九州新幹線で300km/h運転はやらない!? なぜ遅いままに?

九州新幹線の最高速度は現時点では260km/hに抑えられている。みずほ・さくら・つばめのどの種別も出せるスピードの上限は同じである。なぜ、山陽新幹線のように300km/hまで引き上げないのか。

2004年に新八代~鹿児島中央間が部分開業した。800系の車両が投入され、つばめ号として運転された。しかし、この時は全線開業はまだ実現されていなく、博多駅から新八代駅までは「リレーつばめ」という在来線特急で代用していた。

2011年にようやく全線開業が果たされた。九州新幹線では、最速列車に「みずほ」、準速達列車に「さくら」という名称がつけられた。

九州新幹線

みずほとさくらは山陽新幹線へ直通し、新大阪駅まで乗り入れるようになった。車両も、山陽新幹線へ行く列車はN700系で運転されている。博多駅~新大阪駅間は300km/h運転を行っている。

しかし、N700系であっても、九州新幹線の博多~鹿児島中央間では260km/hが上限に設定されている。300km/hはあくまでもJR西日本が管轄している山陽新幹線内だけに限られている。


JR九州は300km/hに引き上げたい?

九州新幹線の最高速度が260km/hに抑えている現状は、JR九州の意思によるものではない。国の方針のため、低い速度に抑えられている。

九州新幹線は「整備新幹線」として建設された。これは、1984年に国会で制定された法律に基づいて作られた路線であり、この時に最高速度は260km/hとする方針が出された。

建設し、その後線路設備を保有するのは「独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構」という機関となっている。山陽新幹線のようにJR直営となっているわけではない。

九州新幹線のN700系

仮に最高速度を引き上げるとすると、鉄道・運輸機構の承認が必要になる。これには、国土交通省からの認可も必要になる。国を挙げてスピードアップに動かなければならないため、実現までにはかなりの年月がかかる。

JR九州では、九州各地と関西圏を中心とする本州との交通手段を航空機から新幹線にシフトしてもらうように、最高速度の引き上げたいという思いはある可能性が高い。

しかし、JR九州が単独では実現できないのが現状。300km/h運転をやりたくても、簡単には手を出せないというのが、今の状態なのだ。

最高速度引き上げ=運賃値上げ?

最高速度を引き上げて、300km/hまたはそれ以上にするためには、防音設備や電気設備の改良工事を行わなければならない。信号システムも更新が必要となる。

これには、莫大な費用がかかる。九州新幹線は近年完成したばかりの路線ということで、建設の際に発生した借金の返済も残っている。債務返済に加えて、追加工事費の負担が重なることとなってしまう。

仮に国の認可が出て、高速化への計画を実行するとなると、その費用を負担するのは乗客となる。運賃の値上げは間違いなく実施されるだろう。

しかし、値上げとなると遠距離利用者を中心に新幹線から飛行機へ移るケースが出てくる。乗客が少なくなれば、JR九州の収益は薄くなり、好まない結果を招く。

費用対効果を考えると、九州新幹線の260km/hという現状を300km/hに引き上げることを強く推し進める理由がない。当面は今の260km/hのままの状態が続くと私は考える。

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