阪急電鉄の特急はすべて通勤型の車両で運転されている。そのため、トイレが付いていない。京都線も神戸線のどちらにもなく、土日祝日に運転される快速特急「京とれいん」で割り当てる6300系もトイレなしとなっている。
お手洗い設備が付いている近鉄などは、100キロ以上の走行距離を走る長距離列車だからである。乗車時間が2時間以上なることもある。JR線についても、近郊型路線では長い距離を一度に走るため、221系、223系、225系にはトイレが設置されている。
しかし、阪急の場合は始発駅から終点まで乗ったとしても乗車時間が長くても1時間程度である。最速列車の特急であれば、乗車時間は45分程である。梅田から京都河原町までの所要時間がこれに当たる。
神戸線に至っては、梅田から新開地までで30分弱であり、さらに短い。トイレを設置するほど長距離を移動するわけではないのが理由だ。
ところで、土日祝日に運転される阪急京都線の快速特急「京とれいん」という列車は観光列車という性質を持っている。使用されるのは6300系の特別仕様の車両であり、ふつうの通勤型車両とはやや違う。
あまり利用したことがない人だと、特急型の車両だと考えてトイレが付いていると思ってしまうかもしれない。
しかし、こちらもトイレは付いていない。もともとは従来の通勤型車両だったものを改造して、座席やドアの数を変えただけとなっている。
JRや近鉄、南海で走っているような「特急」というよりは、単に座席が転換クロスシート(進行方向に向いて座る座席配置)となっている「ライナー」列車のようなものだと受け止めるのが好ましいかもしれない。