京浜東北線(大宮~横浜)において遅延が多く発生している原因について調査。
気になる主要な理由には3つ。並行線路の存在による混雑の激しさ・過密ダイヤ・他の線区の影響・駅構内の列車緊急停止ボタンの作動と安全確認などによる支障が特に挙げられる。
首都圏の中で遅延が発生する頻度は上位クラス。何らかの形で電車のダイヤが乱れることはよくあり、毎日必ずといっていいほどの多さ。
<最新の遅延情報(JR東日本公式ホームページ)>
目次
京浜東北線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
慢性的な混雑 | ★★★★ | 混雑による乗降時間の延長で電車が連鎖的に遅れる |
過密ダイヤ | ★★★★ | 朝の2,3分間隔の過密ダイヤ |
安全確認 | ★★★★★ | 駅構内の列車緊急停止ボタン作動とそれに伴う安全確認 |
営業キロ数 | ★★★★ | 路線距離が長く、駅数が多い |
並行線路の影響 | ★★★★★ | 並行する京浜東北線、埼京線のトラブルが影響 |
※これら以外にも車両・線路設備・電気系統の故障などがある |
京浜東北線で遅延や運転見合わせの原因となるのは、上の4つが当てはまる。
朝の遅れは主に混雑による点と、2,3分間隔で走る過密ダイヤによる点が多い。
乗降時間が延長しやすい駅として、南行は川口駅、上野駅、北行は大森駅、大井町駅。これらの駅での停車時間が長くなることが遅れ原因にまずなりやすい。
安全確認とは、駅構内の緊急停止非常ボタン作動、急病人救護、ドア挟まりによる対応が該当。京浜東北線は駅数が多いことでこれが起こりやすい。
そして、目立ちやすいのが並行線路の影響。全線を通して東北本線(宇都宮線・高崎線)、東海道線と並行。さらに品川~田端間は山手線と隣り合う。
これらのホーム上などで非常ボタンが作動すると、京浜東北線の電車も同時に止まってしまう。
他の路線の影響を受けるところも電車の遅れにつながる。
路線名 | 平日20日当たりの遅延日数 | ランク |
---|---|---|
山手線 | 16.0日 | 非常に多い |
宇都宮線 | 18.4日 | 非常に多い |
高崎線 | 18.4日 | 非常に多い |
上野東京ライン | ー | 非常に多い |
京浜東北線 | 17.4日 | 非常に多い |
南武線 | 7.7日 | かなり少ない |
東海道線 | 17.4日 | 非常に多い |
参考:【ランク別】首都圏の遅延が多い/少ない鉄道路線を一覧化
京浜東北線と関連のある路線については上記で解説。
慢性的な混雑
混雑が原因での遅延の詳細
- 京浜東北線:大井町→品川、川口→赤羽の超満員電車による乗降時間の延長
- 混雑率およそ180%という首都圏では上位の数値
京浜東北線の朝ラッシュはでも上位。
北行は大井町→品川、南行は川口→赤羽がそれぞれ最混雑区間。
これらの駅にて乗降のための停車時間が長くなることで、後続の電車に影響することがよくある。
停車駅での乗降時間が長くなって遅れの理由になりやすい。
参考:京浜東北線の混雑状況を調査! 朝ラッシュの乗車率はいくつ?
乗降時間の延長
朝ラッシュに当たる7~9時の京浜東北線は1日の中でも混雑のピーク。
混雑のため遅れる原因となっている駅が川口駅、赤羽駅、上野駅、品川駅、大井町駅など。
乗車人員が最も多くなるような部分に当たるため、乗客の乗り降りにどうしても時間を要する。
これが後続の電車の徐行運転につながって、しかもさらに後続列車へと連鎖反応することで、結果的に5分以上の遅れになる場合が見られる。
過密ダイヤ
京浜東北線の朝ラッシュの時間帯では2,3分間隔で電車が行き来する。
大規模な駅を中心に停車時間が1分と考えると、電車が停車駅のホームを出発してから1分以内には次の電車が入線する計算。
このような過密ダイヤの中で、前述の駅での乗降時間が長引いて停車時間が長くなると、後続列車は駅間で停止してしまう。
これが連鎖反応のように後続列車へ影響することで、路線全体の遅延へと発展する。
単なる乗り降りのための時間が長くなるだけであれば、遅れは5分以内にとどまる。
しかし、ドアの荷物の挟まり、オーバーランなどによる停止位置修正が合併すると、遅延は数分では収まらない。
このような異常発生によって10分以上になることが多くなる。
駅構内の緊急停止ボタン作動
駅構内の列車緊急停止ボタン(非常ボタン)の作動もよくある話。
線路への転落、電車と乗客の接触、荷物がドアに挟まったままの状態での電車の発車がよくなるパターン。。
そしてこれが、列車緊急停止ボタンの作動の直接的な理由になりやすい。
最近ではホームドア設置が進められているが、まだまだ解消されたというほどではない。
他線区の影響
京浜東北線こそは線路に他の路線の電車が走ることはない。根岸線があるが、実質的には京浜東北線の一部のような存在。
「根岸線=京浜東北線の延長線上」ということで、直通運転を行っているような性質は皆無。これが遅延に与える影響は大きくない。
しかし、並行する線路の路線の影響を受けやすい。山手線、東海道線、宇都宮線、高崎線が該当。
並行する京浜東北線、埼京線の影響
京浜東北線の並行線路
- 横浜~東京:東海道線
- 東京~大宮:宇都宮線・高崎線
- 品川~田端:山手線
全線を通して東海道線・宇都宮線・高崎線(上野東京ライン含む)と並行する。
そもそも京浜東北線は「東海道本線」および「東北本線」の複々線の緩行線(各駅停車)としての性質を持つ。
さらに、品川~田端の区間は山手線と線路が並行。
この区間にて隣り合う路線にて電車が緊急停止すると、京浜東北線の電車も同時にストップすることがある。特に山手線は対面ホームという性質上、システムが連動している。
駅構内にて山手線が緊急停止すると、京浜東北線の電車も緊急停止する場面がほとんど。
例えば、山手線の東京駅ホームで列車緊急停止ボタンが押されると、京浜東北線と山手線の電車にて非常ブレーキがかかる。
これによって、京浜東北線と同時に山手線の電車にも遅れが発生する。
線路内立ち入り、架線支障などでは東海道線・宇都宮線・高崎線が止まりと、同時に京浜東北線も止まってしまうことが見られる。
直接的に相互直通運転を行っているわけではないとはいえ、互いに影響し合う関係。これが遅延の原因にもなっている。
営業キロ数
路線距離が長い場合、途中で何かのトラブルが発生する確率が高くなる。
しかし、京浜東北線の営業キロ数は全長59.1 kmと近郊路線ほど長くはない。
ただし、全線各駅停車である性質を考えるとかなり長い。根岸線と合わせると81.2kmにもなり、やや長い道のりなのがわかる。
駅数も35駅あり、根岸線と合計すると46駅にものぼる。かなり多い数で、より駅構内での事故・事案に左右されやすい。
1列車が一度に入る距離が長くて停車駅がかなり多いことで、途中で何かのために遅れるリスクが上がる。
それほど影響はしていない要因
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
設備故障 | ★★ | 車両、線路、信号、電気系統などの故障。単独での頻度は低い。 |
人身事故 | ★ | ホームドア設置で人身事故は減少傾向。 |
悪天候 | ★★ | 強風、大雨などは遅延の原因として認識されやすいが、頻度は低い。 |
遅延の原因として認識されやすい内容として上記の内容もある。
しかし、いずれも遅延が起こりやすい主要理由と断定できない。
京浜東北線で遅延が発生しやすいとはいえ、上のような内容はあまり影響していなく、頻度も相当少ない。
設備故障
車両故障、ポイント動作不良・レール破断・架線支障・信号トラブル・電気系統トラブルなどの設備故障も電車が運転見合わせになる原因。
実際にこれらの要因で遅延が生じることがあり、快速線で起きることでも緩行線のダイヤの支障へと至るケースがよくある。
ただし、単独で見るとその頻度は決して多くはない。他の路線でも当たはまること。
直接的に設備故障が毎日のようにダイヤの乱れが生じる原因とは言えない。
ただし、一度このような故障が発生すると復旧には相当な時間がかかる。2、3時間は運転見合わせになり、大規模なダイヤの乱れとなってしまう。
人身事故
人身事故は駅構内でもあり得るが、踏切に起因することが目立つ。
電車と自動車・歩行者の衝突が起きる場所の典型的な原因。
京浜東北線もいくつか踏切が存在するが、他の路線と比べると少ない。
並行する宇都宮線・高崎線・東海道線の方がはるかに多い。
したがって、遅延の大きな理由とは判断できない。
まとめ
北は大宮、南は大船(根岸線)が終点の京浜東北線であるが、遅延が多いことではかなり有名である。
朝ラッシュ、日中の空いている時間帯であっても電車のダイヤが乱れたり遅れが生じたりすることはかなり頻繁に起きている路線。
田端~品川の山手線と並行して走る区間でも京浜東北線だけが止まっているという例が少なくない。
他の事案を例にすると、運転距離が長くて他の路線の電車と線路を共有する埼京線や湘南新宿ライン(東海道線・宇都宮線・高崎線)は、その独特の性質からダイヤが非常に乱れやすい。ほとんど毎日遅れが生じている。
京浜東北線については、everydayではないとはいえ、かなりの頻度で遅延や運転見合わせが起こる。
規模的には埼京線などには及ばないが、数分程度の遅れであればほぼ毎日といってもいい。
原因は長い距離?
京浜東北線は東海道本線・東北本線の緩行線という役割を果たす。
運転している距離は都心型の路線としてはかなり長い。埼玉から東京駅を経て横浜市南部まで縦断している一方、各駅停車の電車ということで駅間距離は短く、停車駅は多い。
駅が多いということは、人身事故が起こるスポットも多いということになる。
並行する東海道・東北本線上には大きな駅のホームしか存在せず、人身事故が起こる場所の数も少ないが、緩行線の方はそうではない。
事故までは起きなくても、駅ホームの非常ボタンが押されることがある。
安全上は絶対に欠かせない設備ではあるが、使われると電車が止まってしまうため遅延が発生するのは避けられない。
これに運転距離が長いという特色を加えると、ダイヤの乱れによる影響を受ける人は必然的に増加。
大宮駅付近でトラブルが起きれば、都心の東京駅、神奈川県の横浜駅にいる電車もその影響を受ける。
このため、運行情報に「京浜東北線=遅延」という文字が出てきてしまう。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
---|---|
JR東日本 | JR中央総武緩行線、JR宇都宮線、JR高崎線、JR中央線快速、JR横須賀線、JR総武線快速、JR埼京線、JR川越線、JR東海道線、JR京浜東北線・根岸線、JR山手線、JR常磐線快速、JR武蔵野線、JR京葉線、JR横浜線、JR南武線 |
東京メトロ | 千代田線、東西線、有楽町線、半蔵門線、南北線、丸ノ内線、副都心線、日比谷線、銀座線 |
都営地下鉄 | 都営三田線、都営浅草線、都営新宿線、都営大江戸線 |
京成電鉄 | 京成本線 |
東武鉄道 | 東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、東武東上線、東武野田線(アーバンパークライン) |
西武鉄道 | 西武池袋線、西武新宿線 |
京王電鉄 | 京王線、京王井の頭線 |
小田急電鉄 | 小田急線(小田原線・多摩線・江ノ島線) |
東急電鉄 | 東急東横線、東急目黒線、東急田園都市線、東急池上線、東急大井町線 |
京浜急行電鉄 | 京急本線 |
相模鉄道 | 相鉄本線 |
その他の私鉄 | つくばエクスプレス、東葉高速鉄道、北総鉄道、埼玉高速鉄道、東京臨海高速鉄道りんかい線 |