ホームドアのメーカーの主要な企業は約10社ある。いずれも日本の鉄道会社で採用された実績がある会社である。シェアも見てみよう。
重工業メーカーから鉄道関連設備に特化したメーカーまでさまざまである。近年は、駅のホームから線路へ転落する事故を防止するという目的でホームドアを導入する鉄道事業者が相次いでいる。
国土交通省でも駅構内での人身事故を少なくさせようと積極的に取り入れるように働きかけていることもあって、どんどん競争が激しくなっている。シェアを巡る争いは続いている。
ホームドアを製作する主要10社
企業名 | 採用する鉄道会社 | 主力事業 |
日本信号 | 都営地下鉄 | 鉄道・交通信号 |
京三製作所 | 全国の私鉄 | 鉄道・交通信号 |
ナブテスコ | 東京メトロ | 輸送用機器 |
高見沢サイバネティックス | JR東日本 | 改札機・券売機 |
日立製作所 | 都営地下鉄 | 重工業 |
川崎重工業 | JR東海、西日本 | 重工業 |
三進化学工業 | JR東海、西日本 | 機械制御盤 |
神戸製鋼所 | 相鉄、小田急 | 鉄鋼 |
三菱重工業 | 京急 | 重工業 |
東鉄工業 | JR東日本 | 駅舎工事 |
日本国内のホームドアを製造するメーカーは上のようになる。
いずれもホームドアだけでなく、鉄道設備全般の製品を手掛けている。実際に使われているのは、各鉄道会社によってまったく異なる。
JRと私鉄でも全く違ってくる。さらに、同じJRグループでも採用するホームドアのメーカーはそれぞれである。
>>【値段はいくら】ホームドアの設置にかかる費用は約10億円!?
さらに、ホームドア単体で導入している事業者や路線もあれば、鉄道の信号システムと連動されるためにホームドアも信号システムを手掛けるメーカーのものを導入している例も少なくない。
シェアは京三製作所がトップ
ホームドアの市場動向に関する調査はあまり進んでいなく、メーカーごとのシェアそのものを示す資料はない。
ただし、個人的な感想ではあるが、複数の鉄道事業者が投入しているホームドアのメーカーとしては京三製作所が多い。
特に民鉄、地下鉄に多い傾向にある。ホームドアに加えてワンマン運転、ATO(自動列車制御装置)またはTASC(定位置停止装置)を導入しているところでは、京三製作所が圧倒的なシェアを誇る。
>>【ホームドア】停止位置に正確さは必須! ちょっとズレるともうダメ!?
日本信号も京三製作所と同じく鉄道や道路交通の信号機メーカーとして有名である。鉄道の分野では信号システムだとシェアは国内トップである。
ただし、ホームドアに関しては京三製作所の方に軍配が上がる。日本信号の製品を採用する例はホームドアにおいてはまだ少ないといった印象である。
信号システムと連動するホームドアが注目
ATOとは自動運転のことである。運転士が乗務していても操縦そのものは行っていない。
TASCとは自動ブレーキのことである。駅に停車する際のブレーキング操作は自動で行い、より正確な位置に停車するための支援ツールである。
これらの分野は、都市部の鉄道にて車掌が乗務しないワンマン運転では必要不可欠であるが、ホームドアと一体的に導入している会社が増えている。
具体的に言うと、東京メトロ各線、都営三田線、東急目黒線、埼玉高速鉄道線、大阪メトロ千日前線、今里筋線、名古屋市営地下鉄東山線、桜通線などが典型的な例である。
いずれもATOまたはTASCを投入していて、ホームドアと信号システム、列車制御装置が連動している。
これからの市場動向としては、特に信号システムと連動するタイプが積極的に開発が進められて、それを導入する鉄道事業者が増えると考える。