近鉄けいはんな線の運賃は他の路線と比べてかなり高い傾向にある。大阪市営地下鉄中央線との境界駅である長田→学研奈良登美ヶ丘までの全線を乗った場合、料金は530円になる。
生駒駅から長田駅までの10.2kmでさえ390円かかる。そして、学研奈良登美ヶ丘→本町だと810円にも上る。
近鉄奈良線のバイパス路線として建設されたけいはんな線だが、生駒→大阪難波まで乗るとなると、奈良線経由で400円であるのに対して、けいはんな線を経由すると670円もかかる。
近鉄が直接はまったく結んでいない生駒→梅田でも、けいはんな線経由だと670円かかるのに対して、奈良線経由で大阪難波駅で乗り換えるとすると630円と、40円安い。鶴橋駅からJR大阪環状線経由なら530円と、140円も安い経路となる。
なぜ、けいはんな線だけこんなに高いのか。このような疑問を持っている人は多いだろう。
債務返済のための加算運賃が発生
近鉄けいはんな線では、基本的な距離別の運賃に加えて「加算運賃」という料金が取られている。
加算運賃は、建設の際に出た借金の返済のために、標準料金にそのためのコストを上乗せするものである。近年開業した阪神なんば線や京阪鴨東線においても、この制度が取られている。
ただ、けいはんな線においては加算運賃の金額が大きいといえる。普通乗車券で40~130円の追加料金が取られる。
通勤定期券・通学定期券においても、加算運賃の制度は存在する。特に通勤定期券の場合は、最大で5,000円近くも多くかかる仕組みになっている。
長田→学研奈良登美ヶ丘間(18.8km)の通勤定期券の値段は19,230円である。他の近鉄の路線であれば、同じ距離の値段は14,320円だ。割高感を感じるのは確かである。
けいはんな線の生駒~学研奈良登美ヶ丘間の区間が開業したのは2006年のことであるが、生駒以西は1986年の開業ということで、決して新規路線と言えるほどではない。
しかし、特に新生駒トンネルの建設に莫大なコストがかかっていることもあり、建設費の償還は今も続いている。
将来的には値下げ?
ただし、加算運賃の制度はあくまでも暫定的な措置とされている。基本的な運賃体系は他の路線と変わらない。建設借金の返済のためだけに、追加的な料金が発生しているのは間違いない。
したがって、将来的には近鉄けいはんな線の運賃は値下げされる可能性が非常に大きい。沿線の人口が増え、安定してまとまった旅客収入が近鉄側に入れば、早期に加算運賃の期間が終わる。
ただ、今のところはまだ多くの借金が残っているのは否定できない。2017年現在でも、回収率は4分の1程度にとどまっている。
2006年に開業した生駒~学研奈良登美ヶ丘間に限っては、10%にも満たない。今後数年間で加算運賃が終了される見込みはほぼゼロに等しい。
本当に値下げが行われるのは、20年、30年後になる可能性が大きい。すなわち、今後もしばらくはけいはんな線だけ運賃が高い状態が続くだろう。