埼玉高速鉄道では現在の終着駅である浦和美園駅から北へ延伸させて、岩槻駅や蓮田駅までの区間を建設するという計画がある。今よりもさらに12km程度路線距離が長くなり、埼玉県南部の沿線の人の足となることが期待されている。
しかし、今のところ事業が着工される見通しは立っていない。今後は人件費や土地の高騰によって建設費が増加することも予想されている。
埼玉高速鉄道自体が、利用客が伸び悩んでいてあまり儲かっていない。一応は営業利益が黒字になっているのは確かだが、少しでも旅客収入が減ると赤字に転落するくらいのレベルだ。これにより、延伸の必要性そのものが議論されているほどの状態となっている。
2030年以降になるかもしれない
埼玉高速鉄道では現在、埼玉県が中心となって岩槻駅までの延伸を検討している段階にいる。数年前までは、東京オリンピックが開催される2020年までの開業を目指したいとしていたものの、未だに工事は着工されていない。
オリンピック開催までに完成させるのはもはや不可能だ。用意買収もまったくと言っていいほど進んでいない。このままだと、部分開通の可能性が高いとされる岩槻駅までの区間でさえ完成するのは2030年以降になる可能性が高い。
東武野田線(アーバンパークライン)との相互直通運転も検討されていたが、東武鉄道と埼玉高速鉄道の設備の構造上難しいとして、この案は消えつつある。今のところは駅舎を地下に建設する計画のようだ。
最終的にはJR宇都宮線と接続する蓮田駅まで延伸させる計画である。さらに、埼玉県では羽生駅付近まで伸ばしたいという意向も示している。
しかし、工事が着工されていないことから、これが実現される目途は立っていないのには他ならない。
快速・急行の運転も開始?
岩槻駅まで部分的に延伸した後は、埼玉高速鉄道線内で「快速」もしくは「急行」の運転を始めることも検討されている。通過駅を設定することで、並行するJRや東武鉄道よりも速達性を向上させる狙いがある。
ただし、埼玉高速鉄道にて待避線があって追い越しができる駅は鳩ケ谷駅くらいしか設置できないことが予想されている。他の駅では待避線を作れるほどのスペースに余裕がない。
また、追い越し設備を設けるとなるとさらに建設コストがかかる。黒字幅が小さい埼玉高速鉄道にそのような予算を作るのは現実的に考えるとやや難易度が高い。
しかも、直通先の東京メトロも埼玉高速鉄道内で優等列車の運転には消極的だ。南北線の混雑度の差が出る可能性が高まるというのがその理由のようだ。
東京メトロ南北線の乗車率を列車種別による格差が出ることなく均等に保ちたいという点から、現在と同じように各駅停車のみが好ましいという意向を示している。
したがって、岩槻駅や蓮田駅まで延伸した際に快速または急行が運転されるようになるかどうかは不透明としか言えない。