阪急京都線にて遅延が多くて毎日のように頻繫に発生している原因について調査。
慢性的な混雑による停車時間の超過、過密ダイヤ、淡路駅での配線構造の3つが主な原因に挙げられる。
関西の近畿地方の中でも遅延が発生しやすい方に分類される。利用者数が多いこともあって、特に電車の遅れの影響を受ける人の数も大きい。
<最新の遅延情報に関してはこちらの阪急電鉄公式HPにて>
目次
阪急京都線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
混雑による乗降時間の延長 | ★★★★★ | 途中駅での停車時間超過 |
淡路駅の配線構造 | ★★★★ | 淡路駅の配線(平面交差)によるダイヤ調整 |
過密ダイヤ | ★★★★★ | 前を走る各駅停車に追い付く現象 |
踏切関連 | ★★★★ | 踏切での人身事故、緊急停止と安全確認等 |
阪急京都線にて遅延の原因となるのは、上記の4つが当てはまる。
まずは慢性的な混雑。朝夕の通勤ラッシュで大混雑になり、駅での乗降時間の延長による停車時間の超過が遅れにつながる。
通勤特急・快速急行・準急(堺筋準急含む)に特に乗客が殺到し、停車駅ではしばしば乗降時間超過が発生。
各駅停車は1つの駅での停車時間の超過はそれほどの長さにはならないものの、駅数が多いことで合計した遅れ時間が拡大しやすい。接続または通過待ちの優等列車の遅れによるものもある。
淡路駅での配線の構造による遅れもある。
淡路駅は京都線と千里線が交差する駅。平面交差の構造のため、京都線と千里線の上下線という組み合わせの同時発着ができず、ダイヤ調整が行われることがある。
これが遅延につながる。
そして、過密ダイヤも遅れの原因の1つ。朝ラッシュのピークの8時台では1時間当たり21本の本数が最大で運転されている。
本数そのものは決して限界といえるレベルではないが、通過駅のある優等列車の運転があることが難点。
複々線区間がないため、1本の電車の少しの遅れが後続列車の遅れに波及し、路線全体で遅延という形になる。
これら以外にも急病人救護、線路内立ち入り、駅構内の非常ボタンの作動、車両故障・設備故障などもあり得る。
混雑による停車時間の超過
混雑が原因での遅延の詳細
- 阪急京都線:上新庄→淡路で混雑率約130%
- 茨木市・淡路駅・十三駅で停車時間の超過が多発
>>【阪急京都線】混雑はどの程度激しい!? 朝と夕方のラッシュは?
阪急京都線の朝ラッシュは関西圏では比較的上位。混雑率は上新庄→淡路で混雑率約130%。
各駅停車だけの運転なら乗車率もこれに近い数値になるが、優等列車の運転があるため列車種別による違いがある。
各駅停車とそれ以外(通勤特急・快速急行・準急)では、圧倒的に後者の方が混雑する。
準急以上の列車種別が停車する駅では、誰もが速達列車に乗りたいという傾向によって大混雑になる。全員が乗り切るまでには相当の時間がかかることで、停車時間の超過が起こる。
高槻市駅、茨木市駅、南茨木駅、淡路駅の4駅で特に深刻。各停であれば30秒程度の停車時間になるところ、通勤特急・快速急行・準急では1分以上にもなる場合が少なくない。
1駅だけであれば1,2分程度の遅れにとどまるが、複数の駅に渡って続くと5分以上の遅延につながる。
遅延証明書の発行は5分以上の延着から。阪急京都線の朝ラッシュの混雑状況ではこれをすぐに満たしてしまう。
優等列車の混雑
朝ラッシュに当たる7~9時の阪急京都線の列車種別の中で優等列車に当たるのは「通勤特急」「快速急行」「準急」の3つ。
最混雑区間での乗車率が大きいのはこれら3種別。
各駅停車は停車駅が多いため所要時間が長くなる。これを敬遠する人たちが多い。
茨木市駅から京都側より大阪市内方面へ向かう人達はこれらの優等列車を選択するため、乗降時間超過が特に起こりやすい。
特に高槻市駅と茨木市駅では停車時間が長くなって、電車の発車が遅れる。
これに加えて途中で前を走る各駅停車に追いついたことで徐行運転が生じるとさらに遅れ幅が拡大する。
淡路駅での配線構造
淡路駅の配線構造による遅延もかなり多い。
淡路駅では京都線と千里線が交差するが、すべて平面交差のためどれかの電車にて数十秒の遅れが生じると、ほかの列車も淡路駅を発着できずに遅れが波及する。
特に京都線と千里線という組み合わせでは上下線が交差する形になる。片方が発着中ではもう片方は駅手前で停止せざるを得ない。
基本的に淡路駅では路線距離が長い京都本線の電車が優先されるものの、接続の都合等で遅れることには変わりない。
乗客の乗り降り以外の面でも遅れが生じる原因がこの配線問題。
これによって2,3分の遅れが発生する。
淡路駅では高架化工事が行われていて、新ホームは3階が上りホーム(京都河原町・北千里方面)、4階が下りホーム(大阪梅田・天神橋筋六丁目方面)となる。
上下線の平面交差は解消されることで、この淡路駅の配線構造による遅延は大幅に解消される見込み。
過密ダイヤ
阪急京都線では日中でも小規模な遅延が発生しやすい。その理由は運転本数の多さにある。
10分間に特急・準急・各駅停車の3本が運転されていることで、やや過密ダイヤが昼間でも続く。
同じ阪急電鉄の宝塚線と神戸線では特急・各駅停車の2本に限られていることで、これらの路線と比べると遅延が発生しやすいのは確か。
直接的な遅れの原因になるのは、前を走る各駅停車に後続の特急が追い付く現象。
特急・準急・各停のどれか1つでも1,2分の遅れが発生すると、後続列車も遅れる。
踏切関連の運行障害
阪急京都線の場合は主要な道路と踏切で交差している箇所が複数ある。
十三~茨木市駅間では交通量が多い道路とも平面で交差している関係から踏切で接している箇所が多い。
交通量が多い道路と交差する踏切が多ければ、それだけ何らかのトラブルが起きる可能性が必然的に高くなる。
人身事故がしばしば起きる阪急京都線では、実際に踏切内での事故が多い傾向にある。
これは、主要な道路と踏切で交差する箇所が少ない神戸線や宝塚線と比べると明らかに多い。
駅ホームからでの転落事故、あるいは飛び込み自殺というケースはそう多くはない。
この点に関しては、連続立体交差事業や主要な道路の立体化を行わない限りは永遠に根本的に解消されない問題であるのは間違いない。
人身事故
人身事故が起きる場所としては主要ポイント。クルマなどの一般交通と電車が衝突する可能性も高い。
踏切での事故は様々な要因の中でも「運転見合わせ」という形で大規模な運行障害になる。
一度人身事故が生じると復旧には時間を要するため、大幅にダイヤが乱れるのは回避できない。
緊急停止による安全確認
列車通過直前横断、線路内立ち入りなども起こりやすい。これらが起こると電車が緊急停止する。
運転士による目視判断の結果から踏切内の障害物検知センサーが作動して自動的に急ブレーキがかかる場合の2パターンがある。
踏切には周辺の人たちが緊急時に電車を停止させる「非常ボタン」が付いているが、これが作動しなくても障害物検知センサーが反応して電車が止まる仕組みにもなっている。
運転士が危険を見て急ブレーキをかけることもある。同じく緊急停止という形で電車が止まる。
どちらにせよ、一旦非常停止すると運転再開までには5分はかかる。
このような性質のため、踏切関連の運行障害が起きやすい。
まとめ
阪急京都線は遅延が多いということでよく知られている。電車が運転見合わせになる頻度が高い。5分くらい遅れることもかなりの確率で生じる。人身事故も他の路線と比べて多い傾向。
関西の私鉄の中でも阪急京都線の遅延率は高い。同じ阪急電鉄である神戸線や宝塚線と比較しても京都線の定時運行率は低いのが印象的。
どうして、ここだけ電車が頻繁に遅れてしまうのか。そんな乗客にとって都合の悪い結果となる原因が存在。
何より淡路駅の問題が大きい
電車が5分程度遅れる最大の原因は、なんといっても淡路駅における千里線との平面交差である。
淡路駅では東西を走る京都線と南北に走る千里線が上下線ともに平面で交差している。
複雑な配線となっていることもあって、信号待ちで時刻表通りに駅に入線できなかったり、発車できなかったりする。
基本的には京都線の電車が優先して淡路駅を発着する方針となっているが、それでも千里線の電車がポイント通過中に京都線の電車が接近して定時運行が難しくなることがしばしばある。
この淡路駅における平面交差が阪急京都線の慢性的な遅延の原因となっている。
特急・準急・各駅停車に関係なく遅れやすい環境となっているために、これがない神戸線や宝塚線よりも遅れやすいというわけだ。
現在はこうした慢性的な遅延の原因となっている平面交差を解消させるために淡路駅の高架化・立体化が進められている。
線路は上下線でそれぞれ2段になる予定であり、上側が下り専用、下側が上り専用となる。完成するのは2024年頃と発表されている。
これが完成すれば、上下線がともに平面交差して信号待ちで入線・発車できないという頻度が大幅に減る。慢性的な遅延が解消される見通しだ。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
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JR西日本 | JR神戸線、JR京都線、JR阪和線、JR東西線、JR琵琶湖線、JR嵯峨野線、JR湖西線、JR大阪環状線、JR学研都市線、JR宝塚線、JR大和路線、JR奈良線、JRおおさか東線 |
大阪メトロ | 御堂筋線、谷町線、堺筋線、中央線、長堀鶴見緑地線、四ツ橋線、千日前線、今里筋線 |
阪急電鉄 | 阪急京都線、阪急神戸線、阪急宝塚線 |
阪神電気鉄道 | 阪神本線 |
京阪電気鉄道 | 京阪本線 |
近畿日本鉄道 | 近鉄奈良線、近鉄京都線、近鉄大阪線、近鉄南大阪線、近鉄名古屋線 |
南海電気鉄道 | 南海高野線、南海本線 |