東京で一番有名な鉄道路線といえば「JR山手線」ではないだろうか。東京駅から、品川、渋谷、新宿、池袋、上野といった首都圏有数の駅を通って一周する線路を走る路線であり、東京へ一度行ったことがある人なら、大多数の人は乗ったことはあるだろう。
しかし、残念ながらグリーン車はなく、連結されているのは普通車のみである。そのため、着席サービスはなく、確実にゆったちと座る手段はない。混雑しているラッシュ時であれば、立つしかない場合も多い。
どうして、利用者が多い山手線には、JR東日本の多くの路線で既に導入されているグリーン車は連結されていないのか。その理由について述べていく。
短距離ユーザー用の路線だから
山手線にグリーン車がない理由の1つとして、ほとんどの人が短距離ユーザーであり、数分乗れば目的の駅で降りる場合が多いからである。短い距離の利用のための電車であることから、快適な着席サービスを保証する車両は必要とされていない。
それよりも、普通車を増やしてできる限り多くの日地を輸送できる環境の方が、山手線には求められている。通勤ラッシュ時のみならず、平日・土日の全時間帯にわたって多くの人が利用する路線である。
それだけ混雑度も高いことから、単純な輸送力の強化だけが求められているのである。1編成の列車にできるだけ乗客を積み込むことが最優先されているというわけだ。
短距離用の路線であることに加えて、利用者がいつも多いという点が、グリーン車の導入が行われない理由であるのだ。
郊外へ伸びる路線には最適
一方、都心部から郊外へと延びる路線の場合、グリーン車の需要は大きい。山手線のような短距離ではなく、近郊型の路線は都や県をまたいで長距離移動のために利用する人も多い。
同じ電車に1時間以上も乗り続けるという例も少なくない。長距離で利用する場合、やはり着席して快適に電車に乗ることはとても心地よいだろう。このようなニーズに応えている車両こそ「グリーン車」なのである。
郊外へと延びる路線の場合、混雑度は時間帯によって大きく異なる。平日の通勤ラッシュ時の場合、朝は上り、夕方から夜にかけては下りの列車がそれぞれ混雑するが、それ以外の時間帯においては、それほど混まない。「ガラガラ」の場合も少なくない。
空いている時間帯が多いことから、グリーン車を連結してもそれが悪影響を及ぼすことはほとんどない。輸送力の強化よりも快適性の方が重視できる環境であるため、多くの近郊型の路線ではグリーン車が導入されているのである。