電車の運転士・車掌・駅員の指差し呼称の徹底度を鉄道会社ごとに調査してみた。対象範囲は全国のJR・私鉄各社。安全確認の基本となっているが、実際にやるやらないは事業者ごとに大きく異なる。
「乗降終了」とか「ドアオーライ」とか「側面ヨシ」とかいう声出し・指差し確認を行っている姿を見たことがある人は多いはず。
基本的にどこの鉄道事業者でも行うことが基本である。しかし、その徹底具合は会社によってバラバラ。厳しいところもあれば、緩いところもある。
全国のJR、大手私鉄の指差し呼称の徹底度
全国のJR・私鉄・地下鉄の鉄道事業者を見ると、関東地区では比較的厳しい傾向にあり、関西地区ではあまり行わない傾向が見られる。
特に私鉄はこの傾向が強い。東海地区の中心部である名古屋地区は東西の中間という感じがする。
指差し呼称が特に厳しく実施されている鉄道会社としては、以下が挙げられる。私鉄は首都圏勢であることが分かる。
<指差し呼称が徹底される鉄道会社>
- JR東海
- 東京メトロ
- 小田急電鉄
上記の3社はほぼ100%指差し呼称が行われている。規則が厳しいのだろうか、やらない社員はいない。
ただし、3社に共通する点として電車の発車が遅いという事情もある。安全確認のあまり、列車の遅延が生じやすいという欠点もあるのは否定できない。
これ以外の鉄道会社では各社員によって差が大きい。しっかりと安全確認を行っている人もいれば、全く行わない人もいる。
JR各社
鉄道事業者 | 指差し呼称の徹底度 | 概要 |
JR北海道 | ★★★ | 指差し確認はOK |
JR東日本 | ★ | 目視だけが多数 |
JR東海 | ★★★★★ | 指差し呼称を厳しく実施 |
JR西日本 | ★ | 目視だけが多数 |
JR四国 | ★ | 目視だけが多数 |
JR九州 | ★★★ | 指差し確認はOK |
JR各社は元々国鉄だったものが民営化されてできた会社だが、指差し呼称の徹底度は全く異なる。
最も厳しいのがJR東海である。運転士、車掌はもちろんのこと、ホーム上にいる駅員も指差し呼称を徹底的に実施している。
安全確認のやり方が全国の鉄道会社の中でもっとも徹底されている事業者とも感じる。支社ごとの違いもほとんどない。
JR北海道、JR九州も比較的指差し呼称が実施されている。声出し確認までは行わない職員が結構いるものの、指差し確認は行っている人がかなり多い。
JR東日本、JR西日本はあまり徹底されていない。運転士も車掌も指差し確認を行わずに目視のみという人が目立つ。国鉄時代は目視だけが主流だったが、JR化された今でもまだ緩々といえる。
>>JR東日本はなぜ発車ブザー合図をやらない!? 知らせ灯だけでOK?
JR四国もまた同じ傾向がみられる。こちらは大都市圏をカバーしているわけではないため、あまり目立たないこともあってか、確認の仕方もそう徹底はされていない。
関東私鉄
鉄道事業者 | 指差し呼称の徹底度 | 概要 |
京成電鉄 | ★★ | 指差し確認なら行う人が多い |
東武鉄道 | ★ | 目視だけが多数 |
西武鉄道 | ★★★★ | 指差し呼称を行う人が多い |
京王電鉄 | ★★ | 指差し確認なら行う人が多い |
小田急電鉄 | ★★★★★ | 指差し呼称を厳しく実施 |
東急電鉄 | ★★★ | 指差しは絶対 |
京急電鉄 | ★★★ | 指差しは絶対 |
相鉄 | ★★ | 指差し確認なら行う人が多い |
東京メトロ | ★★★★★ | 指差し呼称を厳しく実施 |
都営地下鉄 | ★★ | 指差し確認なら行う人が多い |
関東私鉄の場合は、小田急と東京メトロにて厳しく指差し呼称を徹底している。指差し・声出しをしっかりしている従業員がほとんど。
運転士・車掌・駅員ともの安全確認を行っている姿がいつても見える。
西武鉄道、東急電鉄、京急電鉄もまたしっかり行っている人が比較的多い。指差し確認だけに視点を置けば、実施率はほぼ100%である。
一方の、京成、東武、京王、相鉄、都営地下鉄ではあまり指差し呼称は行われていない。特に東武鉄道では目視だけという人が多い。
東武以外も目視だけの人も見受けられる。研修中の新入社員を除いてはマニュアル通りには行っていない社員が多い印象だ。
関西私鉄
鉄道事業者 | 指差し呼称の徹底度 | 概要 |
阪急電鉄 | ★ | 目視だけが多数 |
阪神電鉄 | ★ | 目視だけが多数 |
京阪電鉄 | ★★ | 目視確認は徹底されているが |
近鉄 | ★ | 目視だけが多数 |
南海電鉄 | ★★ | 指差しは比較的多い |
山陽電鉄 | ★ | 目視だけが多数 |
大阪メトロ | ★ | 目視だけが多数 |
京都市営地下鉄 | ★★ | 指差しは比較的多い |
神戸市営地下鉄 | ★ | 指差しは比較的多い |
関西私鉄の場合、目視による確認だけという鉄道会社がほとんどである。指差し呼称をしっかりと行っている事業者はない。
京阪電鉄と南海電鉄では比較的安全確認が徹底されている。車掌によるホームの端の安全確認は行われている。
ただ、いずれも目視による確認だけが多くみられ、指差し・声出しをもやっている社員は少ない。
どこの関西の鉄道会社でも運転士の指差し呼称はほとんど行われていない。声出しに至っては皆無ともいえる水準である。
東海地区
鉄道事業者 | 指差し呼称の徹底度 | 概要 |
名鉄 | ★★★ | 指差しは絶対 |
近鉄 | ★ | 目視だけが多数 |
名古屋市営地下鉄 | ★ | 目視だけが多数 |
名古屋を中心とする東海地区は、名鉄では指差し確認はある程度徹底されている。運転士も車掌もほぼ全社員で安全確認を行っている姿が見られる。
近鉄は大阪が拠点ということで名古屋の鉄道会社ではないものの、東海地区も走っている。ただ、安全確認の傾向は関西と同じ。
名古屋市営地下鉄は目視だけによる確認が多い。指差し呼称を行っている乗務員はほとんどいない印象。