京成電鉄は他の私鉄各社と比べると古い車両が多い。ボロい電車が主力といっても過言ではない。なぜ新型のタイプへの置き換えを行わないのか。
京成本線でも成田スカイアクセス線でも、使われている車両のほとんどは製造されてから30年近く経過する。
他の鉄道会社を見ると、特に首都圏では新型車両を積極的に導入しているところが多い。ボロい車両は新しいものへ次々と更新させていくというスタイルもある。
京成電鉄では、最新型車両でも3000形シリーズである。2003年から運転開始されているが、それ以降の新たな型式は登場しない状態が続いている。
車両を置き換えられる資金がないから
新しい列車を導入するとなると、1編成だけで約10億円ほどの金額が必要となる。古い車両を置き換えるとなると、これが数十倍にまで膨れ上がる。
つまり、新しい車両を導入する路線では、それに100億円以上の資金を費やしているというわけだ。
旅客収入が多く、乗客が多いエリアが多い鉄道会社であれば、新型車両を導入できるほどの余裕が予算にあるだろう。
しかし、京成線はそうとは言えない。都心から離れた地域に線路がある例が多い。乗客の数は都心に近いところよりも大幅に少ないため、収益性は良くない。
しかも、京成線の都心部のターミナル駅は京成上野駅となっているが、他の私鉄と比べると利便性は良いとは言えない。
加えて、本線はほぼ全線に渡ってJR総武線と並行して走っている。所要時間はJR側が優勢であることから、沿線の鉄道利用者で京成を選ぶ人は多いとは言えない。
競争が激しい部分を管理する鉄道会社ということで、車両の更新に費やせる資金には乏しいといえるだろう。
優先課題が他にある
京成電鉄では、車両の置き換えよりも優先するべき課題を持っているのも確かではないか。
成田スカイアクセス線が2010年に開業したが、その借金は未だに多く残っている。成田空港へのアクセス列車であるスカイライナーが乗り入れているとはいえ、沿線の人口はまだ少なく、成熟しているとは言えない。
北総鉄道の運賃の高さも問題となっている。京成電鉄の直営路線というわけではないものの、株主の一部は京成電鉄となっている。
建設の借金が多く残っている以上、車両の更新に回せる予算はつきにくい。返済に少なからずの影響が出てしまう。
ボロい車両とはいえ、年式が古いだけであって、メンテナンスを続けていくことで運用上の支障も今のところはないようだ。
そして、これもまた新型車両の導入に踏み切る必要が薄い理由となっている。