ENEOS(エネオス)のガソリンスタンドの価格は他社と比べて高い傾向がみられる。
独自ブランドのみならず、多く出店しているシェルと比べても全体的に割高な値段となっている。
最大の理由は流通コストにある。ENEOSだと自社の親会社であるJXTGエネルギーという石油元売り会社から直接燃料を仕入れているからといえる。
一方で、特に「格安ガソリン」と呼ばれる無印のガソリンスタンドは自社ブランドであるが、仕入れているガソリンや軽油は元売り会社の余剰在庫である。見切り処分となった石油といういことで、定価よりも割安な値段で仕入れている。
ブランド力が値段の高い理由
ブランド | 流通ルート | 値段 |
ENEOS | JXTGエネルギーの油槽所から新鮮なガソリンや軽油を仕入れ | 高い |
コスモ石油 | コスモ石油の油槽所から新鮮なガソリンや軽油を仕入れ | 高い |
昭和シェル石油 | 昭和シェル石油から新鮮なガソリンや軽油を仕入れ | ふつう |
自社ブランド | 複数の元売り会社から余剰在庫を仕入れ | 安い |
自社ブランド:地域独自のブランド、格安ガソリンともいわれる |
燃料価格資料:現在のガソリン価格の比較(gogo.ss)
ガソリンスタンドと製油所の石油を販売する元売り会社との間には商社があることが多い。直接仕入れていることは少ない。
仕入れ価格だが、ENEOSはJXTGエネルギーが用意した石油の在庫を優先的に入手するため、精製されたばかりのガソリンや軽油を仕入れる反面、価格がほぼ定価のままとなる。
自動車の燃料として使われるガソリンと軽油、それに合わせてガソリンスタンドで販売される灯油の場合、JXTGエネルギーで精製されたものはまず最初にENEOSのスタンドに出荷される。
ガソリンの質そのものはJIS規格で決まっているため、ENEOSでもほかの会社のガソリンスタンドで販売されているものでもほとんど差がないのは確か。
しかし、精製されたばかりの新鮮な石油は自社のスタンドに優先して配分されるため、劣化が少ないのは確かだろう。
ブランド力により、品質も高いのがENEOSである。結果として、ガソリン価格が高いこととなる。
格安ガソリンは余剰在庫の寄せ集め
<自社ブランド>
- 元売り会社から余剰在庫を安い値段で仕入れ
- 石油の保管はコストがかかるため、安く売りさばくのが採算性良
- 安い卸売価格のため、小売り価格も格安に
参照:格安ガソリンスタンド、なぜ周辺より低価格を実現できる!?
一方の「格安ガソリン」とは「格安軽油」、さらには「格安灯油」と呼ばれる自社ブランドの会社は、元売り会社から余剰になった在庫分を安く仕入れている。
石油はその特性上、長期間貯蔵しておくには膨大なコストがかかる。元売り会社としても莫大な費用をかけてまで保管しておくよりは、安く見切り販売した方が採算がとれる。
プライベートブランドでガソリンスタンドを運営している会社はこうした余剰分の在庫を安い卸売価格で仕入れている。
結果として、消費者にもその分安い値段で販売することができている。ENEOSよりも安い理由はここにある。
同じENEOSでも地域差もある
ところで、同じENEOSというブランドのガソリンスタンドでも、実際の小売り価格は地域によって大きな差がある。
全体的に安いエリアもある反面、全国平均を大幅に上回るエリアも存在する。
これは、周辺のガソリンスタンドとの競争や輸送にかかるコストが大きく関係してくる。
- 周囲にいくつもガソリンスタンドが立地:安い(競争が激しいから)
- ガソリンスタンドが少ない地域:高い(市場を独占できるから)
参照:ガソリン価格、なぜ地域差があるのか!? 安い・高いエリアの理由
郊外のバイパスのようにガソリンスタンドがたくさん立地するようなところは安い。また、製油所の近くも価格が低い傾向にある。輸送費がかからないためだ。
一方で地方部や山間部ではガソリン価格が高い。周辺との価格競争がなく、市場をできるからである。
また、製油所から遠く離れた地域も輸送費がかかることから高い。太平洋側よりも日本海側に多い傾向にある。
同じENEOSでも、全国で比較するとその値段の差額はかなり大きい。