
企業の規模別の有効求人倍率を一覧にする。今の日本の世の中は「売り手市場」と言われているものの、大手企業はその例外。完全に「買い手市場」である。
人気の就職先で応募者が殺到する会社はいつの時代においても決まっている。このような会社では内定を獲得するのは難しい。
そして、人気が高い会社とはほとんどは大手企業である。
目次
企業の規模別の有効求人倍率

年度ごとの企業規模別の有効求人倍率
年度/従業員数 | 300未満 | 300~999人 | 1,000~4,999人 | 5,000人以上 |
2010年3月卒 | 8.43 | 1.51 | 0.66 | 0.38 |
2011年3月卒 | 4.11 | 1.0 | 0.63 | 0.47 |
2012年3月卒 | 3.35 | 0.97 | 0.74 | 0.49 |
2013年3月卒 | 3.27 | 0.93 | 0.81 | 0.60 |
2014年3月卒 | 3.26 | 1.03 | 0.79 | 0.54 |
2015年3月卒 | 4.52 | 1.19 | 0.84 | 0.55 |
2016年3月卒 | 3.59 | 1.23 | 1.06 | 0.70 |
2017年3月卒 | 4.16 | 1.17 | 1.12 | 0.59 |
2018年3月卒 | 6.45 | 1.45 | 1.02 | 0.39 |
2019年3月卒 | 9.91 | 1.43 | 1.04 | 0.37 |
2020年3月卒 | 8.62 | 1.22 | 1.08 | 0.42 |
※リクルートワークス研究所の調査より
新卒採用における企業の年度ごとの規模別の有効求人倍率である。
世間一般で「大手企業」と判断される会社とは従業員数が5,000人以上のところではないか。
5,000人以上の従業員数を誇る会社はすべての年で有効求人倍率は1倍を大きく下回っている。
やや大きめの会社と考えても、従業員数は最低1,000人はいるだろう。こちらも景気が良い時期でも1倍を少しだけ上回る程度である。
年によって大きく動いているのが従業員数が300人未満の会社。「中小企業」と呼ばれるところである。
超大手企業:従業員数5,000人以上
従業員数が5,000人以上の企業は「超大手企業」に該当する。
有効求人倍率はいずれの年でも0.5倍前後で推移している。1倍を超えることはあり得ない。
新卒採用での統計データということで、1人分の募集に対して学生が2,3人いる状態を示している。
つまり、採用倍率は単純に考えて2、3倍にはなるという意味だ。書類選考や面接選考では1人が内定を獲得し、1,2人が不採用となる感じである。
「売り手市場」とは到底言い難いような状況なのがわかる。入社ハードルはかなり高く、完全に「買い手市場」である。
2008年のリーマンショック以降の世界同時不況直後は世間全体で「就職氷河期」といわれていたが、超大手企業に限れば今でも就職氷河期ともいえる。
就職活動中の学生たちが「売り手市場」を実感せずに、それは嘘であると感じるのも原因はここにある。
多くの学生が人気度の高い超大手企業に就職したいと考えているからである。
大手企業:従業員数1,000人以上
従業員数が1,000人以上の会社も「大手企業」には該当する。
こちらは世の中の景気の動向によって異なる。好景気の時は1倍を超えているものの、不景気だと1倍を下回っている。
最近では「売り手市場」といわれるように有効求人倍率が若干高いが、経済状況が悪い時期になれば一気に「買い手市場」に逆転する。
ニュースや新聞で就職氷河期と表現される時代は、ここでの有効求人倍率が1倍を下回る時期のことを指す。
定義上では大企業でも、就職先として人気の会社かというとそうではない。
このクラスに来ると、業種によってはなかなか人が集まらないところも目立つ。
従業員数が1,000人以上5,000人未満の会社なら、売り手市場の時代であれば比較的容易に就職できるのは確か。
準大手企業:従業員数300~999人
厳密に言うと、従業員数が300人以上になると大企業と定義されるものの、数千人規模の会社もあることを考えて、今回は従業員数が300~999人の企業を「準大手企業」と名付ける。
こちらは世の中の景気の動向で若干わかっているものの、ほとんどの時期にて有効求人倍率は1倍を上回っている。
「売り手市場」といわれるように有効求人倍率が高いが、経済状況が悪い時期でも概ね1倍には達している。「買い手市場」にはなりにくい。
業種によってはまったくといっていいほど人が集まらないところもかなり多い。基本的に新卒採用で就職する学生たちはまずは超大手企業を目指す。
この準大手企業へ入社するのは、超大手企業の選考で不採用となってしまった人たちが多いのは否定できない。
就職難易度こそは簡単なものの、準大手企業の規模になると「やむを得ず感」が見られる。
中小企業:従業員数300人未満
従業員数が300人未満の会社は「中小企業」と呼ばれる。
有効求人倍率は年によって激しく動いている。
すべての時期にて有効求人倍率は1倍を上回っているのみならず、好景気の年になると10倍近くにまで達している。
1人の学生対して10社の求人がある状態を示している。採用選考の倍率で言うと0.1倍である。
一方で不景気の年で各社が採用人数を少なく絞る時でも中小企業に限ると3倍以上には達している。
1人の学生対して3社は求人がある状態である。
マスコミで「売り手市場」で表現される時期でも「就職氷河期」と表現される時期でも、中小企業は完全に売り手市場。
買い手市場に逆転することはまずあり得ない。つまり、人手不足はここ最近に限ったことではないという意味でもある。
大学生の「売り手市場」のイメージと実際の感想

~大学生の売り手市場のイメージと現状~
本当の売り手市場=中小企業の有効求人倍率が高い状況
大学生の売り手市場のイメージ=人気の大手企業への就職が簡単な状態
→大手企業はいつでも買い手市場
マスコミで「売り手市場」といわれる現状でも、就活中の大学生が感じる実態は全く別物である。
テレビのニュースや新聞で報じされる基準は従業員数による企業の規模に関係なく、様々な企業を一概に捉えた場合の事情に過ぎない。
大手企業から中小企業まで総合的にとらえた場合の売り手市場・買い手市場の判断を行った時に出た結果を報じているだけである。
対して、大学生はそもそも大手企業にしか視点を置いていないことはほとんど。
売り手市場≠就職が簡単の理由
「売り手市場」と聞くと、人気就職先でも簡単に内定が取れるというイメージを抱く。
しかし、そのような会社ではいつの時代においても倍率が高くて就職難易度が高い。
人手不足が深刻で採用に苦労しているのは中小企業で、学生がそもそも就職先として検討もしない領域。
当然、大手企業しか視野にない大学生の就活の世界では完全に「買い手市場」になる。
売り手市場だからといって就職が簡単にできるものではないといわれるのは、学生たちが受ける企業に偏りがあることに起因するのがわかる。
>>売り手市場なのに「内定ゼロ」! その人が就職できない理由
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東京都江東区在住。1993年生まれ。2016年国立大学卒業。主に鉄道、就職、教育関連の記事を当ブログにて投稿。新卒採用時はJR、大手私鉄などへの就職を希望するも全て不採用。併願した電力、ガス等の他のインフラ、総合商社、製造業大手も全落ち。大手物流業界へ入社。
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