大学院卒の就職の世界でも学卒と同じような「学歴フィルター」があるとされている。所属する学校名で書類選考や面接にて有利になることもあれば、逆に不利になることもある。
有名な大手企業では院卒を対象とした採用でも大学名が少なからず重要になることがある。採用ターゲット校を定めているケースも、一流企業を中心にあるようだ。
特に理系学生だと院卒は優秀な人材だという印象が強い。偏差値のレベルが高い旧帝大などの難関校は特に選考で有利に進む可能性が大きい。
目次
大学院の学歴フィルターの基準

ランク | 国公立大学 | 私立大学 |
---|---|---|
S | 旧帝大 | 早慶上智 |
A | 主要都市の国立大 | |
B | 地方国公立 | MARCH(SMART)・関関同立 |
<ボーダーライン> | ||
C | 公立単科大学 | 日東駒専・産近甲龍 |
D | 該当なし | 大東亜帝国・摂神追桃 |
F | 該当なし | その他、無名大学 |
学歴フィルターのボーダーラインは上記の通り。
大学院を対象にした場合でも、学歴フィルターは学部卒と基本的に同じ。国公立大学全般とMARCH(もしくはSMART)、関関同立までが通過できる可能性は小さい領域。
日東駒専・産近甲龍以下となると院卒でも大手企業だと書類選考で落とされる可能性が上がる。
理系は地方国立大、MARCH・関関同立でも有利

- 理系の学歴フィルター通過大学
- 旧帝大+3:東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学、東京工業大学、神戸大学、東京工業大学、神戸大学
- 上位国公立:千葉大学、筑波大学、横浜国立大学、東京都立大、電気通信大学、横浜市立大学、お茶の水女子大学、大阪府立大学、大阪市立大学、金沢大学、広島大学、名古屋市立大学
-
- 駅弁大学:上記以外の地方国立大学
- 早慶上智:早稲田大学、慶応義塾大学、上智大学
- MARCH・関関同立:東京理科大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学
理系の場合は、大手企業でも地方国立大、MARCH・関関同立クラスの大学でも学歴フィルターの面では有利に働く。
仕事内容の都合から、そもそも技術系の職種では大学院卒を優先して学部卒は採用を抑えているケースも結構ある。
特に化学系の研究職の場合だとこの傾向が強い。
その一方で学歴フィルターの面では微妙なのが以下の大学院。
- 日東駒専:日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学
- 産近甲龍:京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学
- 南愛名中:南山大学、愛知大学、名城大学、中京大学
アウトにはならないものの、学部卒と同じく有利にはなりにくい。
文系はどこも厳しいかも

一方の文系の大学院の場合は、全般的に学校名よりも仕事内容によって事情が異なる。
高度な知識が求められる企業であれば、文系なら旧帝大、早慶上智までなら学歴フィルターを通過できる。
一方で学部卒でも十分な場合は、たとえ東大・京大でもわからない。「就職できなかったから、院に進学したのではないか?」といった負のイメージを持たれやすいためだ。
- 文系の学歴フィルター通過大学
- 旧帝大+3:東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学、東京工業大学、神戸大学、東京工業大学、神戸大学
-
- 早慶上智:早稲田大学、慶応義塾大学、上智大学
あえて文系の大学院卒向けの学歴フィルターにて通過できる学校を挙げるなら、このようになる。
理系と比べてより厳しい水準なのは学部卒と同じ。
どんな業界が学歴フィルターが強い?

院卒向けの採用でも学歴フィルターが重視される傾向が見られる業界はどこか。
文系・理系で比べると圧倒的に理系学生を多く採用する企業で学校のネームバリューが強くなる傾向が見られる。
具体的には製造業や航空会社である。技術職を多く採用し、さらに誰もが知っているような超有名企業が該当する。
メーカーは製品を開発・研究する必要があるため、優秀な理系学生を多く採りたいという思いが強い。
また、銀行や証券会社といった文系が中心の金融業界でも、金融工学などを学ぶ理系学生を採用するところが少なくない。ここでもまた、院卒の人材を欲しがる。
就職の「学歴フィルター」、大学名でのボーダーラインの基準とは!?
同じく偏差値が高い学校に所属する人ほど選考で有利に働きやすい。旧帝大などの有名な国立大学は特に強いだろう。
学校推薦で特に優勢になる

就活の世界で理系学生の特権ともいえるのが「学校推薦」という応募方法ではないだろうか。
学卒では教授による推薦を使う人と自由応募で就活を進めていく学生がいるが、院卒では教授推薦の効力が強くなりやすい。
研究室で研究している分野と関係のある企業へ応募する場合には、特に自分の所属する研究室の教授の推薦状を持って選考を受けると内定までの競争で有利になる可能性が大きい。
リクルーターのような裏ルートへ招待された場合でも選考で有利になりやすい。正規のルートとは違って面接の回数も少なくなる。
学卒では別ルートの選考という性質が大きいものの、院卒ではヘッドハンティングという性質も少なくない。
学校推薦やリクルーター面談では学歴フィルターが院卒学生でも重視されやすいポイントなのは間違いないだろう。
学校推薦の仕組み

自由応募においては、マイナビやリクナビなどを通じて学生が企業にエントリーすることで採用試験がスタート。学校ごとの枠などはない。(採用ターゲット校はあるかもしれないが)
学校推薦では、企業から大学の学部学科に「学生を紹介してください」という通達が行く。大学院の場合、「どこの専攻からほしいのか?」「何人の学生がほしいのか?」という希望を企業側が大学に提示する。
学生側はどの枠を狙って、大学の指名を狙うこととなる。基本的には成績順位が上の人が有利になる。
企業にとって多少異なるが、特に工学系、理学系、情報系、薬学系に多い。対照的に文系はほぼ皆無。
学校推薦で内定の可能性はこれだけ違う
- 学歴フィルター通過、採用ターゲット校に指定
- 筆記試験・面接の一部が簡略化
- 少数人数での採用、倍率が低い
- 大学からの「保証付」
まず学校推薦があるという時点で、すでに「学歴フィルター」を余裕で通過。企業側から大学に募集が来ている仕組み上、完全に採用ターゲット校に該当。
加えて学校推薦での応募の場合は筆記試験なし、面接回数が2回のみといったように、自由応募よりも選考内容が一部省略されやすい。
しかも特定枠の中での選考になるため、自由応募よりも内定の可能性が高い。
さらに、大学側が企業側に学生を紹介するというシステムから、学校推薦は一種の「保証付」のようなもの。
学校推薦があっても面接などで評価が十分に得られなかったり、求める条件と不一致などで不採用になる場合も少なくないが、自由応募よりは格段に採用されやすいのは確実。
文系の大学院卒は厳しい?

理系学生とは対照的に文系の大学院卒の就職ではやや厳しい環境となるのが現状といえる。
企業活動とは直接的な関係がない学問がほとんどである文系ということで、理系と比べると需要が少ないのが否定できない。
就職の有利度という点では学卒とほとんど変わらない。そして、基本的に自由応募のみの世界となる。
学歴フィルターの点は学卒と同じだろう。難関校に所属する人ほど有利になる。
とはいえ、それはあくまでも偏差値別に学校を比較した場合の話であり、研究職などを目指す理科系のような優勢な環境とまではいかない。
こんな人は文系の院卒で不採用になる!
文系で大学院に進学した人だと、以下のような理由で進学した場合は大手企業を中心に不採用になる可能性が大幅に上がる。
- 希望就職先から内定がもらえなかったから
- 就職したくなかったから
- 学歴ロンダリングしたかったから
上記はいずれも正当な理由とは言い難い。本来大学院に進学するのは、学部べ学んだ学問をさらに勉強したいという意思を持っている人。
就職で失敗した場合、大学ブランドへのこだわりは企業からは確実に敬遠されてしまう。
東京都江東区在住。1993年生まれ。2016年国立大学卒業。主に鉄道、就職、教育関連の記事を当ブログにて投稿。新卒採用時はJR、大手私鉄などへの就職を希望するも全て不採用。併願した電力、ガス等の他のインフラ、総合商社、製造業大手も全落ち。大手物流業界へ入社。
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