ホームドアの効果とは!? それでも人身事故は減らない理由

ホームドア設置による効果

鉄道の駅にホームドアを設置する効果とは何か。最大の目的は安全性の向上で、実際に以前よりも電車との接触や線路への転落事故は減少している。

しかし、人身事故に関しては全体的にみるとあまり減ってはいない。中でも飛び込み自殺の件数は下落する傾向が見られない。

なぜ線路へ飛び込みするのも防ぐと期待されているホームドアが整備されても自殺を含んだ人身事故は絶えないのか、その理由を考察してみた。


ホームドアの効果

ホームドア設置による効果
効果 詳細な内容
接触事故の防止 電車との接触事故が防げる。
線路への転落事故の防止 ホーム上から線路へ転落する人がほとんどゼロに。
自殺の抑制 物理的なハードルで飛び込み自殺を抑止する効果がある。
ワンマン運転 安全性の向上で車掌の出発監視が不要のためワンマン運転が可能。

ホームドアの設置によって得られる効果はとても大きい。具体的な内容では、上の4つが挙げられる。

主要な目的は電車との接触事故やホーム上から線路への転落を防止することである。ホームドアの構造には様々な種類があるものの、目的こそはどれも共通。

参照:ホームドアの種類の一覧!主要な4つを比較

特に乗客数が多い都市部では鉄道に関する事故で最も多い内容がこれら2種類である。

ホームドアがあれば乗客が立つホームと電車が走る線路との間に物理的な壁ができる。相当の出来事がない限り、2者が触れるところは存在しない。

さらに、自殺の抑止効果もある。やってくる電車に飛び込もうとしても、目の前にある物理的な壁が心理的抑止効果もある。

人身事故が少ない路線はどこもホームドアの設置率が高いという特徴がある。遅延が少ない路線を見ても、ホームドア設置済のところが目立つ。

ワンマン運転を行う副都心線

ワンマン運転もまたホームドア設置によって生まれたアイデアだろう。

安全性の向上によって、電車が発車する際の車掌の出発監視がいらないと判断され、運転士1人で運行するワンマン運転を行う鉄道事業者も出てきている。

これらの点がホームドアが整備されたことで獲得できた効果である。

ホームドアがあっても人身事故が消滅しない理由

主な理由 詳細な内容
自殺の恰好の的 高速で駅構内に侵入する電車への飛び込みは確実に自殺できる手段となっている。
踏切が存在 踏切は電車と一般人が衝突する大きな障壁に。人身事故の発生源は駅構内だけではない。
ホームドア無し駅の混在 ホームドアが設置されていない駅は以前として接触・転落事故が起こる。自殺のポイントにもなる。
※全線高架・地下の路線は除く

ホームドアがあっても人身事故が発生する理由はこれら3つになるだろう。いずれも、まだまだ大きな課題になっている。

人身事故にも大きく分けて2つに分類される。不慮の事故と自殺だ。

確かにホームドアが設置された駅では不慮の事故も自殺も減っている。それでも路線全体としてみると変わらないケースが結構多い。

自殺の格好の的

走行する電車の前に飛び込んで轢かれて自殺を図るのは今も昔も横行している。

「確実に死ねる」という理由から鉄道を選ぶ人が後を絶たない。多大な人々への迷惑となる行為だが、それでも無視する人がいるのは全く否定できない。

ホームドアが設置されている路線なら自殺をある程度抑止する効果がある。例えば、「可動式ホーム柵」だとそれを乗り越えないと線路内へは入れない。

初めから自殺行為を計画している人でも、ホームドアという物理的な物体があることで抑止効果がある。

ただし、線路内へ入れる場所は駅のホーム以外にもある。地上を走る路線なら、至るところから自由に入れるようになっている。

このように駅構内以外を選ぶ人もいる。結果的にホームドアがあっても人身事故のため運転見合わせという結果になっているようだ。

踏切が存在

人身事故の原因になる踏切

駅での乗客の電車との接触や線路への転落のみならず、踏切での衝突事故もまた人身事故の内訳になっている。

踏切では人、車との衝突によって人身事故が発生する。踏切内に侵入した車両が絡む事故だと物理的に破壊されるものが増えるため、運転見合わせの時間が長くなる。

ホームドアがあっても、あくまでも事故防げるのは駅構内のみになるため、踏切が存在している限り、その該当する路線で人身事故が限りなくゼロになることは難しい。

近年では都市部を中心に開かずの踏切を解消させようと連続立体交差事業を進めている鉄道事業者が多くなっている。

これが進めば踏切事故が少なくなる。ホームドアに次いで人身事故を防ぐ有効な方法なのは確かだ。

ホームドア無しの駅の混在

ホームドアがすべての駅に設置されている路線なら人身事故はかなり防げる。

しかし、実際のところはホームドアが設置されていない駅が混在している路線が多数である。一部の大きな主要駅では導入していても、小さな駅では未整備になっている例がよくある。

ホームドアが設置されていない駅があると、それがたとえ乗降客数が少ない駅でも電車との接触や線路への転落が起こりやすい。

特に通過列車がある駅だと、高速で駅構内に侵入するという性質から不慮の事故や自殺が起きやすい。

しかも通過列車がある駅は飛び込み自殺の名所ともなりやすい。ホームドアがここになりと、それが横行するリスクもある。

おすすめ記事