から先の京都側まで延長される計画はもはやゼロなのか。公式発表によると、事業はすでに1980年に完了したとされている。大阪都市圏の鉄道輸送力としては十分という意見が多い。

京阪電鉄では、1933年から複々線化が進められてきた。もともとは路面電車だったが、線路を高架化して今のような都市高速鉄道へと切り替わったという歴史を持つ。

路面電車発祥の鉄道路線ということで、駅間距離が全体的に短い。並行する阪急京都線と比べても、駅間は数百メートルしか離れていないところも多数存在している。

京阪の複々線

出典:航空・鉄道撮影記より
hatitota-tc115-398.blog.so-net.ne.jp/2012-09-09

駅数が多い線路を、各駅停車と急行系の電車が走るのは昔から難しかった。そのため、全国的にも早い段階から複々線化を重視してきてのが京阪電鉄というわけだ。


複々線化の延長計画がない理由とは?

京阪電鉄では平成に入ってからは、沿線の人口が減少傾向にある。それに伴って、乗客の数も年々減少する傾向にある。

少子高齢化が進んでいるのと同時に、東京一極集中が進んでいることもあって、大阪都市圏の人口が早いペースで減っている。

これにより、今日の京阪本線では輸送力の強化は特に重要視されていない。ラッシュの時間帯は混雑することには変わりないが、それでも線路を上下線1本ずつ追加するほどの需要がない。

京阪

寝屋川信号所から大阪側はすでに複々線となっているが、これで十分のようだ。さらに延長するほど設備投資する必要がないため、延長する計画は完全にゼロとなっている。

なお、関西地区ではどの鉄道会社も複々線化を進めている事例は今のところない。どの路線でも、輸送力の強化は課題とはなっていないためだ。

それよりも、各鉄道会社では踏切をなくすための連続立体交差事業に積極的に取り組んでいる。地上を走る線路を高架化や地下化ことで、踏切における地域の分断や渋滞を解消させると期待されている。

かつては大混雑だった

複々線化が必要ないほど輸送力が間に合っている京阪本線だが、かつては大混雑していた。輸送力が大幅に不足していた時代があり、列車の運行本数を増やすために複々線化が積極的に行われた理由となった。

戦前、大阪市は東京を抜いて日本一人口が多い都市であった。京阪本線の需要も毎年増加傾向であったため、電車の本数を大幅に増やせるような設備が求められていた。

これにより、戦前から京橋~守口市間にて複々線化が行われ、私鉄としては初めての事例となった。戦後の高度経済成長期に入ると、今度は大阪市のドーナツ化現象とともに郊外と大阪市への輸送需要が増えた。

これにより、朝ラッシュとなると京阪本線は大混雑だった。積み残しが発生するケースも日常茶飯事で、寝屋川信号所までの複々線化が実施される要因となった。

人口減少と東京一極集中が顕著となり、輸送人員が減ったのはオイルショック後の安定成長期のことである。

さらに、混雑が緩和されて輸送力と需要が均等になり始めたのはバブル後のこと。そして、今後はますます需要が減ると見込まれている。

おすすめ記事