つくばエクスプレスの延伸計画の全容について調査してみた。今のところ具体化はされていないものの、都心側は秋葉原駅から東京駅にまで乗り入れ、茨城県側は茨城空港・水戸方面へ延伸させる案がある。
いずれも進展がほとんどなく、あくまでも構想に留まっている。とはいえ、東京駅への乗り入れを実現させようとする案は有名だ。
新幹線や他の在来線への接続の利便性を高めようと、今の秋葉原駅よりも先へ延ばすべきという意見は少なくはないようだ。
つくばエクスプレスの延伸計画
延伸区間 | 現実性 | 概要 |
秋葉原~東京 | ★★ | 起点の秋葉原駅から東京駅まで地下線を新設する計画。 |
つくば~茨城空港 | ★ | 茨城空港まで延伸される案。茨城県が誘致している。空港が小規模のため困難。 |
つくば~水戸 | ★ | 水戸市内まで延伸される計画。JR常磐線と並行し沿線の人口が少ないため困難。 |
つくば~土浦 | ★ | JR土浦駅へ乗り入れる構想。常磐線が存在するため困難。 |
つくばエクスプレスの各延伸計画の全容は上の通りになる。実現性を★5点満点で点数化してみた。
いずれも実現性が低いものの、東京駅乗り入れ構想は若干だが希望が残る。可能性として低いがゼロではない。
つくばエクスプレスの利用者数は大きく増加する傾向にある。開業したのは2005年で、かつては赤字になるのではないかと心配されていたが、当初の計画よりもハイペースで乗客が増え、黒字幅も大きくなった。
>>つくばエクスプレスの朝ラッシュの混雑状況を時間帯・区間ごとに調査
今よりもさらに路線を延長させる余裕ができたのがつくばエクスプレスというわけだ。
東京駅乗り入れ構想~なぜ延伸を?
東京駅と秋葉原駅では他の鉄道路線への乗り換えの利便性に大きな違いがある。
<乗り入れ路線の比較> | |
秋葉原駅 | 東京駅 |
山手線、京浜東北線 | 山手線、京浜東北線 |
中央総武緩行線 | 東海道新幹線 |
日比谷線 | 東北・上越・北陸新幹線 |
上野東京ライン | |
京葉線 | |
総武線快速、横須賀線 |
現状の秋葉原駅でもJR山手線、京浜東北線、中央総武緩行線、東京メトロ日比谷線との乗り換えができる。
しかし、東京駅はさらに多くの重要な路線が走っている。首都圏を代表する駅で、東京都心の玄関口なのが東京駅だ。
特に東海道新幹線、東北・上越・北陸新幹線が乗り入れる駅という点が大きい。秋葉原駅は近距離移動のための路線ばかりが乗り入れている。
中距離電車である上野東京ラインの電車もホームがないため、秋葉原駅は素通りとなっている。
JR山手線との接続駅であるのは同じでも、秋葉原駅と東京駅では利便性が大きく異なる。ステータスは天と地の差がある。
つくばエクスプレスとしてもできれば東京駅まで延伸して新幹線との乗り換えが直接できるようにしたいという思いはあるだろう。
茨城県は延伸を希望
つくばエクスプレスの東京駅への延伸を強く要望しているのは茨城県だ。つくば市と日本全国とのアクセスをさらに向上させたいという思いがあるようだ。
JAXAや筑波大学があり、研究学園都市として発展したつくば市は、かつては「陸の孤島」と呼ばれていた。交通手段に乏しく、公共交通機関はバスのみだった。
つくばエクスプレスが開業したことで、それが大きく変わった。秋葉原まで快速なら45分で行けるようになり、それまでは2時間以上もかかっていた所要時間が大幅に短縮化された。
そして、今ではさらに利便性を高めようとJR東京駅まで乗り入れてほしいという声が上がっている。
現時点では、つくばエクスプレス経由では北千住駅でJR常磐線や東京メトロ千代田線に乗り換えるか、秋葉原駅にてJR山手線や京浜東北線に乗り換える必要がある。このような手間を省きたいという意向があるようだ。
東京駅乗り入れはやはり無理?
しかし、つくばエクスプレスの東京駅への延伸は困難というのが現状ではある。秋葉原駅から東京駅までの距離は短いものの、トンネルを新たに建設できる余裕がないというのが本音である。
秋葉原駅付近は、地下ホームはつくばエクスプレスと日比谷線だけである。周辺の施設を見ても、地下空間はそれほど開発はされていない。
一方の東京駅はそうではない。地下空間はかなり開発されている。付近に日本橋や大手町といった地下鉄路線網が入りこんだところがある。
既に丸ノ内線・銀座線・千代田線・東西線・大江戸線のトンネルが存在する。
つくばエクスプレスの地下ホームを建設するとなると、トンネルはかなり深いところに掘らなければならない。
深いトンネルを建設するとなると膨大なコストがかかる。費用対効果が得られるかどうかは、今のところは不透明だ。
さらに、秋葉原駅と東京駅の間には急な勾配が設けられることとなる。技術的な難しさもあるのも間違いない。
東京駅への延伸計画を支持している人や組織は多いものの、課題は多い。実現の目途はまったく立っていない。