
IT業界の新卒入社後3年以内の離職率の目安の一覧を各企業ごとに掲載。他の業種と比較しても特に高い。業界トップクラスの会社でも各企業ごとの特徴が大きく表れている。
ITといってもインターネット関連からソフトウェア開発、あるいは情報通信機器の製造など各分野に分けられるものの、今回は前者2つに重点を置く。
新卒3年以内の離職率は3割と世間的に言われているが、IT業界になるともっと高い数値になりやすい。3割どころでないのは否定できない。
目次
IT業界の各社の離職率
企業名 | 新卒3年以内の離職率 | 備考 |
---|---|---|
NTTデータ | 3.6% | |
楽天 | 20-30% | 独自の営業スタイルが影響 |
グーグル | 0-5% | |
ヤフー | 2.5% | |
サイバーエージェント | 8.2% | |
LINE | 10-20% | |
アクセンチュア | 5-10% | 外資コンサル系 |
Sky | 5-10% | |
日本IBM | 10-20% | |
NTTコミュニケーションズ | 3-5% | |
アビームコンサルティング | 10-20% | 商社系 |
オービック | 5-10% | 以前より大幅改善 |
サイボウズ | 4.0% | 以前より大幅改善 |
富士ソフト | 30-40% | |
ディー・エヌ・エー | 20-30% |
新卒3年以内の離職率を公表している会社に関しては具体的な数値で掲載。2015年度入社の社員を対象としたデータ。
未公表の会社に関しては推定値で掲載。会社の評判、年間休日や残業時間に関する情報などを参考に算出。
参照:情報通信業界の離職率(新卒3年以内)の目安! 各社を一覧化
平均は3~4割
厚生労働省による『新規大学卒業就職者の産業別離職状況』の産業別統計データによると、情報通信業界の新卒就職後3年以内の離職率の28%と発表されている。
IT業界も正式には情報通信業界という括りに入る。
しかし、いわゆるIT業界になればもっと数値が大きくなる。
歴史が長い電話会社や商社系のシステム会社で離職率が低いことが影響しているが、新興企業がほとんどのIT関連になれば一気に高くなる。
30~40%が1つの目安になると考える。営業ノルマから残業時間の長さ、人事評価の厳しさ(実力社会)などが関係している。
離職率が低いIT企業
~主な離職率が低いIT関連会社~
・グーグル:0~5%
・ヤフー:2.5%
・サイバーエージェント:8.2%
・オービック:5~10%
・サイボウズ:4.0%
・アクセンチュア:5~10%
・Sky:5~10%
・NTTデータ:3.6%
・NTTコミュニケーションズ:3~5%
新卒入社後3年以内の離職率…10%未満
IT業界でも離職率が比較的低い会社としてよく知られる事例は上記が該当する。
いずれも新卒入社後3年以内の離職率は10%未満。
概ね「ホワイトな企業」に近い存在と判断できる。
グーグル、ヤフー
検索エンジンとして知られるGoogleを運営するグーグルジャパンの新卒入社後3年以内は0~5%と推定される。
ヤフージャパンを運営するヤフー株式会社の新卒入社後3年以内の離職率は2.5%。こちらは正式に公表されている。
情報通信業でもインターネットに特化して、どちらかというとIT企業に該当する会社である
IT系の企業でこれだけ離職率が低いのはかなり優秀。人気の就職先としても知られているが、辞めていく人もまた少ない。
しかし、グーグルとヤフーに限っては例外的な存在。「ホワイトな企業」に該当するのは疑いの余地がない。
給料水準が高いことはもちろんのこと、年間休日の日数が120日以上、適切な残業時間、充実した福利厚生が整っている。
営業ノルマも厳しい内容のものはない。評判サイトでも、仕事内容に関する不満の声はかなり少ない。
会社側の働きやすい環境作りに対する姿勢が社員にも大きく評価されていて、新卒3年以内の離職率が低い水準に収まる根拠だ。
サイバーエージェント、オービック、サイボウズ
いずれもかつては高い離職率を誇っていたIT企業。しかし、現在では一桁という低い水準にまで低下した。
オービックはかくては3~5割ほどの新卒3年以内の離職率があったものの、2007年よりその改善に力を入れ始め、2009年の段階で4.0%という数値を達成した。
現在は未公表となっているが、それでも5~10%程度には収まっていると思われる。
サイボウズは2005年の段階では新卒3年以内の離職率が28%だった。
ただし、2015年入社の社員では4.0%という数値まで低下した。つまり、現在では高い定着率を実現していることを示している。
いずれも大きく改善した点が残業時間の短縮化である。
IT業界では月平均残業時間が50時超がかなり多いが、それを解消させるために積極的に改革に取り組んだのがオービックとサイボウズの2社というわけだ。
サイバーエージェントも2015年入社の社員の3年以内の離職率は8.2%だった。
かつては3割以上となっていた時期もあった。理由は基本的にオービックとサイボウズと同じ。
残業時間短縮化、営業担当者への手厚い支援などの働き方改革を積極的に実施してきた結果、サイバーエージェントも1割未満を達成できた。
離職率が高いIT企業

~主な離職率が高いIT関連会社~
・楽天:20~30%
・富士ソフト:30~40%
・ディー・エヌ・エー(DeNA):20~30%
新卒入社後3年以内の離職率…20~40%
IT業界でも有名な会社であるが離職率が高い会社としてよく知られる事例は上記が該当する。
いずれも新卒入社後3年以内の離職率は最低でも20%。30%かそれ以上になるという見方もある。
正確なデータは公表されていないものの、推定で1割未満になることはまずないだろう。
すぐに辞める人が多い理由
~高い離職率の背景~
営業ノルマが厳しい:なかなか売れない上、人事評価が他業界より厳しい。
残業時間:SEなどの技術職に多い。短納期が求められるため、労働時間が長くなりやすい。
直接的な理由といえば、残業時間が長いこと、営業ノルマが厳しいことだろう。
ソフトウェアの導入には毎月のように費用がかかるという性質から、そもそも購入率が低い。
BtoB向けの商品やサービスが基本のため、BtoCのように苦情が殺到するというデメリットはない。
しかし、なかなか売れないために営業の仕事が大変になりやすい。
残業時間は特にシステムエンジニアなどの技術系職種に多い。製品の開発や改良には時間がかかる一方、IT業界では納期の短さが重視されやすいこともあって、残業時間が長時間になりやすい特性がある。
それが離職率の高さへと導く。辞める人が続出するとさらに人手不足に陥って残る社員の労働時間が増える。
そんな負のスパイラルによって離職率がますます高くなる理由となっている。
他の業界・職種の離職率について
業界別 | ゼネコン、証券会社、保険会社、銀行、小売業、航空会社、不動産、電力会社、自動車メーカー、情報通信業、製薬メーカー、ホテル、旅行会社、電機メーカー、IT、総合商社、化学メーカー、物流・倉庫、 |
職種別 | 営業職、 |
規模別 | 中小企業、国家公務員、地方公務員、消防士、警察官、 |
上記の記事では、それぞれの離職率に関する内容を取り上げる。
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東京都江東区在住。1993年生まれ。2016年国立大学卒業。主に鉄道、就職、教育関連の記事を当ブログにて投稿。新卒採用時はJR、大手私鉄などへの就職を希望するも全て不採用。併願した電力、ガス等の他のインフラ、総合商社、製造業大手も全落ち。大手物流業界へ入社。
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