JR東日本の京葉線の普通電車に「グリーン車」が連結されていない理由とは何か。首都圏において、都心から郊外へと延びる路線の多くでは、追加料金がかかるが快適に座れる車両がついている。しかし、京葉線には存在しない。
東京駅から東京湾岸を通って千葉県の蘇我駅まで伸びる京葉線であるが、運行距離は比較的長く、決して短距離路線ではない。さらに、外房線や内房線にも一部の列車が直通運転する。
こうした事情を考えると、京葉線にグリーン車があっても決して不思議ではない。しかし、実際には普通車のみで編成され、確実に座れるような車両はない。
車両編成が短いから
京葉線は、郊外に延びる他のJR東日本の路線と比べて、1編成あたりの車両数が少ない。千区間京葉線内を走る電車は10両編成、武蔵野線に乗り入れるものは8両編成となっているが、これは総武快速線の普通列車が15両編成で運転されるのと比較すると少ない。
仮にグリーン車を連結してしまうと、従来の運賃で乗れる車両数は減ってしまい、最大でも8両だけとなってしまう。こうしてしまうと、混雑率がさらに高まり、利用者にとっては過酷な環境となる。
また、京葉線はあくまでも総武線のバイパス路線として建設された経緯がある。総武線があまりにもラッシュ時に込み過ぎていたことから、京葉線を新設して輸送力を分散させたのである。
この点から、京葉線では快適性や速達性よりも、輸送力の方が追求されてきたというわけだ。いかに一度の運転で多くの乗客を運ぶかが求められてきた。
今後はどうなる?
しかし、少子高齢社会が加速している今、千葉方面へと延びる路線沿線の人口は今後減少に転じることが予測されている。かつてのようにラッシュ時の混み合いが緩くなるかもしれない。
こうしたトレンドから、今後京葉線においてもより快適性を追求したグリーン車が導入されるかも知れない。既に中央快速線では導入が予定されているが、これが京葉線の計画にも影響を与える可能性は十分にある。