近鉄名古屋線にて遅延が多い原因について調査。路線距離の長さ、踏切関連の人身事故・安全確認の3つが主な原因に挙げられる。
東海地区の鉄道路線の中でもに遅延が発生しやすい方に分類。
一部区間では運転見合わせになることも少なくない。
＜最新の遅延情報に関してはこちらの近畿日本鉄道公式HPにて＞
近鉄大阪線の遅延の主な理由
| 遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
|---|---|---|
| 路線距離 | ★★★★★ | 前を走る各駅停車に追い付く現象、特急列車の遅れ等 |
| 踏切関連 | ★★★★ | 踏切での人身事故、緊急停止と安全確認等 |
近鉄名古屋線にて遅延の原因となるのは、上記の2つが当てはまる。
駅での乗降時間の延長による停車時間の超過も1，2分程度の遅れにつながることもあるが、大都市（東京・大阪）と比べると遥かに少ない。
1つ目は路線距離の長さ。特急列車は伊勢志摩地区の賢島駅まで走る「阪伊特急」、近鉄名古屋駅まで走る「名阪特急」が数多く運転されている。
特急列車を中心に近鉄名古屋～賢島間で144.8km、近鉄名古屋～大阪難波間で189.7kmと長距離を走る。急行でも近鉄名古屋～宇治山田間で107.1kmと長い。
2つ目は、踏切関連の人身事故や安全確認（踏切内点検）によるダイヤの乱れ。
近鉄名古屋線は名古屋市内の一部を除いて地上を走る区間がほとんどなこともあって、踏切に起因する遅延または運転見合わせが目立つ。
これら以外にも急病人救護、線路内立ち入り、駅構内の非常ボタンの作動、車両故障・設備故障などもあり得る。
路線距離が長い
近鉄名古屋線は路線距離が長い。最も長いのがアーバンライナーネクストなどの名称が付く「名阪特急」。
片道200km近くに達する上、しかも1時間当たり1，2本と高頻度で運転されている。
◎近鉄名古屋線の1列車の走行距離
名阪特急｜近鉄名古屋～大阪難波間：189.7km
名伊特急｜近鉄名古屋～賢島間：144.8km
急行｜近鉄名古屋～宇治山田間：107.1km
伊勢志摩方面へ向かう特急や急行列車も100km以上の道のり。
長い距離を連続で走る分、途中で何かのトラブルに巻き込まれる可能性が上がる。
特急の遅れ
よくあるパターンが、特急列車が遅れることで、それの通過待ちを行う急行・準急・各駅停車も同時に遅れる流れ。
特急列車は通過駅が多いことで、途中駅にていくつもの通勤列車を追い抜かす。
ここで特急列車が何かの理由で数分でも遅れると、それの通過待ちを行う急行・準急・各駅停車も待避駅を発車するのが遅れる。
特急列車が遅れる原因が近鉄名古屋線にあるとは限らず、山田線・大阪線内で起こることもあり得る。
結果的に、直接ダイヤが乱れる要素がない線区に特急の遅れが飛び火して遅延へと至ってしまう。
踏切関連の運行障害
近鉄名古屋線の場合は踏切がやや多いこともあって、ここでのトラブルもある。
名古屋市中村区の一部と中川区内に当たる烏森～伏屋間以外では基本的に地上を走ることで、踏切が多数存在する。
交通量が多い道路と交差する踏切が多ければ、それだけ何らかのトラブルが起きる可能性が必然的に高くなる。
県道クラスの道路とも立体交差にはなっていない部分も目立つ。
一番厄介なのは自動車や歩行者と列車の衝突事故。
人身事故という括りになり、他にも駅ホームからでの転落事故、あるいは飛び込み自殺というケースがあるが、踏切の有無では頻度で大きく違ってくる。
この点に関しては、連続立体交差事業や主要な道路の立体化を行わない限りは永遠に根本的に解消されない問題であるのは間違いない。
人身事故
人身事故が起きる場所としては主要ポイント。クルマなどの一般交通と電車が衝突する可能性も高い。
踏切での事故は様々な要因の中でも「運転見合わせ」という形で大規模な運行障害になる。
一度人身事故が生じると復旧には時間を要するため、大幅にダイヤが乱れるのは回避できない。
それでも踏切内での人身事故はしばしば発生する。
愛知県内・三重県内ともに発生しやすい。
緊急停止による安全確認
列車通過直前横断、線路内立ち入りなども起こりやすい。これらが起こると電車が緊急停止する。
近鉄名古屋～桑名間は特に本数が電車の運行本数が多いことで「開かず踏切」の性質が大きい。
そのため、歩行者や自転車を中心に踏切で無理な横断が目立つ傾向がある。
運転士による目視判断の結果から踏切内の障害物検知センサーが作動して自動的に急ブレーキがかかる場合の2パターンがある。
踏切には周辺の人たちが緊急時に電車を停止させる「非常ボタン」が付いているが、これが作動しなくても障害物検知センサーが反応して電車が止まる仕組みにもなっている。
運転士が危険を見て急ブレーキをかけることもある。同じく緊急停止という形で電車が止まる。
どちらにせよ、一旦非常停止すると運転再開までには5分はかかる。
このような性質のため、踏切関連の運行障害が起きやすい。
乗降時間の超過
混雑が原因での遅延の詳細
- 近鉄名古屋線：俊徳道→布施で混雑率約130～140％
- 急行に乗客殺到
＞＞【近鉄大阪線】朝ラッシュの混雑、上りはどのくらい激しい!?
近鉄名古屋線線では乗降時間超過が著しく発生しやすいわけではなく、遅延の慢性的な要因とまでは言えない。
ただし、朝ラッシュでは混雑による停車時間超過で遅れが発生することがある。
混雑率は 伏屋→近鉄八田で136％（2017年データ）。
各駅停車だけの運転なら乗車率もこれに近い数値になるが、優等列車の運転があるため列車種別による違いがある。
各駅停車とそれ以外（急行・準急・）では、圧倒的に後者の方が混雑する。
急行・準急の最混雑区間の起点になる近鉄蟹江駅での停車時間の超過がよくある。