
日立Astemo(旧日立オートモティブシステムズ)の新卒採用の倍率は技術系が約10倍、事務系が約20倍と推定。就職難易度はそれぞれ「やや易」「ふつう」に相当。
採用人数はすべて合わせると80~120人前後で毎年推移。内訳は非公開だが、概ね事務系は20~30人、技術系は50~80人ほど。一方の応募者数は数千人規模になると見込まれる(特に事務系)。
親会社の日立製作所や本田技研工業と比較するとやや低い数値になるものの、社名に「日立」と付くインパクトは大きいためか、知名度の割には入社が難しい印象。
職種ごとの就職難易度
職種 | 難易度(満5点) | 推定倍率/レベルの目安 |
---|---|---|
事務系(文系が主流) | ★★★ | 20倍、ふつう |
技術系(理系が対象) | ★★ | 10倍、やや易 |
日立Astemoの事務系・技術系の新卒採用の就職難易度はこのような形になる。いずれも総合職だが、文系・理系ごとに分かれての採用選考。
《参考:自動車業界の就職ランキング! 各社の新卒の偏差値の一覧》
自動車業界では関連メーカーに該当し、完成車メーカー各社とは違って会社規模そのものは決して上位ではない。
ただ、前述の通り「日立」という文字が社名に付くこと、最近話題となりつつある自動運転やMaasなどに携わる事業内容が人気を呼んでいる。
事務系は難易度が「ふつう」

事務系の倍率は約20倍と推定。就職難易度は「ふつう」と判断。
業務内容は営業、生産管理、グローバル社内情報システム開発、経理財務、資材調達、人事総務など。
日立Astemoの事務系へエントリーする大学生の大半は、経済学部・法学部・文学部・教育学部・外国語学部など。全学部全学科であるが、理系学生はほとんど応募しない領域。
しかし、日本の学生の割合別で見ても文系が全体の7割を占めている。このため、他の一般的な企業と同じく事務系に応募する人数が多い。
こうした背景をもとに考えると、日立Astemoの事務職の倍率は20倍近くには達するだろう。就職難易度は高くはないが低くもない「ふつう」という表現が妥当ではないか。
文系の中では自動車関連メーカーへの就職を希望する学生はそう多くないものの、「日立」が付くインパクトは大きい。専攻分野が活かしにくい文系は理系と比較しても会社名で就職先を希望する学生も結構多い印象で、これが倍率を上げる要因の1つとも考えられる。
技術系の難易度は「やや易」

技術系の倍率は約10倍と推定。就職難易度は「やや易」と判断。
主な業務内容は、研究開発、設計開発、生産技術、品質保証、事業企画など。いずれも基本的には理工系学部の学生が採用のターゲット。
特に機械工学、電気工学、電子工学、情報工学などが主流。理系でも理学部生物学科や農学部のような物理・化学以外の分野の学生もターゲットではない。
工学部や理学部などの理系の学部学科に所属する学生の中での競争になり、応募できる学生が限られていることもあり、倍率は10倍程度が1つの目安と推定。就職難易度は「やや易」と考える。
同じく正式データがないため実際の数値とは異なるかもしれないが、背景の事情をもとに考えるとこのあたりが適当かと思う。
他社と比較して

日立Astemoの就職難易度を他社と比較すると、以下のようにまとめられる。
- トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業よりは簡単
- 日立グループでは上位
日立グループの中では最近話題の「自動運転」「Maas」といった言葉が注目されているが、車両統合制御システムを手掛ける会社であり、大学生たちからは就職先として着目されやすい事情がある。
自動車メーカーの他社と比べても、マツダ、SUBARU、スズキなどとほぼ同じくらいの倍率・難易度になるだろう。
日立製作所、本田技研工業の併願先?

日立Astemoは親会社の日立製作所や、一部出資する本田技研工業などの併願先にもなりやすい。
理由は簡単で、日立製作所へ応募した学生たちは「日立」が付く社名のため、本田技研工業は同じ自動車関連メーカーであるためだろう。
もちろん、上記2社のみならず、トヨタ自動車や日産自動車、SUBARU、マツダなどの完成車メーカー各社とその関連会社の併願先にもなりやすい。
さらに、日立製作所と同じ電機メーカーである三菱電機、富士通、パナソニック、さらには重工業・工作機械メーカーである三菱重工業、小松製作所、クボタなどの併願先にもなりやすい模様。
近年は「車離れ」という言葉が登場したように、若者の自動車への興味関心は薄れていると言われている。とはいえ、「日立Astemo」が手掛ける自動運転や安全走行装置はむしろ注目度が上昇し、かつてないほど人気となっていると感じる。
入社が簡単になる要素が存在しないのは確か。
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業種 | 会社名 |
---|---|
自動車メーカー | トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダ、スバル、スズキ、いすゞ自動車、三菱自動車、ダイハツ工業 |
自動車関連サプライヤー | トヨタ車体、豊田自動織機、トヨタ紡織、豊田中央研究所、トヨタシステムズ、デンソー、アイシン精機、ヤマハ発動機、住友電装、ボッシュ、ブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、日立Astemo |
電機 | 日立製作所、三菱電機、パナソニック、ソニー、キャノン、キーエンス、富士通、オリンパス、NEC、シャープ、京セラ、日本電産、村田製作所、東京エレクトロン、セイコーエプソン、富士電機、オムロン |
重機・工作機械 | 三菱重工業、ダイキン工業、小松製作所、クボタ、IHI、新日鉄住金、ファナック、安川電機、DMG森精機、SMC、川崎重工業、シマノ |
鉄鋼・非鉄金属 | 日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所、日立金属、大同特殊鋼、三菱製鋼、住友電気工業、三菱マテリアル、古河電気工業、住友金属鉱山、JX金属、日本軽金属、フジクラ、UACJ、DOWA、古河機械金属、リョービ |
(業界全体) | 『自動車業界の就職ランキング! 各社の新卒の偏差値の一覧』 |
上記では自動車・電機・工作機械などの製造業およびそれに関連する企業の就職難易度(新卒採用)と倍率の目安について解説。 《新卒3年以内の離職率》《学歴フィルター》に関して、各々のページにて取り上げる。
東京都江東区在住。1993年生まれ。2016年国立大学卒業。主に鉄道、就職、教育関連の記事を当ブログにて投稿。新卒採用時はJR、大手私鉄などへの就職を希望するも全て不採用。併願した電力、ガス等の他のインフラ、総合商社、製造業大手も全落ち。大手物流業界へ入社。
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