ホームドアで停車時間は増加!? 遅延や所要時間が長くなる原因に

ホームドアで発生する遅延

ホームドアの設置によって停車時間および所要時間は延びる。数十秒の遅延をも生じる。駅構内のホーム上の安全性が向上する反面、思わぬデメリットともなる。

最近は駅にホームドアを設置する鉄道会社が増えている。しかし、それが駅での停車している時間が増える直接的な理由となっているのは確か。


なぜ停車時間が増える?

<停車時間が長くなる原因>
主な原因 遅延時間 詳細な内容
安全確認に時間がかかる 2~3秒 視認性が悪いことで、安全確認にかかる時間が増加
開け閉めに時間がかかる 3~5秒 電車のドアとホームドアとのタイムラグがある。
ブレーキ操作が難化 ATO、TASC無しの路線だとブレーキ操作に慎重さが追求される
※車両の扉と非連動のホームドアはさらに停車時間が長くなる

つまり、次のような内容が原因で停車時間が長くなる。

  • 人・荷物の戸挟まりの有無の確認
  • ドアの開け閉めに時間がかかる

ホームドアのありなしでは、ない駅の方が停車時間は短い。車両側の扉が完全に閉まってから発車するまでの時間もホームドアがあると長くなる。

参照:【ホームドア】停止位置に正確さは必須! ちょっとズレるともうダメ!?

安全確認に時間を要する

ホームドアで時間がかかる安全確認

ホームドア設置駅で安全確認する車掌

ホームドアがある場合、プラットフォームには障害物ができるということになる。乗降時間が若干長引くようになるのは避けられない。

また、視認性が悪化することから発車前の安全確認にもより多くの時間がかかる。

通常、ドア閉め後の安全確認はカーブしている駅を除いて直視で行う場合が多い。しかし、ホームドアがあると視認性が悪くなるため、モニターを使って確認しなければならなくなる。これにより、発車まで時間がかかる。

車掌や運転士の安全確認にかける時間は各鉄道事業者によって様々。10秒程度もかける例もあれば、全く無しに近い状態で発車する例もある。

しかし、いずれでもホームドアの設置によって安全確認に慎重になるのは確か。

>>【会社別】指差し呼称の徹底度を鉄道事業者ごとに調査!

開け閉めに時間がかかる

遅延の原因になるホームドア

停車中の電車はホームドアがすべて閉まらない限り発車しないが、ホームドアは車両側の扉よりも閉まるのにかかる時間が少し長い。

ホームドアと車両のドアが連動するものと非連動のものがある。全駅の設置を目指している路線では連動している場合がほとんどで、後者は試験的に設置しているところが多い。

しかし、連動していても車両のドアとホームドアの開閉にはタイムラグがある。ホームドアありの駅の停車時間はどうしても長くなるのは避けられない。

これもまた、停車時間全体が伸びる原因となってしまう。

1駅程度の停車時間が伸びる程度では、列車全体の所要時間に影響することはない。しかし、すべての駅で数秒停車している時間が増えると、始発駅から終点までの所要時間は2、3分長くなってしまう。

ホームドア無しの場合の時刻表をそのまま適用すると、ほぼ確実に遅延するだろう。今までと同じ運行行程を維持するのは困難。

鉄道の速達性が削れることとなるため、利用者にとっても利便性が落ちるのは避けられないといえる。

転落防止の特効薬は「ホームドア」の設置であるといわれているが、デメリットが一部存在するのもまた間違いない事実なのだ。

>>ホームドアの種類の一覧!主要な4つを比較

ドア閉→発車まで時間

<ドア閉→発車までの秒数>
鉄道会社 ホームドア無し ホームドア有り
JR東日本 3秒以内(即発車) 5秒程度
東京メトロ 10秒程度 5~10秒
都営 3秒程度 5秒程度
東急 3秒程度 5秒程度
京王 3秒程度 5~10秒
京急 3秒程度 10秒程度
小田急 10~20秒 15~20秒
※関東の鉄道事業者を例に。他の地区も同様の傾向。

電車の車両側のドアが閉まってから発車するまでの時間を鉄道事業者ごとにまとめると上の表のようになる。

JR東日本をはじめ、首都圏の各会社ではホームドアが設置されているところだと電車が動き出すまでの時間が長くなる。

中でも小田急線の場合はもともと10~20秒かかっていたのが、ホームドアの設置さらに5秒程度長くなっている。

車両のドアとホームドアとが非連動の場合だと全体的に発車するのが遅くなる。遅延の1つの原因になっている事例も存在する。

ホームドアの課題

ホームドアの問題点

駅のプラットフォームは柵のない崖と呼ばれるくらい、一歩足を踏み外しただけで転落する可能性がある。目の不自由な人にとってはかなり危険極まりないスペースであるのは言うまでもない。もし電車が入線しかけている最中に転落すればひかれて即死となってしまう。

健常者であっても決して他人事ではない。最近はスマホの「ながら歩き」をする人が多く見受けられるが、ホームでながら歩きをすれば一瞬で線路へ転落することとなるかもしれない。

そうした危険性を排除するための手段がホームドアである。ホーム上から転落しないよう柵を設ければ安全性が高まり、人身事故が大幅に減る。

しかし、すべてがメリットばかりではないのも事実である。ホームドアを設置した場合、その駅での停車時間は従来の場合よりも5~10秒程度増加する。

>>ホームドアのメーカーの主要10社! 鉄道会社ごとのシェアとは!?


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