
関関同立と地方国公立大学では、社会的な評価や実際の学力では後者の方が上になる。
関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学のいずれも「難関私大」に分類され、偏差値では国公立大学のほとんどよりも高い数値だが、受験科目や入試方式が異なることもあって序列ではそう高くはない。
目次
他大学との序列の比較
順位 | 大学群 | 主な大学 |
---|---|---|
1位 | 旧帝大 | 東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学、東北大学、九州大学、北海道大学 |
2位 | 早慶 | |
3位 | 筑横千、千金広岡 | 筑波大学、横浜国立大学、千葉大学、金沢大学、広島大学、岡山大学 |
4位 | 5S | 埼玉大学、信州大学、静岡大学、滋賀大学、新潟大学 |
5位 | 駅弁大学 | 一般的な地方国立大学 |
6位 | 関関同立 | 関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学 |
7位 | 産近甲龍 | 京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学 |
近畿地方に着目した場合、大学受験の情報を提供する大手予備校や学習塾では、大学のレベル別の序列は以下のようになっていることが多い。
- 一般的な大学群の順番
- 旧帝大>早慶>上智>関関同立≒千金広岡>その他国公立大学≒産近甲龍/日東駒専
しかし、実際に必要とする学力や社会的な評価では上記の表のようになる。
特に地方国立大学と比較すると、関関同立の方が入りやすいこともあって、序列の面でも下になる。
>>関西(近畿地方)の国公立・私立の序列! 偏差値ごとにランク分け
関関同立と同じランクとして知られる首都圏のMARCHもまた、地方国立よりも下に入る。
千金広岡、筑横千よりも大幅に下
関関同立の各大学の偏差値こそは千金広岡(千葉大学、金沢大学、広島大学、岡山大学)と同じくらいの数値。学部によってはこれらの国立大学よりも高い数値になるところもある。
しかし、合格難易度では明らかに国立大学である千金広岡の方が高い。関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)の4大学いずれもこれには及ばない。
国立であれば共通テスト(旧センター試験)と二次試験の両方を対策することが必要。前者は特に5教科7科目すべて課される。
すべての教科にて満遍なく求められた得点が取れないと合格できない。
一方の関関同立は私大ということで受験科目は3教科のみ。
特に文系であれば国語+社会+英語だけ。しかも入試はマーク式のため、難易度は国立に比べて簡単。
偏差値こそは同じでも、これはあくまでも見かけ上の数値に過ぎない。
推薦入試で入れるという手段の存在も考慮すると、千金広岡レベルの国公立大学と同等の難易度とは言えない。
駅弁大学にも及ばない可能性大

偏差値の数値であれば、関関同立と「駅弁大学」と呼ばれる県庁所在地に立地する地方国立大学とでは、関関同立の方が圧倒的に高い。
例えば、中央大学経済学部の偏差値は57.5なのに対して、滋賀大学は55.0、新潟大学は52.5、島根大学も52.5。関関同立側が勝利のように見える。
中堅国立大学である「5S」では拮抗するところがあるが、この時点でさえも関関同立の方が高め。
香川大学など、大都市圏から離れた大学になれば偏差値が50未満にもなる。
しかし、千金広岡・筑横千と同じように地方の国立大学でも受験科目は共通テストの5教科7科目と二次試験で課される2~3教科。
すべての教科にて満遍なく合格点を取れるほどの学力がないといけない。
関関同立であれば、3か月間の受験勉強で合格できるとの意見もあるほど。一方の国公立となれば、対策するべき科目数が多いため、それは非現実的。
個人差はあるとはいえ、高1の段階からコツコツと勉強しないと合格できないほどでもある。
国公立底辺よりは上だが
底辺国公立大学と呼ばれる、偏差値40.0~47.5の大学と比べると、この時点では関関同立の方が序列では上になる。
私大の受験科目が3つのみとはいえ、一般入試で受験することを前提に考えるのであれば、関関同立の方が求められる学力が高め。
ただし、どちらが簡単かは各個人で大きく異なるのも確か。
文系は特に、英語・社会ができる人であればMARCHの方が受かりやすい。
逆に突出した教科はないものの、ほとんどの教科で自分の学力が均等になっている場合は、地方部の低偏差値の国公立大学の方が受かりやすいかもしれない。
参照:
ただ、大都市圏の立地で絞るのであれば、関関同立に合格できるレベルで国公立大学に合格できるところがあるかというと、ほとんどないという答えになる。
関関同立>地方国立の理由

関関同立の立ち位置が地方国立大学よりも下になる理由は以下。
- 受験科目が3教科に限定
- 文系は数学なしで受験可能(地歴公民を選択可)
- 推薦入試が全体の大きな割合を占める
数学がいらない

数学がいらないのは関関同立をはじめとする私立大学のメリット。MARCHもこの点で同じ。
理系は数学が課されるところがほとんどだが、文系にとっては非常に美味しい条件。
国公立大学であれば、どんな大学であろうと大学入学共通テストが100%必須。
駅弁大学の二次試験では数学無しの大学も多数あるが、共通テストでは数学が必ずある。(旧帝大クラスは文系でさえ数学がほとんどのケースで課される)
理系はもちろんのこと、文系でも数学を少なからず勉強しなければ国公立大学を目指すのは厳しい。
関関同立は文系・理系ともに基本的に3教科受験は主流。
例えば、関西大学経済学部(一般選抜)の場合、受験科目は以下の通り。
関西大学経済学部(一般/個別3教科)
3教科(450点満点)
【国語】国語総合・現代文B・古典B(漢文を除く)(150)
【外国語】コミュ英I・コミュ英II・コミュ英III・英語表現I・英語表現II(200)
《地歴》世B・日B・地理Bから選択(100)
《公民》政経(100)
《数学》数I・数A・数II・数B(数列・ベクトル)(100)
●選択→地歴・公民・数学から1引用:パスナビ
上記の例だと、英語+国語+地歴公民・数学から選択の合計3科目。社会と数学のどちらかを選択できるシステムで、数学無しでの受験が可能。
国公立大学であれば、数学ノー勉で受験するなんてことは不可能。
数学にまったく触れずに合格できる関関同立は、数学を苦手とする人達の逃げ道となり得る。
推薦入試が多い

関関同立は私立大学のため、指定校推薦という手段を使うことができるのも確か。まるで裏口入学といえるほど。
私立大学全体では、一般入試の合格者は入学者全体の半数にも満たない。文部科学省の「平成30年度国公私立大学入学者選抜実施状況」によると、昨年は私立大学入学者のうち、一般入試を利用した人の割合が47%。つまり、入学者の5割超は推薦入試やAO入試で合格しているのだ。
推薦入試には、指定校推薦、公募推薦、スポーツ推薦、付属高校からの内部進学など、さまざまな形式があるが、こうした学校ごとの推薦が全体の4割、残り1割強がAO入試による合格者。AO入試は書類選考のほか、面接や小論文の試験のみで、基本的に学力試験を課さない。
引用:田中圭太郎著「私大入試の難化の一因…?指定校推薦の「語られざる問題」」
私立大学全体にて一般選抜で入学している学生は全体の47%のみ。残りの53%は推薦入試やAO入試。
AO入試は人数はかなり少ないため、ほとんどは推薦と捉えてよい。国公立大学では、比較的入りやすいといわれる駅弁大学でも推薦入試はごく一部の枠に限定。
推薦入試では学力はあまり問われないため、関関同立の一般入試に合格できるほどの学力がなくても入れるシステムが存在。
そして、このシステムが関関同立をはじめとする私立大学全体のイメージを落としている。
もっとも、関関同立でも一般入試は確かに難易度は簡単ではない。勉強しなければ合格できないレベル。
推薦入試でも相当の学力が求められることもあって、序列でも関関同立よりも地方国立大学の方が上に立つ。
社会的な評価

見かけ上のレベルでは関関同立>地方国立になる。
しかし、上記の事情から、これは受験産業が示す偏差値に限った話。高校の進路指導、予備校や学習塾での基準の目安は確かの上記の表の通りになる。
世間一般では、関関同立は「しょせんは私立」なんて言われることもあるほど。
大学生の就職の世界においても、関関同立のいずれかに在籍するからといって、それは大幅に有利に働く可能性は低い。

大学名で選考合否が決まる学歴フィルターで落とされる可能性こそは低いものの、優秀だとはみなされない。
「難関私大」という括りに入るとはいえ、これは日東駒専以下と比較して上というニュアンスで捉えることもできるほど。
>>関関同立なら就職の学歴フィルターでセーフ、それともアウト!?
企業の採用実績校で、採用人数で関関同立の方が地方部の国公立大学よりも多いことがほとんどな理由は、単純に在籍する学生数の違い。
例えば、同志社大学の学生数は約30,000人、岡山大学は13,000人、滋賀大学は3,800人ほど。私大の方が何倍も多いため、同一企業への就職者数もその分多め。
学歴フィルターで地方国立大学が落とされているわけではない。
地方部はさらに厳しい

大阪をはじめとする関西圏であれば、関関同立は一定程度は評価されるかもしれない。
しかし、地方部に行くとさらに評価は厳しい。具体的には、近畿地方から離れた地域。
大学に関する知識が少ない人たちの間では、関関同立よりも地元の国公立大学の方が圧倒的にレベルが高いとして評価されやすい。
関関同立という言葉を聞いたことがあっても、それが具体的にどこの大学を指すのかは意外と知られていない。
中でも「関関」の部分に当たる関西大学と関西学院大学の違いがわからないといった事例が目立つ。
地方は大学のみならず高校の段階でも公立重視。私立は公立に落ちた人が行くところ言うイメージが強い。
ゆえに、「国公立大学に落ちたから関関同立に進学した」との印象が付いてしまうことも。
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分類 | 対象の大学 |
---|---|
大学群 | 旧帝大、MARCH、関関同立、日東駒専、産近甲龍、大東亜帝国 |
学部 | 学部カースト |
2者対決 | MARCHと地方国立、関関同立と地方国立 |
大学別学部間 | 早稲田大学、慶応義塾大学、東京大学、京都大学、同志社大学、東京外国語大学、阪大外国語学部 |
地域別 | 東北地方、関東(首都圏)、東海地方、北陸地方、関西(近畿地方)、中国地方、四国地方、九州地方 |
定義 | Fランク大学の定義、底辺国公立34校 |
東京都江東区在住。1993年生まれ。2016年国立大学卒業。主に鉄道、就職、教育関連の記事を当ブログにて投稿。新卒採用時はJR、大手私鉄などへの就職を希望するも全て不採用。併願した電力、ガス等の他のインフラ、総合商社、製造業大手も全落ち。大手物流業界へ入社。
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