
物流・倉庫業界の就職難易度について、代表的な会社を偏差値化してランキング形式にする。大卒・院卒向けの新卒採用のレベルはそれぞれどれくらいになるのか。
トラックや鉄道を手段とした国内物流から海運、航空貨物を利用した国際物流まであるが、今回はそれらを総合的に見て内定獲得の難しさを解説する。
目次
物流・倉庫会社の偏差値一覧
偏差値 | 会社 |
80 | 日本郵船、商船三井 |
75 | 川崎汽船、三菱倉庫、住友倉庫、三井倉庫、日本郵便 |
70 | 飯野海運、近鉄エクスプレス、NSユナイテッド海運
東京汽船、共栄タンカー、第一中央汽船 |
65 | 日本通運、日立物流、日本貨物航空、JR貨物、山九、東海汽船 |
60 | 澁澤倉庫、阪急阪神エクスプレス、鈴与、安田倉庫、日本トランスシティ |
物流や倉庫に関する業界では、偏差値上位は大手海運会社と商社系の倉庫会社がほぼ独占している。
国内物流を中心とする陸運業界に関しては、海運、航空貨物会社と比べると海外進出があまり進んでいなかったり、慢性的な人手不足が続いていることから、偏差値上位にはいない。
東証一部上場企業であっても国内陸上運送会社と比べて海運や国際貨物などの物流会社の就職の人気度が高く、難易度も高い。
偏差値80:日本郵船・商船三井が首位に

物流業界としては、日本郵船と商船三井がトップの座に君臨する。
かつては海運バブルと呼ばれたように海上輸送に取り組む海運会社が大学生から絶大な人気を獲得していた。就職先としても完全な買い手市場となっていた。
今ではそんな傾向が和らいだことで就職したい業界から去っているものの、日本郵船と商船三井に関してはその例外に当たる。
常に倍率が高い状態が続いている。本当に優秀な人材だと複数回ある面接で判断された人以外は入社できない。
経営も非常に安定している。給料の水準もかなりの高い年収になっている。誰もが就職したい企業ということもあり、難易度は最難関レベルに当たる。
偏差値75:総合商社系の倉庫会社がランクイン
総合商社傘下の倉庫会社
偏差値75台にはまず三菱倉庫、住友倉庫、三井倉庫の3社がランクインする。これら3社は総合商社の傘下で倉庫業務を行う子会社である。
子会社ということで社会的なステータスと就職の難易度は若干下がるものの、それでも毎年の新卒採用ではかなりの倍率になる。
総合商社の知名度が非常に高いため、これらの傘下の倉庫会社も比例してブランド力が高い。就職先として人気の理由にもなっている。
参照:【就職】総合商社の難易度のランキング! 偏差値にしてみた
日本郵便とやや大手の川崎汽船も
大手海運会社として川崎汽船もランクインしている。日本郵船や商船三井と比べると売り上げがやや下がり、企業の規模も劣っていることから、偏差値は1つ下となっている。
しかし、それでも大手企業で知名度が高いことから、人気の就職先となっていることには変わりない。物流業界としてもかなりの上位にランクインする。
日本郵便もまた偏差値75になる。こちらは郵便事業を行う元国営の物流会社ということでかなり安定した経営となっている。
配達や仕分け業務においては人手不足になっているが、事務職は相変わらず人気の就職先になっている。その分倍率も高く、内定を獲得するのが難しい。
偏差値70は上位海運、国際貨物会社が
偏差値70台には飯野海運、近鉄エクスプレス、NSユナイテッド海運、東京汽船、共栄タンカー、第一中央汽船の6社をピックアップ。

近鉄エクスプレスは国際総合物流企業である。航空・海上向けの国際貨物を行う会社ということで、事業内容は人気の要因となっている。
さらに近鉄グループということで知名度が高い。鉄道会社である近畿日本鉄道をはじめとする近鉄HDの傘下の会社ということで、ブランド力が高い。
飯野海運、NSユナイテッド海運、東京汽船、共栄タンカー、第一中央汽船はいずれも海上輸送を主力とする海運会社である。
日本郵船や商船三井ほど業界最大手クラスとはいかないが、それでも大手企業には入る。
偏差値65は物流系全般に
偏差値65台には日本通運、日立物流、日本貨物航空、JR貨物、山九、東海汽船の6社をピックアップ。
上位総合物流企業だから難易度高
日本通運、日立物流、山九は大手総合物流会社に該当する。国際貨物が充実していることから、物流会社の中でも人気度が上に位置する。
日本通運は日本郵便の国際貨物向けが中心となっているの会社である。元国営企業ということで経営が安定している。
日立物流、山九も総合物流企業ということで、倉庫や国内、国際貨物を取り扱う会社である。知名度や売り上げ高が大きいことが就職の難易度が高い理由となっている。
国際的でグローバルな仕事ができるというイメージが強い点もまた、就活中の大学生があこがれる要因ともなっている。
JR貨物も人気に

JR貨物は鉄道会社である。国鉄が民営化されたときに貨物輸送を行う会社として分離された。
旅客の方はJR東日本、東海、西日本といった会社が地域別に行っている。貨物はこれらとはまた別の会社である。
モータリゼーションによるトラック輸送が中心となったことで長年赤字の状態が続いてきたが、近年はトラックドライバーの人手不足や二酸化炭素の排出などの環境問題を背景に再び鉄道輸送が注目を集めている。
なにより「JR」という名称付いているため、鉄道会社として人気が高い。就職の難易度が高い理由でもある。
偏差値60は再び倉庫会社が登場

偏差値60台には、澁澤倉庫、阪急阪神エクスプレス、鈴与、安田倉庫、日本トランスシティの5社がランクイン。
ピックアップした理由としては、次のような特徴があるから。
- 規模は地域限定、シェアが少ない
- ブランド力が高い
- 老舗で会社の歴史が長い
- 経営が安定している
澁澤倉庫、安田倉庫、鈴与、日本トランスシティは倉庫会社である。いずれもやや大手といえる規模だが、会社の規模としては最大手と比べると小さい。
知名度もその分下がるため、就職難易度も偏差値60台に下がる。しかし、それでも倍率が高い状態は続き、簡単に内定をもらって入社できるというレベルではない。
阪急阪神エクスプレス大手国際航空貨物フォワーダーと呼ばれる会社になる。国際海上・航空輸送のプロバイダーという位置づけになる。
こちらも会社の規模というよりも会社名が人気の要因になっている。阪急阪神HD傘下ということで、当然経営はかなり安定している。
阪急電鉄や阪神電鉄という鉄道会社の関連会社のため、ブランド力が底を上げている。倍率が高くて難易度が高いのも避けられない。
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東京都江東区在住。1993年生まれ。2016年国立大学卒業。主に鉄道、就職、教育関連の記事を当ブログにて投稿。新卒採用時はJR、大手私鉄などへの就職を希望するも全て不採用。併願した電力、ガス等の他のインフラ、総合商社、製造業大手も全落ち。大手物流業界へ入社。
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