近鉄けいはんな線においては、ひどい時でどれくらい混雑するのか。朝の通勤ラッシュの時間帯となる7:30~8:30までのピークでは、電車の乗車率は具体的にいくつに達するのか。
けいはんな線では、すべての電車が大阪市営地下鉄中央線と相互直通運転を行っていて、コスモスクエア駅まで乗り入れている。
地下鉄へ直通しているという利便性があることで、混雑が激しい路線だというイメージを、特に沿線以外の人は抱くかもしれない。
しかし、実際にはそれほど混雑は激しくはない。並行する近鉄奈良線やJR学研都市線と比べると、空いているといっても決して過言ではない。
乗車率は最大でも100%前後
近鉄けいはんな線の朝ラッシュのピーク時の乗車率は、概ね100%程度であろう。この「乗車率=100%」というのは、座席数とつり革の数を合計した数に当たる乗車定員に対して、乗客数がそれと同じ人数になった場合の状態を指す。
座席は始発駅の学研奈良登美ヶ丘~生駒の部分で満席となってしまい、それよりも大阪側は座れないのは避けられない。
大阪市内への通勤通学客で混雑することには変わりないため、どうしても大阪府内では座れない。
ただし、それでも他の路線よりは空いている。国土交通省が公表している鉄道路線別の混雑率によると、近鉄けいはんな線は最大の混雑率が80~90%で毎年推移している。
ドア付近に立っている場合でも、他の人と接することはほとんどない。新聞もやや広げて読めるスペースがある。スマホの操作も余裕でできるレベルだ。
並行して走る近鉄奈良線とJR学研都市線においては、混雑率はピーク時で120~130%台になっている。これと比較すると、けいはんな線の混雑は緩やかであることがわかる。
なぜ空いているのか?
- 路線距離が短い
- 梅田・難波とは直結なし
- 大阪市内は地下鉄中央線に
けいはんな線の混雑が緩やかな理由としては、そもそも距離が短い点がまず挙げられる。近鉄けいはんな線単独では、営業キロ数は18.8kmしかなく、駅数も8駅に留まる。
都心直結型の路線の多くが30kmを超えることを考えると、この長さは短いと受け止められる。近距離の小規模な鉄道路線といえる規模。
また、梅田や難波といった大阪市内の中でも特に人が集まる場所にアクセスしていないのも、要因の1つとして考えられる。
並行する近鉄奈良線は難波へ、JR学研都市線はJR東西線を介してJR大阪駅などがある梅田(北新地駅)まで乗り入れている。
けいはんな線が乗り入れる地下鉄中央線は、そうしたところにはアクセスしていない。まとまった乗客が降りていくのは、森ノ宮・谷町四丁目・本町といった他の路線との乗り換え駅である。
いずれも大阪市の中心地といえるスポットではなく、大半の乗降客は乗り継ぎのための通過点として利用する駅だろう。
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また、大阪市内と東大阪市内の一部は地下鉄中央線に切り替わる。こちらは、中心部に近いため、けいはんな線よりも混雑が激しくなる。
しかし、路線の名称は異なるため、けいはんな線の運行会社である近鉄が管轄する区間ではない。けいはんな線と中央線はあくまでも相互直通運転という形になっている。
混雑度を占めるデータとしては対象外となっている。これもまた、けいはんな線そのものがあまり混まない理由といえる。