JR京葉線は全線に渡って高架または地下を走っているため踏切は1つも存在しない。しかしそれでも人身事故が発生するケースがかなり多い。なぜそのようなインシデントで列車の運転見合わせが生じるのか。
東京~潮見間は地下を走っている。潮見~蘇我は高架橋の上を走っている。地上を走るのは新習志野~海浜幕張の下り線とかつて貨物ターミナルがあった稲毛海岸~千葉みなとの上下線のみである。この区間についても踏切は存在せず、一般交通と交わる場所はない。
ホームへの転落が唯一の原因
人身事故の具体的としては、駅のホームからの転落である。通過列車へ飛び込むことで自殺を図ろうとする人もいることにはいるが、誤って線路へ転落してしまう例も少なくない。
都心部の地下鉄などで目の不自由な人がホームから線路へ転落するという事故があとを絶たないとして大きな社会問題となっているが、同じ出来事が京葉線でも起きている。
こうした人身事故は、京葉線の場合は海浜幕張駅から千葉寄りの駅にて起こることが多いのが印象的だ。検見川浜駅や稲毛海岸駅にて線路へ転落してそのまま列車に引かれて死傷者が出るという事故が多発している。
逆に舞浜駅や新木場駅などの乗降客数が多い主要駅では意外に人身事故が少ない。理由として、ホーム上を監視している駅員が配置されている点が挙げられる。注意を促すアナウンスがあるのも要因の1つといえる。
駅員が配置されていなく、さらに乗降客数も少ない駅にて列車の運行が止まる原因となる人身事故が起きる傾向にある。
ホームドアが一番効果あるが…
ホーム上から線路へ転落する事故を防ぐ手段として最も効果が期待されるのがホームドアである。物理的にホームの端から落ちるのを止める役割があるため、これを整備すれば人身事故が大幅に減ってダイヤが安定する。
しかし、ホームドアの整備には欠点がある。それは設置コストの大きさである。10両編成の場合、1駅だけで約2億円の資金が必要となる。
全国のJR・私鉄各社でなかなか思うように整備が進んでいない理由はここにある。莫大なお金を用意することが必須となるために、やむを得ずホームドアの設置を遅らせているのだ。
京葉線は比較的新しい路線であるのは事実だが、建設された1980~90年代はまだ「ホームドア」という概念がほとんど重要視されていなかった。そのため、ホームドアの設置が簡単にできるような設計もされていない。
したがって、1駅あたり数億円の資金が必要となり、現実的に実現が難しい状況となっている。今後も設置される見込みは薄い。