近鉄南大阪線にて遅延が多い原因について調査。踏切内での人身事故・安全確認、長野線・吉野線への直通運転の2つが主な原因に挙げられる。
頻度に関しては、関西の近畿地方の中では標準的な分類される。近鉄の中だけに対象を絞れば少ない方。
本数が多いわけではなく、運転系統も奈良線・大阪線が関わるわけではないため他の線区の影響を受けにくいのが南大阪線。とはいえ、ほかの鉄道事業者と比べると決して少なくはない。
＜最新の遅延情報に関してはこちらの近畿日本鉄道公式HPにて＞
近鉄南大阪線の遅延の主な理由
| 遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
|---|---|---|
| 踏切関連 | ★★★★ | 大和西大寺駅の配線（平面交差）によるダイヤ調整 |
| 長野線・吉野線との直通運転 | ★★★★★ | 単線の長野線・吉野線へ一部列車が乗り入れる |
近鉄南大阪線の遅延の主な理由は上記の2つ。
まずは、踏切関連の人身事故・安全確認による遅れ。
大阪市内に限れば、近鉄南大阪線は連続立体交差が整備されている。
しかし、松原市内・羽曳野市内・藤井寺市内は地上区間。踏切が多数存在することで、これに起因するトラブルが起こることがしばしば。
もう1つは近鉄長野線、吉野線との直通運転。
南大阪線の大阪阿部野橋～橿原神宮前間の方だけでなく、これらの路線内でのトラブルの影響もある程度受ける。
長野線、吉野線はいずれも全線または大部分が単線。南大阪線の複線とは違って、上下線それぞれ一度に片方しか走行できないため、相互のいずれかに遅れが出ると両方向にそれが波及。
他の路線では混雑になる乗降時間超過があるが、近鉄南大阪線はそれよりもこれら2点の方が主要原因になりやすい印象。
踏切関連の運行障害
近鉄南大阪線の場合は大阪市内以外の区間にて踏切が多い。
松原市内・羽曳野市内・藤井寺市内、そして奈良県内全域は基本的に地上を走ることで、踏切が多数存在する。
立体交差しているのは主要な国道くらいにとどまる。
交通量が多い道路と交差する踏切が多ければ、それだけ何らかのトラブルが起きる可能性が必然的に高くなる。
最も大規模な遅れにつながるのが人身事故。踏切内での自動車または自転車・歩行者と衝突事故が具体的な内容。
人身事故という分類上に区分される出来事は他にも、駅ホームからでの転落事故、あるいは飛び込み自殺というケースがあるが、踏切の有無では頻度で大きく違ってくる。
この点に関しては、連続立体交差事業や主要な道路の立体化を行わない限りは永遠に根本的に解消されない問題であるのは間違いない。
人身事故
踏切での事故は様々な要因の中でも「運転見合わせ」という形で大規模な運行障害になる。
一度人身事故が生じると復旧には3,4時間は要するため、大幅にダイヤが乱れるのは回避できない。
それでも踏切内での人身事故はしばしば発生する。
踏切が閉まっている時間が長い松原市内・羽曳野市内・藤井寺市内にて多い傾向。
緊急停止による安全確認
列車通過直前横断、線路内立ち入りなども起こりやすい。これらが起こると電車が緊急停止する。
前述のように大阪府内は本数が電車の運行本数が多いことで「開かず踏切」の性質が大きい。
そのため、歩行者や自転車を中心に踏切で無理な横断が目立つ傾向がある。朝夕に加えて日中でも警報器作動中の踏切を強引に渡る人が発生する。
運転士による目視判断の結果から踏切内の障害物検知センサーが作動して自動的に急ブレーキがかかる場合の2パターンがある。
踏切には周辺の人たちが緊急時に電車を停止させる「非常ボタン」が付いているが、これが作動しなくても障害物検知センサーが反応して電車が止まる仕組みにもなっている。
運転士が危険を見て急ブレーキをかけることもある。同じく緊急停止という形で電車が止まる。
どちらにせよ、一旦非常停止すると運転再開までには5分はかかる。
このような性質のため、踏切関連の運行障害が起きやすい。
直通運転
近鉄南大阪線の直通運転
- 古市～河内長野：近鉄長野線（12.5km）
- 橿原神宮前～吉野：近鉄吉野線（25.2km）
前述のように、近鉄南大阪線では橿原神宮前駅を境界に吉野線、古市駅を境界に長野線と直通運転を実施。
特急と急行は吉野駅まで、準急は河内長野駅まで乗り入れる。
運転系統は首都圏で主流な「相互直通運転」とシステム的には同じ。
単線区間の存在はネック
吉野線の橿原神宮前～吉野間は単線、長野線も富田林～河内長野間は単線。より遅延が起こりやすい環境下に置かれている。
このため、近鉄南大阪線内では平常運転でもこれらの路線でトラブルがあると、南大阪線区間にもダイヤの乱れが発生。
途中駅での1,2分の停車時間超過でも上下線ともに遅れが波及してしまう。
長野線内を例にすると、河内長野方面へ向かう電車が列車交換（すれ違い）を行う駅への到着が遅れると、反対方向の古市・大阪阿部野橋方面へ向かう電車も発車できずに遅れる。
片方が5分遅れると、もう片方も5分は遅れる。
長野線では富田林～河内長野間の6.8km、吉野線は全線に当たる25.2kmが単線。ここが遅延が起こりやすい根源。
その他、各路線の遅延事情について
| 鉄道事業者 | 路線名 |
|---|---|
| JR西日本 | JR神戸線、JR京都線、JR阪和線、JR東西線、JR琵琶湖線、JR嵯峨野線、JR湖西線、JR大阪環状線、JR学研都市線、JR宝塚線、JR大和路線、JR奈良線、JRおおさか東線 |
| 大阪メトロ | 御堂筋線、谷町線、堺筋線、中央線、長堀鶴見緑地線、四ツ橋線、千日前線、今里筋線 |
| 阪急電鉄 | 阪急京都線、阪急神戸線、阪急宝塚線 |
| 阪神電気鉄道 | 阪神本線 |
| 京阪電気鉄道 | 京阪本線 |
| 近畿日本鉄道 | 近鉄奈良線、近鉄京都線、近鉄大阪線、近鉄南大阪線、近鉄名古屋線 |
| 南海電気鉄道 | 南海高野線、南海本線 |