感応式信号機の仕組みとは? メリットから問題点まで解説

感応式信号機の仕組みとそのメリットおよびデメリットについて解説。

車両感知器と呼ばれるセンサーと歩行者用押しボタンを使用する信号機で、必要な場合のみ青信号を現示する点で従来の時差式信号とはシステム的に異なる。

デメリットは導入コスト。センサーや押しボタンを設置する必要があることで、費用がかさんで財政を圧迫させやすい。


感応式信号機の種類の一覧

種類 概要 導入実績
全感応式信号 主道路、従道路の各流入部(交差する道路すべて)にセンサーを設けて交通量に応じて青信号の時間を調整。 極めて稀
半感応式信号 従道路の流入部に車両感知器センサーと主道路横断用の歩行者用押ボタンとを設置し、主道路横断の歩行者または従道路からの車両がいる場合のみ青信号にする。 全国各地に点在。
主道路と従道路の交通量の差が大きい場所に普及。
ムーブメント信号制御 全感応式信号と右折分離式信号を組み合わせたシステム。交通量に応じて信号現示パターンを変更。 宇都宮市、四日市市・田原市など
試験的に導入されたものの廃案に。
プロファイル信号制御 上流の交差点にて交通量を計測して、その情報に基づいて下流の交差点に到達する交通量を予測し、それに応じて直ちに最適な信号制御を行う。 自律分散信号制御(京三製作所:ARTEMIS等)

感応式信号について、具体的な細かい種類は全部で4つある。

全国的に普及しているのが、上から2番目の「半感応式信号」。それ以外は導入実績が少ない。

共通点として、いずれも上記の画像のような車両感知器(センサー)で車両の存在を認識して信号機の制御を行う。

全感応式信号

全感応式信号

  • 主道路:センサーあり
  • 従道路:センサーあり

→車両を感知しながら交通量を計測し、信号サイクルを調整

全感応式信号とは、交差点に流入するすべての道路上に車両感知器というセンサーを設置した上で、交通量に応じて青信号の長さを短くしたり長くしたりする仕組みの信号制御を指す。

主道路、従道路のどちらにもセンサーが取り付けられているのが特徴。

歩行者信号の方は時差式で制御されるため、押しボタンやその他センサー類は使用しないのが基本。

全国的にはかなり少ない。日本国内では一般的ではない。

その一方で、欧米の先進国ではこの全感応式が一般的。

北米だとアメリカ・カナダ、ヨーロッパではイギリス・アイルランド・ドイツ・デンマーク・スイス・ポーランド・オーストリア・オランダ・デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランド、オセアニアのオーストラリア・ニュージーランドでかなり一般的。

これらの欧米諸国では、歩行者信号でも押しボタン式制御が基本。本当に必要な場合のみ青信号を出し、「無駄な赤信号」をなくすことが最重要視されている。

半感応式信号

半感応式信号

半感応式信号

  • 主道路:センサー、押しボタン等はなし
  • 従道路:センサーあり、押しボタンあり

→車両を感知または歩行者の押しボタンの動作で従道路の信号機に青色現示

半感応式信号とは、交差する道路のうちの「従道路」という交通量の少ない道路にて車両感知器を設けている信号制御のことを指す。

従道路の流入部に車両感知器センサーと主道路横断用の歩行者用押ボタンとを設置し、主道路横断の歩行者または従道路からの車両がいる場合のみ、主道路側を赤信号にして従道路青信号にする仕組み。

交通量が多い主道路側には車両感知器や押しボタンを設置しない。

従道路側にて特に交通量が少ない交差点にて取り入れられるのが半感応式信号。

交通量の差が大きい交差点にて時差式信号にしてしまうと、主道路側にて不要な赤信号が出てしまって円滑な交通の妨げになってしまう。

これを防ぐために半感応式信号が使用されている。

ムーブメント信号制御

ムーブメント信号制御とは、交差点に設置された車両感知器を使用して交通量を計測し、それに応じて信号の時間とサイクルを変更する仕組みの信号制御。

全感応式信号の一種であるが、右折分離式信号である点で異なる。

基本は通常の右折車分離式で運用されるが、対向方向で滞留に偏りがない場合は信号の時間が変更される。

また、対向方向で滞留に偏りがある場合は、滞留がない方をすべて赤信号として、滞留の多い方を全方向矢印信号により通行時間を延長し、その後双方の右折車を通行させる。

交差点が原因で特定の方向へ向かう車両が多い交差点にて有効とされている。

しかし、試験導入の結果にてコストに対して割に合わないということで廃案に至った。

「一か所当たり1,000~1,800万円と従前の制御方式に比べ、1.5倍から3倍と非常に高コストとなり、費用対効果面からのメリットはない」と警察庁の有識者会議で結論に至った。

警察庁『ムーブメント信号制御方式による信号制御高度化モデル事業』より

現在は導入が行われていない。

プロファイル信号制御

プロファイル信号制御とは、上流側の交差点付近に設置された車両感知器で交通量を計測して、数秒後または数分後に何台の車両が通過するかという情報を下流側の交差点の信号機に伝え、信号機が自律して交通量に応じたサイクルに変更する制御方式。

交通量の増減に迅速に対応できるメリット。信号機がいくつも連続する都市部にて有効とされている。

「次世代信号機」とも言われていて、今後は人工知能の普及で導入が注目されているのこのプロファイル信号制御。

渋滞を解消されることが目的。

特に京三製作所の「自律分散信号制御(ARTEMIS)」という製品が知られている。

交通渋滞を削減し、 CO2や窒素酸化物などの排出削減にも寄与する環境に優しい交通信号制御です。

通常の交通信号制御機では、車両感知器で計測した過去の交通データに基づき、交通管制センターで青時間が決定されますが、自律分散信号制御(ARTEMIS)では、交差点間の交通信号制御機同士が情報交換をする事で、交通信号制御機自身がリアルタイムに最適な青時間を決定します。

京三製作所のウェブページより

今後は全国的に都市部にて導入が検討されている。

また、海外にも展開されていて、ロシアのモスクワ市内にて実証実験が行わて、一定の評価を獲得した。

問題点とデメリット

種類 問題点 補足
全感応式信号 車両感知器のコスト 時差式信号(定周期方式)が主流
半感応式信号 車両感知器と押しボタンのコスト
ムーブメント信号制御 導入システムがかなり高価 廃止に
プロファイル信号制御 導入システムがかなり高価 導入実績がまだ少ない

半感応式信号は定周期方式の時差式信号と比べると導入コストが割高。

車両感知器と歩行者信号の押しボタンを設置する必要があるためだ。

近年は自動車離れが進んでいることで信号機のランニングコストに費やせる予算が減少している。

そんな中で割高な感応式信号の導入に踏み切るのが難しくなってきている。

以前に次世代と言われていた「ムーブメント信号制御」、あるいは今検討されている「プロファイル信号制御」のいずれも本格的な導入には至っていない理由もここにある。

交差点に流入する交通量の差が少ない箇所では従来の定周期方式が積極的に使用されている。

夜間のようにそもそもの交通量が少ない時間帯では無駄な赤信号による待ち時間が出ることで、社会的には課題となっているのも確か。

システム上の問題

  • 青信号に変わらない
  • 二輪車・自転車だと感知されにくい

感応式信号において運用上の問題としてよくあるのが上記の2点。

青信号に変わらない

青信号に変わらない問題として、感知器が車両の存在を捉えられないことも時々ある。

クルマが停止線の直前で停止していないと感知できないため、そもそも定位置停止ができていない場合だと青信号に変わらない。

センサーの故障もある。ほとんどの場合は超音波式の感知器が使用されているが、機器の故障があると感知不良が起こり得る。

一方で正常に作動している一方、ドライバーや歩行者の感じ方によるものもある。

青から赤に変わったばかりで、次に青になるまでには一定の待ち時間がある。

半感応式信号の場合は主道路の方が交通量が多いということで、信号サイクルも従道路よりも主道路の方が青信号現示時間が長いことがほとんど。

押しボタン式の歩行者用信号も全く同じ。感知後または押しボタンを押した直後にすぐに青信号に変わるわけではない。

二輪車・自転車

二輪車・自転車は道路上に対して表面積が非常に小さい。

このため、感応式信号においては感知器がこれらの存在を捉えらえないことがある。

二輪用センサーが設置されているケースもあるが、割合的には極稀。

基本的に半感応式信号では歩行者用の押しボタンも併設されているが、二輪車・自転車もこれを押すよ押しボタン横に記載されている場合が多い。

歩道だけでなく車道上にも二輪車・自転車用押しボタンがあるところもかなり多い。