2009年に全線開業した阪神なんば線において、朝ラッシュではどの程度混雑するのか。梅田方面の本線と比べると、比較的空いていると言われている。しかし、満員で座れない状態には変わりない。
最も混雑がひどいのは尼崎→西九条間である。三宮からの直通電車も尼崎駅始発も、梅田方面へ向かい電車からの乗り換え客が殺到し、この区間で乗車率がピークに達する。
なんば線のほぼすべての電車が近鉄奈良線へ直通する。ほとんどの乗客の目的地は大阪難波駅だが、一部の人は奈良県内まで行く。阪神本線とは違って、大阪市内を乗り降りしないケースも多い。
快速急行の乗車率は130%近くか?
国土交通省の調査によって公表されている混雑率のデータによると、阪神なんば線では最大で80~90%になるとされている。区間は千鳥橋→西九条である。それ以外は、これよりさらに低い数値となっているようだ。
しかし、これはあくまでもすべての電車を総合した場合の混雑率である。実際には、種別によって乗車率は大きく違う。
阪神なんば線では、快速急行と各駅停車の2種類が走っている。「準急」や「区間準急」という種別もあるが、通過駅があるのは鶴橋以東の近鉄線内に限られる。阪神線内は各駅停車として運転される。
優等列車は快速急行のみ。尼崎駅~西九条駅の区間で速達運転を行っていて、大物・出来島・福・伝法・千鳥橋の5駅は通過する。
所要時間が短いということで、尼崎駅以西の阪神本線からの乗客は、速い快速急行に殺到する傾向にある。尼崎駅を出発する時点で、各駅停車は比較的空いているが、快速急行がかなり満員状態となっている。
公式データは存在しないものの、個人的には快速急行の乗車率は130%近くになると感じる。ドア付近だとやや窮屈感を感じ、つり革・手すりにはつかまれないこともある。
阪神本線の特急ほどではない
ただし、阪神なんば線の快速急行でも本線の特急ほどは混雑は激しくはない。本線の場合は、特急の通過待ちを行う急行・各駅停車がいくつもある。
特急の本数そのものが多いこともあって、遅い電車はこまめに待避を行う。その分、所要時間も長くなるということで、乗客は特急に集中する。種別による乗車率の乖離が大きい傾向にある。
一方の阪神なんば線は、各駅停車でも快速急行の通過待ちは途中駅では行わない。尼崎→大阪難波間では先発の電車が逃げ切る形となっている。
快速急行でも、西九条~大阪難波間はすべての駅に停車する。そして、尼崎→西九条には待避設備のある駅がない。
そんなわけで、快速急行が特段に混んでいて、各駅停車がガラガラに空いているといった状態までにはいかない。