
文系コンプレックスとは、基本的には理系への憧れのことを指す。
理系は文系に比べると就職に有利な点、仕事で活かせる専門性が身に付く点、社会への貢献度が高い点、数学が出来て頭がいい点などが具体的な内容。
大学生に加えて社会人でも「文系コンプレックス」を持つ人が少なくない。仕事内容や転職のしやすさが影響。
目次
理系への憧れ
理系への憧れのポイント | 文系コンプレックスへつながる理由 |
---|---|
就職で有利 | 理系を対象とする技術職の需要が高いことで、文系=必要ないという印象が湧きやすい |
仕事で活かせる学問を扱う | 工学、プログラミング、化学など就職後でも活かせる内容を学ぶ |
世の中の役に立つ | 科学技術の向上、企業活動(製品開発)に直結して社会の役に立つ |
頭がいい | 数学が得意な人が多いのが理系のため、頭がいいというイメージが強い |
文系コンプレックスと言えば、ほぼすべてが理系への憧れで生じる内容。
文理を比較した際に、文系より理系の方が高い評価を受けたり、獲得できる利益が大きい場合にはこのような一種の悩みが出る。
就職で有利・不利の問題

大卒の新卒採用の就職では、一般的に文系よりも理系の方が有利になりやすい。
参考:【就活】文系だと就職に不利!? 内定の獲得が厳しいって本当?
日本の産業構造上、技術職を必要とする企業が多いが、この技術系の職種で募集の対象となるのは理系が中心。
文系の学生にはチャンスが回ってこない。一部の企業では全学部全学科を募集の対象としていても、実際には理系の方が優遇されやすい。
文系を対象とする事務職はどちらかというと供給過剰気味になっているため、就職の難易度が文系では上がる。
公務員においても、倍率は文系を対象とする一般行政職よりも技術系の職種の方が低い。
特に大学のレベルが中堅以下の大学レベルになると理系と文系の就職事情の差が目立ってくる。
内定を獲得するのが文系の方が難易度が高いことで、理系への憧れが生まれ、文系コンプレックスが生じる。
専門性の有無

理系の学部学科で学ぶ内容は基本的に専門性のある分野。しかも、それは就職後の仕事でも活かせるものが多い。
工学、プログラミング、化学は特に仕事へ直結しやすい。
一方の文系はビジネスでは活かしにくい内容がほとんど。法律、経済、経営などが実学として比較的役に立ちやすいが、それでもこれらの学問を学んだ学生を探す企業は少ない。
公務員を目指す人に限って、公務員試験にて登場する程度に限られる。
文学部などの人文科学系に至ってはまったくと言っていいほど活かせるものがない。
これもまた、文系コンプレックスの元になりやすい。
社会貢献の度合い

理系に分類される学問は基本的に科学技術に関連するもの。社会への貢献度が大きいものなのは何となくでも理解できる。
日本や世界の科学技術の向上、あるいは企業の製品開発につながるのが理系の学問の性質。
一方の文系に分類される学問は社会への貢献度が大きいかというと、そうとは言えない。
政治の政策では貢献するかもしれないが、一般レベルでは社会への貢献度は小さい。
「人の役に立ちたい」と考える人を中心に文系コンプレックスの元になりやすい。
頭がいいイメージ

理系とはいえば「数学」「理科」だが、いずれも計算問題が大学入試で出る科目のため、理系の学生は頭がいいというイメージがよく抱かれる。
文系は「国語」「社会(地歴公民)」「英語」でいずれも暗記または読解が中心。
計算ではないため頭がいいとはなりにくい。
計算能力や考える力が求められる数学が得意な理系との印象は、文系のコンプレックスになりやすい。
私立より国公立大学で多い傾向
文系コンプレックスは私立大学よりも国公立大学で多いと感じる。
理由は、文系・理系の比率に関係する。国公立大学では学部学科別の学生数では理系の方が多い大学が少なくない。
大規模な総合大学となれば理系が中心といっても過言ではない。
私立大学では基本的に文系の学部学科が中心。理学部や工学部がある大学でも、経済学部・法学部・文学部・外国語学部・その他新興学部が主流。
これらの大学では理系の影響が小さいこともあって、文系コンプレックスも生まれにくい。
社会人でも文系コンプレックスがある

文系コンプレックスは社会人でも見られる。しかも、その理由は大学生の場合とは異なりやすい。
主な内容は以下。
- 技術職への憧れ:売上ノルマがない、顧客との接点がない、クレームがない
- 転職しやすい:転職市場でも技術職の採用枠が多い傾向
会社員の文系コンプレックスとはこの2点が主流。
技術職への憧れ
これは営業職で多い傾向。技術職への憧れによる文系コンプレックス。
技術職は営業とは違って物を売る仕事ではない。売上ノルマや顧客からのクレームがない。
ただひたすら仕事をしていくだけとの印象から、このようなコンプレックスが生じやすい。
転職しやすい
さらに理系を対象とする技術職は転職市場でも需要が大きい。
日本全体で特に技術者の人手不足が深刻。転職の世界でも技術者を募集している企業が多数ある。
一方の文系を対象する営業や総務・経理などの管理部門(事務系全体)はやや供給が多く、転職市場でも需要が相対的に少ない。
これによって、文系よりも理系の方が転職で有利に働きやすく、文系コンプレックスの一員になっている。
高校生では少ない

一方で高校生では「文系コンプレックス」が少ない。
これは文系よりも理系の方が受験科目が多くて勉強が大変な傾向があるため。
比較すると「文系=勉強が楽」という構造。
>>理系vs文系、2者を徹底比較! それぞれのメリット・デメリットを調査
数学苦手、社会得意な学生には理系は地獄
さらに、文理選択で文系を選ぶ高校生は多かれ少なかれ数学を苦手とする。文系では数学の範囲が狭いこともあって、理系に行きたがる理由がまだない。
社会(地歴公民)が得意な人はさらにこの傾向。理系では社会を受験で使う機会がかなり少ないため、このような人が理系の大学に進学しようとすると受験で損してしまう。
しかも文系は理系よりも私立大学を志望する高校生が結構多いため、国公立大学を目指す人にとってはさらに理系より難易度が下がる。
こうした背景により、高校生の時点では理系へ憧れて文系コンプレックスを持つ例が少ない。