東武鉄道の特急はすべて追加料金がかかる有料列車となっている。他の私鉄のように無料で乗れる電車は走っていない。乗車券や定期券とは別に特急券を購入する必要がある。
特急という名前が付く列車はすべて専用車両が使われている。さらに、すべて指定席となっていて、自由席が設けられていない。切符を購入する際には座席指定も行うことになる。
特急料金がかかるという点では、JRや西武、小田急、近鉄と同じ制度といえる。リクライニング付きの転換クロスシートで運転される。
なお、同じ特急列車でも種類によって料金には違いがある。リバティ・スペーシア・りょうもうといった名称が付いていて、特急券の値段は同じ区間を乗る場合でも異なる。
なぜ特急は有料なのか?
なぜ東武鉄道の特急は他社とは違って有料なのか。東武線やJR、小田急、近鉄などにはあまり乗ることがない人にとっては、このような疑問が思い浮かぶかもしれいない。
首都圏では、京成(成田スカイライナーを除く)、京王、東急、京急、相鉄では「特急」という名前の電車も特急券は要らなくて無料で乗れる。
使用されている車両も通常の通勤型電車である。転換クロスシートではなく、窓に対して背を向けて座るタイプのロングシートになっているところがほとんどだ。
東武鉄道の場合、路線の距離が私鉄の中ではかなり長い。近鉄の次に全路線の営業キロ数が長い鉄道会社である。東武伊勢崎線と日光線は東京圏から遠く離れたところにまで延びる。
有料列車である特急を運転させてもまとまった利用者を確保することができるため、東武鉄道では無料の特急が走っていない。需要があるのが理由というわけだ。
さらに、地方の区間は都市部とは違って乗客の数そのものが少ない。赤字路線も抱えている。黒字幅を大きくするためにも、有料列車である特急を走らせている理由の1つだろう。
リバティの運賃は高い
東武鉄道の特急で代表的な種類が、「リバティ」、「スペーシア」、「りょうもう」の3つだ。
運賃の値段については、リバティが最も高い。2017年4月21日から運転開始された種類である。「リバティけごん」・「リバティきぬ」という名前が付けられ、浅草駅から東武日光駅や鬼怒川温泉駅まで走る。一部は会津田島駅まで乗り入れる。
「リバティりょうもう」という種別もある。こちらは、館林・太田・赤城方面へ行き来する伊勢崎線系統の特急である。
車両は新型の500系が使われている。新しい列車ということで、運賃は最も高い。スペーシアや単なる「りょうもう」と比べても割高な特急料金となっている。
特急料金は、リバティ、スペーシア、りょうもう、不定期列車の順になっている。不定期列車とは、しもつけ・きりふり・ゆのさとのことを指す。
いずれも本数は極めて少なく、平日のように運転されない日も多い。土日祝日のみの運転となるケースがほとんどで、1日に1本しかない列車もある。