満員電車のストレスの目安について、具体的にどれくらいの目安になるのか考察してみた。混雑率と乗車時間ごとにレベル分けしてみた。朝夕の通勤ラッシュで鉄道を利用する人が抱える負担は大きいことには変わりない。
「満員電車」という括りでは同じでも、路線によってストレスや体力的・精神的な負担の大きさは違う。
地域別では特に混み具合がひどい東京を中心とする首都圏に大きく偏っている。全国的にみても特に実態は深刻である。
満員電車のストレス度の目安
満員電車でも混雑率(=乗車率)の数値が高いほどストレスの度合いが大きくなる。さらに、乗っている時間が長ければ長いほどストレスが増える。
<混雑率・乗車時間ごとのストレス度> | |||
混雑率 | 15分 | 30分 | 45分以上 |
100% | ★ | ★★ | ★★★ |
120% | ★★ | ★★★ | ★★★★ |
150% | ★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
180% | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
200% | ★★★★★ | ★★★★★+ | ★★★★★++ |
誰もがストレスをあまり感じずに電車に乗っていることに耐えられるのは、混雑率が100%の状態までであろう。それ以上になると心理的に辛い。
それでも、実際のところは混雑率が大幅に100%を超えている路線が多い。特に首都圏ではほとんどの路線で大幅に超過する。
ストレスフリーな鉄道路線なんてものは存在せず、電車通勤をしている限りは、職場がフレックスタイム制でないと地獄の状態を味わうこととなる。
混雑率=120%
混雑率が120%の路線の場合、過剰なストレスまではいかないレベルは乗車時間が30分くらいまでの利用が上限。それ以上長い時間乗り続けると誰もがイライラする。
そもそも電車で座れないことにストレスを感じることもあるが、それだけならまだ深刻な状況ではない。
しかし、長時間電車に乗っているとなると話はまた別になる。毎日通勤するのが嫌になる1つの目安には確かになるだろう。
関西圏や名古屋圏では混雑が激しい路線に入るものの、首都圏では逆に空いているレベルになる。空いているわけではないものの、ほかと比較するとマシなのは確かな事実でもある。
混雑率=150%
混雑率が150%に達する電車に乗ると、ドア付近では乗客隣同士が接するかしないかの瀬戸際になる。リュックを背負って乗るのはほぼ不可能。強硬すれば周囲に迷惑になる。
ストレスの目安は、乗車時間が15分くらいまでなら何とか耐えられるかもしれない。それ以上になると、気持ち的にとてもイライラするのは避けられない。
周囲の乗客も同じようにイライラする。ちょっとした乗客同士のトラブルで暴力を伴う傷害事件へと発展する事例もある。
混雑率=180%
混雑率が180%に達すると、ドア付近では完全に隣にいる乗客と体の一部が触れ合うレベルになる。最混雑区間ではドアが閉まらない光景も現れる。ここでは手を動かすことすらできないレベルになる。
車内奥でも空間にはまったく余裕がない。新聞を読むことは困難、スマホの操作もできるかできないかのラインになる。しかも、強引にスマホを操作しようとすると周辺の乗客がそれを気にすることにもなりかねない。
乗車時間がわずかであろうと、誰もがストレスを感じるレベルなのが混雑率180%という混み具合の特徴でもある。運良く座っている人でも圧迫感のあまりストレスを感じるほどでもある。
東京を中心とする首都圏の路線ではこれくらいの規模に達する鉄道路線は複数ある。上位クラスにランクインするほどだが、少数派といえるほどでもない。
混雑率=200%
混雑率が200%に達する路線は今日では一部に限られる。
具体的には東京メトロ東西線、190~200%でJR横須賀線、中央総武緩行線(各駅停車)、東急田園都市線が該当する。
電車に乗ろうとするだけでも大きなストレスを感じる。ドア付近は100%確実に他の乗客と体が接する。ドアもふつうには閉まらないため、乗客を押し込む「押し屋」がホーム上に待機している。
15分以上も乗っていると、一定の割合であまりのストレスで病気になる人も出てくるだろう。通勤で毎日使っている人でも慣れることはおそらくないはず。
社会的にも深刻なレベルの混雑であり、できるだけ早期にこれを解消することが求められる。
満員電車のストレスを解消するためには?
満員電車のストレスを解消する直接的な方法は1つしかない。「混雑緩和」を実現されることである。
これ以外に方法はない。一時的に薬などで症状を和らげることができても、根本的に問題は解決していないため効果はゼロに等しい。
混雑を緩和させるには、個人の努力ではどうにもならない。世間的に広く以下の内容を実行に移していく必要がある。
- リモートワーク(在宅ワーク)
- 時差通勤(フレックスタイム制の導入)
- 東京一極集中の解消
基本的な考え方としては、これらの手段こそが満員電車の混雑を解消させる対策になる。
リモートワーク(在宅ワーク)
リモートワークとはすなわち在宅ワークである。
職種によって実現可能・不可能があるが、オフィスでの事務作業を行う仕事であればわざわざ会社へ行かなくてもできる職務だろう。
IT業界の一部などでは導入する事例が増えているが、社会全体とし見るとまだまだマイナーである。
出勤する必要性が薄い職業に携わる人が鉄道を利用しなくなれば、少なからず混雑緩和が期待できる。ストレスもその分低下する。
時差出勤
大きなストレスを感じる通勤ラッシュは7:00~9:00までの時間帯に集中する。早朝である6時台、9時以降の日中はオフピークとして乗車率には余裕がある。
誰もが同じ時間に出退勤する必要がないとして、時差出勤である「フレックスタイム制」を導入する企業がある。
こちらは、鉄道の利用者数そのものは変わらないものの、電車に乗る時間帯をずらすことでピーク時の混雑緩和に一役買っている。
東京一極集中の解消
首都圏の満員電車の根本的な原因といえば「東京一極集中」という社会現象ではないか。
地方から毎年多くの人々が流入していることが、関東地区の鉄道の激しい混雑を引き起こしているといっても過言ではない。
人口が集中しているために、人々がストレスを感じている。地方創生という言葉があるように、人々が住む地域を全国に分散すれば、その分満員電車のレベルは下がる。
「東京一極集中」が進めば、混み合った鉄道でストレスを抱える人が増え、社会的な損失になるのは確か。