東京の都心部を通り抜ける首都高速道路には深夜割引や休日割引といった制度が導入されていない。夜中でも土日祝日でも、ETC搭載車であっても支払う通行料金は定価となる。
NEXCO各社の高速道路であれば、深夜時間帯や休みの日となれば、普通車の通行料金が安くなる。
いずれも通常料金の3割引となっている。普段よりも安い値段で高速道路を使えるというこよで、長距離を移動する人にとっては便利なシステムである。
しかし、首都高の区間ではいつ走っても通常料金が取られる。夜中や休日に出かけるメリットはほぼない。渋滞が緩やかになるものの、金銭的な恩恵はないだろう。
なぜ首都高は割引しないのか?
首都高で深夜時間帯や土日祝日であっても普通車の割引を行わないのは、それを実施する必要がないからといっても過言ではない。
首都高速道路という会社にとっても、国や地方自治体に該当する東京都などにとっても、あえて安くするメリットが薄いのも、その理由だろう。
もともと交通量が少ないエリアであれば、通行料金を安くしてまで交通の流れを一般道路から有料道路へシフトするメリットが大きい。
いつも変わりなく渋滞が深刻な首都高は、それには当たらない。
首都高はまったく休日割引が必要ない
まず、休日割引についてはそもそも大都市近郊区間では実施していない。あくまでも地方部のみで3割引を行っている。
大都市近郊部はそもそも交通量が多い。平日でも土日でも渋滞が多く発生している。割引を行うと、より気軽に高速道路を使うドライバーが増えるため、渋滞が一層深刻になる。
休日割引は観光を促進するという目的で政府が税金を使ってまで割引サービスを行っている。しかし、渋滞がひどくなれば社会にとっては不利益となる。
そんなわけで、交通量が多い大都市近郊区間では割引を行っていない。大都市のど真ん中を走る首都高も同じである。
深夜割引はなぜ実施せず?
一方の深夜割引に関してはNEXCO各社の大都市近郊区間でも実施されている。午前0~4時の間に高速道路を利用すれば3割引の料金で通れる。
休日割引と大部分は同じだが、都市周辺でもその対象となるのが深夜割引の特徴である。
しかし、首都高では深夜であっても定価である。0~4時の間に首都高を利用しても3割引とはならない。
休日割引が政府主導で行われている一方、深夜割引は高速道路会社が行っている。通常料金との差額も税金で穴埋めされているわけではない。会社側が負担するという構図になっている。
NEXCOの場合は、深夜時間帯は大幅に交通量が少ないため、少しでも収益を増やすために実施している割引制度である。
首都高は夜中であっても交通量はある程度多い。都心環状線などでは渋滞することも珍しくはない。
わざわざ通行料金を下げてまで利用者を増やす必要がないというわけだ。強気な料金体系ともいえる。