ホテル業界の離職率(新卒3年以内)の目安! 背景にある理由も

新卒の離職率が高いホテル業界

ホテル、宿泊業の新卒入社後3年以内の離職率は40~50が1つの目安になる。かなり高い水準に達する。

大卒者が入社しても3年以内に約半数の人たちが辞めていく構図なのがここからわかる。

背景には給料水準が低いうえ、年間休日の少なさ、残業時間が長くなりやすい性質、BtoCというビジネススタイルがある。



ホテル、宿泊業の離職率の目安

ホテル、宿泊業界の新卒入社後3年以内の離職率

厚生労働省の発表=50.2%(宿泊業、飲食サービス業で算出)
ホテル単独の推定離職率=40~50%

厚生労働省の業界ごとの新卒入社後3年以内の離職率の統計データによると、宿泊業と飲食サービス業の離職率は50.2%となっている。

業種の分類上は宿泊業と飲食サービス業が一体的に合わさった「宿泊・飲食サービス業」という括りになっている。このため、ホテル単体の離職率は公表されていない。

規模的にはホテルよりも飲食サービス業の方が小さいところが多く、各企業によっても賃金や休日、福利厚生の充実度に大きな違いがあることから、ホテルの方が若干離職率が低いと考えられる。

それでも、いずれも離職率には大きな違いはないと考えられる。

少なくとも4割以上には達し、ホテル業界の新卒入社後3年時点で残っている人は全体のおよそ半数ほどしかいない。

離職率が高い理由

高い離職率の理由 詳細な内容
年収が低い 40歳時点のホテルの平均年収は464万円、全業界の平均が600万円のためかなり低い水準。仕事内容も大変で割に合わないととらえる人が多い。
年間休日が少ない ホテルの年間休日は105~115日程度が一般的。全業種だと120日が一般的。低い年収を考慮すると割に合わない。2日以上の連休を取るのも難しい
有給消化率が低い 宿泊・飲食サービス業の有給消化率は32.5%(2017年調査データ)。全業種で最低の数値を記録。
長時間残業 ホテルは24時間営業。レストランなども営業時間が深夜までと長いため、長時間の残業でなんとか賄っている面が多い。長時間労働も敬遠する原因。

年収が低い

新卒採用で入社した直後の給料である初任給の金額は業種による違いはほとんど差がない。

概ね20万円前後の金額になっている。これは宿泊業界でも変わらない。

年齢が上がるにつれて、業種ごとの違いが出てくる。そしてホテル業界の年収水準の低さが現れる。

東洋経済新報社による業種ごとの40歳時点の年収の調査では、ホテル業界は464万円となっている。

すべての業種全体の平均金額は600万円。ホテルは平均から大きく安い金額なのがわかる。ホテルよりも低いのは介護業と百貨店のみである。

給料水準が低いと状態は、その分勤続する人の意欲が低下する原因になる。より高い賃金を求めてこれまで働いてきたホテルを退職して別の企業へ転職するきっかけになる。

このような背景が離職率が高い1つ目の理由である。

年間休日が少ない

年間休日もホテルはどこの企業でも少ない傾向にある。具体的には105~115日が募集要項で書かれているケースが目立つ。

年間休日に関してまとめられた統計データはないため、正確な数値を出すことは難しい。それでも、他の業界に比べると少ないのは明らか。

ホテルのみならず、年中無休で営業している業界ではこのように休みの日数が少ない。

さらに、連続で2日以上休みを取るというのが難しいという事情もある。こちらは各ホテルによって実態がまったく異なるものの、週に1日しか休めないという会社も少なくはない。

年収が低い上に年間休日が少ないということは、実質的にさらに低賃金であることも理解できる。

このように年間休日が少ないことが、大卒で入社しても3年以内に半数近くが辞めていく2つ目の理由である。

有給消化率が低い

有給消化率がかなり低い水準にとどまっている理由もまたホテルの離職率が高い背景にある。

厚生労働省による調査では、宿泊業・飲食サービス業の有給消化率は32.5%というデータが出ている。全業種での平均が49.1%である。

他の業種と比べるとかなり低い水準であるのがわかる。

有給休暇という制度があっても実際に使える人がかなり少ないため、「あってもないに等しい」ような状態とも考えられる。

年間休日が少ないことと合わせて、有給が取りにくい点も新卒で入社したばかりの人たちがすぐに辞めていく理由なのは否定する余地がない。

なお、他の業種を参考にすると、ホテルと同じくらい低い有給消化率を誇るのが卸売業,小売業の35.8%、生活関連サービス業,娯楽業の36.5%、建設業の38.5%である。

これらを考慮しても宿泊業、飲食サービス業はかなり低い。厚生労働省による業種別の分類では最低数値を記録している。

長い残業時間

残業時間が長くなりやすいのもホテル業界の特徴になるのはやむを得ない。

夜を通して宿泊する施設のため24時間営業という事業体系である。会社の入口そのものが施錠される時間というものがない。

仕事の終わりが明確でないため、残業時間が短くなる要素が存在しない。

ただし、他の3つの要素に比べるとそれほど深刻ではない。宿泊業以外よりも平均残業時間が長いところはかなり多いためだ。

とはいえ、休日日数を考慮すると労働時間のトータルではホテルが長くなりやすい。

年間休日が少ないことで、その分出勤日が多く、1か月あたりの合計労働時間が増える。

新卒で入社した人が3年以内に退職する理由の1つになるのはやはり否定できない。

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