東京メトロでは全駅へのホームドアの整備が予定されている。現在は9路線を持つ地下鉄の事業者であるが、どの路線のすべての駅にホームドアを2025年度までには整備するという方針が公表された。
これにより、ワンマン運転も可能になり、実際に行われる可能性が大いに考えられる。
東京メトロの管轄する路線ではすでにホームドアが設置されている路線ではワンマン運転が行われているところが多い。以下の路線が該当する。
- 丸ノ内線
- 副都心線
- 南北線
- 有楽町線(ワンマン運転は小竹向原~和光市間)
車掌が乗務しないのが特徴。ドアの開け閉めが運転士が行っている。そして、地下鉄そのものの運転操作はATO(自動列車制御装置)で運転し、手動では基本的に行わない。
ホームドア+ワンマン運転はセット!
ホームドアが整備されるということは、電車とホーム上にいる乗客と接触する事故が起きる可能性がほとんどゼロになる。
車掌の役割はドアの開け閉めと車内アナウンスだけではない。電車の発車の際のホーム監視という役割もある。
乗客と電車が接触しないか目視で確認することが求められている。
車掌の仕事内容 | 運転士の仕事内容 | ワンマンの時 |
ドアの開け閉め | ー | 運転士 |
車内アナウンス | ー | 運転士 |
発車の際の安全確認・ホーム監視 | ー | 運転士 |
― | 電車の運転操作 | ATO(自動運転) |
ツーマン(車掌乗務)の時は、運転士と車掌でそれぞれ仕事内容を分けている。昔から鉄道の運行で使われている方法だ。
ホームドアができることでこれが不要になる。そのため、運転士1人だけの乗務でも問題ない。
車掌を省くことで鉄道事業者側には人件費の削減や人手不足が解消されるというメリットがある。
ホームドアの整備を進めることはすなわちワンマン運転を可能にさせるという側面があるのは確かだろう。
したがって、「ホームドア+ワンマン運転」はセットとして捉えられる。
路線別:ホームドア設置完了の時期
これまでも、東京メトロではほかの鉄道会社よりもホームドアの設置に力を入れてきたが、一部の路線ではほとんど進んでいなかった。しかし、2017年6月29日の発表では、2025年度中には小さな駅も含めて全駅に作る見通しが立った。
最後にホームドアが設置工事が行われるのは東西線となるようだ。東西線ではこれまでほとんどホームドアの設置が重点に置かれてこなかったが、こちらも2025年度には計画が完了する。
- 銀座線:2018年度 (渋谷駅と新橋駅は大規模改修工事完了後に設置予定)
- 日比谷線:2022年度
- 東西線:2025年度 (重点駅は先行整備)
- 千代田線:2019年度
- 半蔵門線:2023年度
東西線の場合、車両によってドアの幅が違っている。新型車両の15000系はワイドドア車の仕様となっているため、他の路線で使われているホームドアでは対応できない。
しかし、ホームドアの技術が以前と比べて大幅に向上したことや、さまざまな種類のものが開発されたことによって、ワイドドア車でも通常ドア幅の車両でも対応できるものをコストを可能な限り抑えながら導入することができるようになった。
これが、東京メトロの全戦全駅にてホームドアを整備できる目途が立った大きな要因となっている。
銀座線と千代田線、半蔵門線に関しては、ドアの幅や位置は線内を走るすべての車両が同じとなっていることもあり、ホームドアの設置は決して難しくはない。半蔵門線内では、東急5000系の6ドア車が存在するが、こちらは完全に4ドアに交換される見通しのため問題はない。
日比谷線は、旧式の車両である東京メトロ03系と直通先の東武20000系が3ドア車となっているが、今後はすべて4ドア車の東京メトロ13000系と東武70000系に置き換えられる。
日比谷線へ乗り入れるすべての車両の置き換えが終われば、いよいよホームドアの設置ができるようになる。
すでに4路線はホームドア整備済
東京メトロの丸ノ内線・南北線・有楽町線・副都心線についてはすでにホームドアがすべての駅に整備されている。有楽町線を除いてはワンマン運転も実施されている。
ホームドアが作られたことにより、駅構内の安全性が飛躍的に高まった。これにより、ドアの開け閉めや発車時の安全監視を行う車掌が要らなくなったということで、ワンマン運転を行っている。
今後順次ホームドアを整備する路線においても、将来的にはワンマン運転をスタートさせる可能性は大きい。
10年後くらいには東京メトロではすべての路線で車掌が乗務しないワンマン運転が実施されるようになるかもしれない。そうなれば、大手鉄道事業者としては初の事例となるだろう。