東京メトロに乗ってみると電車が出発する際にドアが閉まっても発車するのが遅いと感じたことはないだろうか。
扉が閉まってから10秒くらいしてからやっと動き出すというケースも少なくない。どうしてこのようなタイムラブが存在するのか、それには理由がある。
駅員のいる駅での安全確認動作が原因
東京メトロの場合、ホーム上に駅員がいる駅での発車に時間がかかる。
ドアが閉まってから電車が動き出すまでのタイムラグがあるのは安全確認に時間がかかっているためだが、その動作の内容に問題がある。
東京メトロの動作
- 発車メロディを鳴らす
- 駅員がドア閉め合図を車掌に送る。(「〇」印のランプが出る)
- 車掌がドアを閉める
- 駅員がホーム上の安全確認
- 発車合図を車掌に送る(〇→●へランプが切り替わる)
- 車掌は車内に乗り込み、乗務員室の扉を閉めてからもう一度安全確認
- 発車ブザー合図を運転士に送る
一他の鉄道事業者ではもっと省略されている。
例えば、東武鉄道・西武鉄道を例にすると、以下のような動作になる。
一般的な動作
- 発車メロディを鳴らす
- 車掌がドアを閉める
- 車掌は車内に乗り込み、乗務員室の扉を閉めてからもう一度安全確認
- 発車ブザー合図を運転士に送る
通常の鉄道事業者ではあまり安全確認に時間を要さない傾向。
10秒程度かかる東京メトロ
他の鉄道会社の電車を乗ってみると、ドアが閉まると直ちに発車する場合がほとんどである。
対する東京メトロは10秒くらいのタイムラグを経て動き出す。
他の私鉄各線を見ても、どこも5秒以内には電車が加速し始める。
車掌の安全確認の時間は決して長い時間はかからない。車両の側面についている赤ランプが消灯したことを確認する程度である。
発車まで何秒?
鉄道会社 | ドア閉→発車までの秒数 |
---|---|
JR東日本 | 3秒以内(即発車) |
東京メトロ | 10秒程度 |
東急 | 5秒以内(渋谷駅は10秒前後) |
京王 | 5秒以内 |
京急 | 5秒以内 |
小田急 | 10~20秒 |
他の鉄道会社の場合、車掌が電車のドアを閉めたら即発車させる例がほとんどである。
ドアが完全に閉まってから5秒以内に運転士にブザー合図を送って電車が動き出すことが多い。
もっとも早いのはJR東日本の各路線だ。発車合図のブザーを使わずにドアが閉まったことが確認できれば直ちに発車となるため、ブレーキが緩んだ瞬間に加速しはじめる。乗っていて気になることは一切ない。
運転士はドアがすべて閉まったことを示す「知らせ灯」が点灯したら即発車させる。このため、ドアが閉まってから3秒以内には動き出すことがほとんど。
>>JR東日本はなぜ発車ブザー合図をやらない!? 知らせ灯だけでOK?
他にも遅い鉄道会社はある
東京メトロのように、電車のドアが閉まってから発車するまでが遅い鉄道会社は他にも事例はある。
具体的に挙げると、小田急電鉄とJR東海の2社。
いずれも10秒以上経過してからようやく電車が動き出す場合がほとんど。
理由は同じように車掌の安全確認の動作上の性質にある。
中でも小田急電鉄では特に時間をかける傾向。大規模な駅では20秒近く要することも少なくない。
ワンマン運転は5秒程度
ただし、東京メトロでも車掌が乗務しないワンマン運転の電車では、ドアが閉まってから5秒程度で動き出す。
運転士が車上モニターを見ながらドアを閉め、安全確認をしたらそのまま電車を発車させる。
車掌から運転士へのブザー合図はない。
ホームが湾曲しているような見通しの悪い駅では駅員が運転士に送る信号があるが、それでも車掌乗務よりも発車が早い。
東京メトロでワンマン運転を行っているのは丸ノ内線、副都心線、南北線、有楽町線の一部区間。
これらの路線はそうでないところよりもドアが閉まってからのタイムラグが短いと感じたことはないだろうか。