JR京浜東北線の「快速」が廃止されるのではないかという憶測が飛んでいる。実際に利用者の中には快速はいらないという声も存在する。
この可能性がピークに達していたのは、2015年3月の上野東京ライン(東北縦貫線)の開業の時だろう。
上野→東京間で快速線ができたということで、所要時間の短縮化が必要でなくなったという見方が強まった。
しかし、結果的にはこれまでよりもさらに停車駅が多くなり、新たに御徒町駅と神田駅にも止まるようになった。
上野東京ライン区間はすべて各駅停車となった。とはいえ、それでも田端~上野と東京~浜松町間では引き続き通過運転を行っていて、その間の輸送は山手線が担っている。
なぜ快速運転を実施している?
京浜東北線でオフピークの時間帯の快速運転が始まったのは国鉄が民営化されてJR化された後のことである。1988年から田端~浜松町間の山手線との並走区間で通過駅が設けられた。
主な要因は山手線との分離運転である。かつては2路線ともこの区間では同じ線路を走っていた。
しかし、山手線の本数の増発が日中でも行われるようになったため、通勤ラッシュだけでなく昼間も別々の線路を走ることとなった。
京浜東北線では、これに加えて上野以北や品川以南からの乗客にとって便利なダイヤにすることや、上野東京ラインが存在しなかった上野→東京間の通過客向けとして快速運転が行われるようになった。
並走区間で緩行線=山手線、急行線=京浜東北線という役割に切り替えたことで、別々の役割を担うようになった。
廃止される可能性は?
しかし、2015年の上野東京ラインの開業によって速達性を求める乗客は一気に京浜東北線から上野東京ライン系統に移行した。とはいえ、快速運転そのものが廃止される可能性はゼロに近い。
東海道線・宇都宮線・高崎線・常磐線の線路には大きな駅にだけホームがある。小さな駅には停車しないため、所要時間が短い。
これにより、京浜東北線の快速運転の意味が薄れてきたのは確か。上野東京ライン区間では、各駅に止まるようになり、これまでは通過していた御徒町・神田の2駅も追加された。
しかし、それ以外の区間では依然として通過運転を行っている。理由は近郊路線が停車しない駅を乗り降りする乗客の利便性にある。
赤羽~田端間や品川~川崎間の駅を乗り降りする人を考えたダイヤに加え、山手線との分離運転を行うことで快速運転を行っている。これにより、今後も廃止される可能性は低いと思う。
京浜東北線に快速はいらないという意見
上野東京ラインという実質的な快速線が完成したことで、もう京浜東北線に快速はいらないという声もある。
このような意見は日中の時間帯に京浜東北線が止まらない駅を乗り降りする人に多い。特に日暮里駅、有楽町駅や新橋駅は乗降客数が多い駅だが通過運転を行っている。
例えば、日暮里駅は常磐線からの乗り換え客が東京駅方面へ行く際に多く利用する駅でもある。上野止まりが多い中で、乗り換えは駅自体がコンパクトな日暮里駅の方が便利。
これにより、京浜東北線が快速運転を行っている時間帯だと山手線しか乗れないため不便と感じる。
ただし、山手線も本数が少ないわけでは決してない。日中でも4~5分間隔で電車が走っている。高頻度運転なのは間違いなく、不便というわけではないのも確かだろう。