都営新宿線では2019年までに新宿~本八幡の全駅にホームドアの設置が完了する予定となっている。その後ワンマン運転は開始されるのか。
都営三田線の場合、かつてはホームドアが全くない地下鉄路線であった。開業当初は車掌が乗務していたホーム上の安全確認やドアの開け閉めを行っていた。しかし「欄干のない橋」と言われるように、線路への転落事故がたびたび起きていたことや、ホームドア方式のワンマン運転を行う東急目黒線への直通運転開始のため、2000年に全駅にホームドアが設置された。
一方、ホームドアがない都営新宿線では今も車掌が乗務している。電車が発車する際のホーム上の安全確認は最後尾に乗っている車掌が行っている。ドアの開け閉めも車掌の業務となっている。かつての三田線と同じやり方だ。
ワンマンにした場合、運転士が発車の際のホーム上の安全確認やドアの開け閉めを行うことになる。駅構内がカーブしているところでは駅員が配置されているが、直線になっている駅では1人で行うことになるだろう。
ホームドアができてもすぐにワンマン化できない?
ホームドアが設置されてもすぐにはワンマン化できない可能性がある。その理由は、運転席にホーム上の監視用モニター画面やATOと呼ばれる自動運転装置の設置も必要となるからである。
都営新宿線では今のところ運転士による手動で電車が動いている。ブレーキをかけるのも手動であり、TASCのような定位置停止装置、つまり自動でブレーキがかかって駅構内の定位置にピタッと止まれるための設備も付いていない。
ホームドアが設置されれば、今までよりもピタッと決められた停止位置に止まることが求められるため、ATOまたはTASCが整備される可能性がかなり高いが、ワンマン運転を始めるためにはホーム監視のモニターもつけなければならない。また、安全上不具合がないかどうかの検証も行われてこれには数か月はかかる。
こうした要因があるため、都営新宿線のすべての駅へのホームドアができてもすぐにワンマン化とはならないだろう。
実際、東京メトロ副都心線や丸ノ内線でもホームドアが完成してからワンマン化が実現するまでには時間を要した。有楽町線の小竹向原~新木場では未だに車掌が乗務している。過去の事例を見ても、ホームドア=ワンマン化ではないことがわかる。