南海高野線ではほとんど高架化が進んでいない。橋脚を建設して線路を移す連続立体交差事業には消極的となっている。本線側やJR阪和線と比べても未だ計画が具体化していない状態で、平面を電車が走っている。
主要な道路であっても南海高野線は踏切で交差している箇所がかなり多い。大阪市内や堺市内の人口の多い地域であっても踏切で接しているケースが多い。
現在は堺市内の浅香山駅~堺東駅間にて連続立体交差事業が行われるという計画が存在する。この区間では線路を高架化して踏切をなくす予定になっている。完成すれば、周辺の人々の移動が自由になり、地域内でのスムーズな移動が可能となる。
しかし、これ以外の区間については依然として何も計画はない。大阪市内の人口密集地であっても踏切が撤去される目途はまったく立っていない。
なぜ連続立体交差事業がないのか?
線路を高架化したり地下化したりするには莫大なお金がかかる。鉄道会社単独で行うのはまず不可能だ。特に南海電鉄は関西の中でもあまり収益性が良くない鉄道会社ということもあって、線路を高架や地下に移す余裕があるわけではない。
連続立体交差事業は主に沿線の自治体が主導することがほとんどである。このための費用の大半は沿線自治体が支払う。
ここで、もし自治体の予算に余裕がなかった場合、事業を進めていくことはほぼ不可能となる。鉄道の立体交差を実現するには市町村に財政的な余裕が必要となる。
南海高野線の沿線で最も人口が多いのは大阪市と堺市である。特に前者の大阪市を走る区間では今でも高架にする連続立体交差事業が事業化されていない。構想があるといっても、計画の段階にさえ入っていない。
最大の理由は、予算の問題と考えられる。大阪市は財政的に余裕がないのが現状である。その一方で、連続立体化するべき路線は他にもたくさんがある。阪急京都線やJR関西本線(大和路線)、阪和線などである。
大阪市にとって、南海高野線の線路を高架化することに予算を費やすことの優先度はこれらと比べると劣っているのだろう。
堺市内は計画段階に入っている
堺市については、南海本線やJR阪和線と同じように南海高野線に関しても連続立体交差事業に積極的といえる。
工事はまだ始まっていないものの、堺市を走る浅香山~堺東の区間では高架化を進めていくという計画ができている。現時点では主要な道路でも踏切で交差していて、長時間待たされたり渋滞ができていたりする。地域にとっては大きな社会問題となっているのは事実。
しかも、中百舌鳥駅から難波駅側では泉北高速鉄道からの直通列車も多数走っている。高野線単独の電車に加えて泉北高速線の電車の両方が走る区間ということで、列車の運行本数は非常に多い。
本数が多いということはそれだけ踏切が鳴る頻度も多い。踏切があるだけで地域の住民の円滑な移動の妨げになる。高架化しなければならない事情をもっているのも堺市といえるだろう。
だからこそ、堺市は積極的に立体化の計画を検討している段階に入っている。