【JR南武線】快速の本数が少ない! なぜ30分に1本だけなのか?

JR南武線の快速は、平日も土日も日中の時間帯だけ運転されている。その本数は少ない。平日は1時間当たり2本、30分間隔でしか走っていない。不便だという声も多く、増発してほしいという意見があるのは確かのようだ。

朝と夕方以降に快速がまったく走っていないのは、混雑緩和のためである。輸送力が不足気味になっているため、すべて各駅停車にすることで可能な限り電車の本数を多くしている。

しかし、昼間の時間帯はそうではない。本数も決して多くはない。線路の容量にもある程度は余裕がある。快速を走らせられないほどダイヤが過密状態であるわけではない。

南武線の快速の本数

それなのになぜ快速の本数は30分に1本しかないのか。その理由について、今回は調べてみた。


都心直結ではないため

南武線は川崎と立川を結ぶ路線ということで、山手線と接続する駅には乗り入れていない。都心部へ直結するわけでないということで、長距離速達化の需要がそれほど多くはない。

どちらかというと、沿線の住民の足という地域輸送に特化した路線である。そのため、通過駅が多い電車ではなく、小さな駅にも止まってくれる電車の方が需要が大きい。

平日は通勤通学で南武線を利用する人が多い。特に川崎市内は工場が沿線に多いことから、そこで働く従業員が多く乗る。

南武線の各駅停車

快速を多くするよりも各駅停車を多くするダイヤの方が利便性が高い。そんなわけで、30分に1本という本数の少なさとなっているものと考えられる。

土日祝日は、沿線の工場のほとんどは休みに入る。南武線も各駅停車を多くするよりも、快速をやや多くして速達性を確立する方に需要が傾く。

平日とは違って土日祝日は1時間当たり3本、20分間隔で快速が運転されているのは、小さな駅に止まる各停を多くする必要性が薄いためだろう。

快速が運転開始されたのは2011年から

ところで、南武線で快速が運転開始されたのは2011年のことで、ここ最近になってからの出来事である。

それまでは、昼間の時間帯であっても各駅停車だけが概ね10分間隔で走っていただけだった。神奈川県からの快速運転の要望は長年あったものの、運行会社のJR東日本では慎重的だった。

2011年からようやく快速の運転が始まった理由としては、沿線の人口減少の予想やオフピーク時の鉄道利用の促進などが挙げられるだろう。

各駅停車だけでは利用者数が現象していき、昼間の時間帯だと供給力過剰となり、さらに採算性も悪くなる可能性があったため、快速の運転を行って新たな需要を掘り起こしたと考えられる。

なお、国鉄時代も一時期は快速が存在していた。1969~1978年までの9年間走っていたが、その後は廃止された。この時の理由は、新型車両の投入で加速性能が向上したためだった。

当時は101系という電車が導入されて、それまで使われていた車両よりも大幅に加速性能と最高速度が向上したため、所要時間が従来よりも短くなり、快速が消滅した。

当時はまだ人口増加の成長期だったこともあって、各駅停車を多くして途中駅の利便性を向上させることが重要視されていた。今日の状態とは正反対。

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