南海本線とJR阪和線は互いに競合する関係にある。大阪から和歌山・関西空港を結ぶ路線で、全線に渡って並行して走っている。今回はこの2つの鉄道を比較してみた。
南海本線は言うまでもなく南海電鉄という関西地区では大手私鉄が運営する路線である。高野線と並んで2大幹線という位置づけになっている。
阪和線はJR西日本が運営する路線である。山陽新幹線などを運営しながら関西地区をカバーするJRだ。
南海本線とJR阪和線では、同じエリアを走っているものの所要時間や運賃の料金、本数の充実度には大きな違いが見られる。
南海本線vsJR阪和線のバトル
阪和間の移動 | 南海電鉄 | JR西日本 |
所要時間 | 59分(特急サザン)
71分(空港急行+各停) |
72分(紀州路快速)
44分(有料特急くろしお) |
運賃 | 920円
(指定席のみ+510円) |
860円
特急は+970円(自由席) |
南海本線とJR阪和線では、それぞれ優勢に立つところもあれば、劣勢となっているところも存在するといえる。
運賃と所要時間は全体的に反比例している。安ければその分遅く、高ければその分速達性に優れている傾向が表れている。
所要時間は南海が優勢
大阪市から和歌山までの所要時間では、どちらかというと南海側が優勢に立っている。なんば~和歌山市間は特急サザン号で59分となっている。
特急サザンは自由席と指定席があり、8両編成の4両分が自由席となっている。こちらは乗車券のみで乗れて、追加的な特急料金はかからない。指定席だけ追加料金510円が発生する。
なんば~泉佐野間を空港急行、泉佐野~和歌山市を各駅停車で乗った場合でも71分となっている。
【南海電車】特急サザンの自由席は無料!? 乗車券のみで乗れる!
JR阪和線の場合、天王寺~和歌山間は紀州路快速で72分かかる。乗車券のみで乗れるいわゆる無料列車では、南海の方が所要時間が短い。
阪和線は特急くろしお号を使うという手段があり、こちらは44分が標準となっている。しかし、南海とは違って完全な有料列車である。乗車券+特急券が必要となり、運賃は合計すると2倍以上かかる。
こうした状況から、所要時間では南海の方が優勢だといえる。
運賃は基本的に南海、阪和間はJRが優勢
運賃の料金に関しては、大阪と和歌山の間の移動だとJR阪和線の方が優勢といえる。JRは天王寺→和歌山間で特定区間運賃を設定している。
天王寺→和歌山間は860円に設定されている。本来の定価だと運賃は1,080円になる。しかし、これだと並行する南海電鉄との競争に負けてしまうということで特定区間運賃を設けて安い料金に割引している。
南海経由では、なんば→和歌山市間の運賃は920円となっている。JR西日本よりもやや劣勢となっている。
ただし、JRでも難波→和歌山だと特定区間運賃が適用されない。そのため、一気に1,080円という料金になり、南海本線の方が優勢になる。
一方、難波~堺だとJR阪和線の方が安い。JRは220円なのに対して南海は260円になっている。天王寺→堺市だとJRは180円のため、さらに安い値段になる。
なんば・天王寺~泉佐野・日根野でもJRの方が安い。JRは550円、南海は590円ということでJRが安い。
JR難波発で計算すると阪和線経由で640円になるため、こちらは何回の方が優勢。しかし、距離に対しては南海電鉄の方が若干割高となっている。
電車特定区間であることに加えて特定区間運賃を適用すると、どうしても価格競争を意識しているJRの方が安い料金になりやすい。