近鉄大阪線の日中の時間帯に走っている無料の優等列車は「急行」である。毎時3本運転されていて、ほぼ均等ダイヤで20分間隔で走っている。ただ、他の路線と比べると本数はやや少ない。
大阪市の中心部まで乗り入れる路線として、奈良線では快速急行と急行を合わせると毎時6本運転されている。
どうして、近鉄大阪線では急行が毎時3本しか運転されていないのか。そんな疑問を感じている人も、特に沿線に住んでいる人なら思っているかもしれない。
特急が主役のため?
近鉄大阪線といえば、名阪特急「アーバンライナー」や伊勢志摩方面の「しまかぜ」などの特急列車が走る路線である。
近鉄の場合はすべて乗車券のほかに特急券が必要となる有料列車となっている。全席指定席となっている。大阪線においても看板列車と呼ばれる存在となっている。つまり、主役というわけだ。
特急は日中のでも毎時3~4本運転されている。地域輸送を担っているのは間違いないが、長距離輸送を担っているのも確か。ダイヤは非常に複雑なものとなっているのは否定できない。
近鉄大阪線を走る列車種別は、特急・急行・区間準急・各駅停車の4種類がメインとなっている。オフピークでも1時間当たり合計で15本も走っていることから、線路容量はほぼ上限に近い状態といえる。
ここに急行をさらに増発しようとしても、実現するのは難しい。私鉄でよくある10分間隔での高頻度運転を行うのはかなり無理だといえる。
奈良県内より大阪府内の利用者が多い?
近鉄大阪線の場合、利用者が乗り降りする駅としては奈良県内よりも大阪府内の方が多い。大阪府東部と難波・上本町・鶴橋といった大阪市の中心部を移動する人の方が多い傾向にある。
地域輸送では、奈良県内~大阪というよりも大阪府内の移動手段という構図となっているといっても過言できない。
大阪府東部の駅を乗り降りする人が乗るのは各駅停車と区間準急がメインである。急行はあくまでも奈良県内まで足を延ばす人が中心。
これにより、ダイヤも各駅停車と区間準急の本数を多く設定している。利用者数の事情もまた、急行が20分間隔と少ない本数になっている理由となっている。
もし、仮に急行の本数を10分間隔で走らせるとなると、停車駅の数は多くなってしまうだろう。そうなれば、近鉄八尾や河内山本、高安などにも停車すると思われる。
結局は今のように20分間隔で停車駅を少ないままにして速達性を維持するのが、ユーザーにとっては便利だと考えられる。