都営地下鉄新宿線には「急行」という種別の電車が走っていて、平日と土日祝日の日中の時間帯に走っている。
運行本数は20分に1本あり、15分間隔で運転されている東京メトロ東西線の快速と比べると少ない。ほとんどの列車が各駅停車となっている。
とはいえ、速達性は十分にあり、しかも起点の新宿から終点の本八幡までの全線に渡って急行運転を行っているため、一部区間だけ駅を飛ばす東西線よりも速達性は大きい。
しかし、都営新宿線の場合は急行が走っている時間帯は日中のみとなっている。朝・夕方・夜間はすべての電車が各駅停車となり、駅を飛ばす列車はまったくない。
なぜ昼間だけ?
急行が昼間だけしか走っていない理由として考えられるのは以下の2つではないだろうか。
- 待避可能駅が少ない
- ダイヤの密度が高い
まず、都営新宿線にはあまり待避線がある駅がない。待避可能な駅は岩本町、大島、瑞江の3駅にしか待避線が設けられていない。
それ以外の駅はすべて東行きと西行きの線路がそれぞれ1本あるだけとなっている。しかも、待避線がある駅であってもホームの構造は2面3線となっていて、上下線のどちらか一方向でしか使えない。
急行の本数を増やせば、その分急行が各駅停車を追い抜く場所が必要となるが、追い抜けるスペースに限りがあるのが都営新宿線ならではの実情となっている。
しかも、地下鉄ということでダイヤの密度は高い。5分待てば電車が来るという都内ならではの運転体系となっている。待避スペースがないうえに本数が多いということで、どうしても急行を走らせられる余力があまりない。
朝や夕方のラッシュ時はさらに電車の運行本数が多くなるため、すべて各駅停車にしてできるだけ輸送力の確保に力を注がなければならない。
こうしたことから、都営新宿線においては日中の時間帯にのみ急行が走っているのである。需要がないのではなく、設備などの供給力に要因があるというわけだ。