東京メトロ日比谷線で遅延が多い原因は2つ。混雑による乗降時間の延長、相互直通運転による影響がほとんど。
特に2つ目の他社線との乗り入れは電車が遅れる主要な理由になりやすい。
運転見合わせや運休になることは少ないものの、5~10分くらいの遅れが頻発する傾向にある。
東京メトロの各線の中では丸ノ内線や銀座線に次いで輸送障害が発生する確率が少ないのは確かである。それでもJR・私鉄各社と比べてば多く、都営地下鉄の各線と比較しても遅れが生じやすいのは否定できない。
<最新の遅延情報に関しては東京メトロ公式ホームページにて。>
目次
日比谷線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
慢性的な混雑 | ★★★★ | 輸送力が低いことによる混雑 |
相互直通運転 | ★★★★★ | 東武スカイツリーラインの影響を受ける |
東京メトロ日比谷線にて遅延の原因となる点として、上記2つが当てはまる。
日比谷線単独に起因する内容は、圧倒的に多いのは混雑によるもの。
途中駅での乗降時間の延長のため停車時間の超過でダイヤが若干乱れることがよくある。
相互直通運転による影響もかなり大きい。日比谷線は北千住駅を境に北側は東武スカイツリーライン(伊勢崎線)と相互乗り入れを実施。
約半数は直通列車のため、東武線内で運行障害などが生じると日比谷線の電車も同時に遅れる。
他にも駅構内の列車緊急停止ボタンが作動、ドア挟まりなどの対応。
ただし、運転見合わせこそは少ない。運行障害が生じて完全に電車の運行がストップする事例は稀。
慢性的な混雑
混雑が原因での遅延の詳細
- 日比谷線:三ノ輪→入谷の混雑率160%前後
- 7両編成と短い車両数
>>日比谷線の朝ラッシュの混雑状況を時間帯・区間ごとに調査!
東京メトロ丸ノ内線の朝ラッシュの混雑率は160%前後で毎年推移している。首都圏では首位ほどではなく標準的。
朝の混雑率こそは東京メトロ内では低い数値だが、東京23区内でも要所を結んでいることもあって、1日を通して利用者数が多い路線が日比谷線。
日比谷線は特に北千住から中目黒方面へ向かう電車が朝ラッシュで特に混雑する。
郊外から都心へ向けて移動する人達が日比谷線を利用しやすいため、北千住→霞ケ関付近まで満員電車が続く。
停車時間の超過につながりやすいのは主要駅。上野、秋葉原、茅場町、銀座、六本木で特に起こりやすい。
1駅でのタイムロスなら遅れるとはいってもせいぜい数十秒にとどまる。
ところが、複数の駅にて同じことが繰り返されると遅れが合算されて数分単位にまで拡大しやすい。
過密ダイヤ
過密ダイヤの影響もある。朝ラッシュの7、8時台は1時間当たり26本運転。概ね2~3分間隔のため、前を走る電車に追いついてしまって時刻表よりも遅れることがよくある。
日比谷線こそはすべて各駅停車ということで完全な「平行ダイヤ」ではある。
しかし、それでも途中駅での停車時間は各駅によって多少の違う。
小規模な駅では基本的に停車時間の超過は起こりにくい一方、主要駅では起こりやすい。
これによって、電車の運転が詰まってしまうところが発生して遅れへとつながる。
輸送力が小さい
日比谷線は東京メトロの中では輸送力が小さい。
車両数も1列車が7両編成ということで短い。日比谷線以外では10両編成が基本。
千代田線や半蔵門線などと比べると実質的に1本の電車の輸送力は7割にとどまる。
通勤ラッシュを中心に本数こそは多いものの、利用者数を考えると輸送力が不足していると判断できる。
なお、日比谷線が10両編成にはできない事情は建設された時代とその設計規格にある。
まだ需要が小さかった高度経済成長期が始まる前に建設規格が作られた。当時はまだ東京圏の人口も今より少なかったため、これで十分だとされていた。
ホーム有効長も7両編成(以前は8両編成・18m級の車両)に合わせて作られていて、今よりも伸ばすには大規模な工事が必要。コストなどを考えると現実的ではない。
相互直通運転による影響
東京メトロ日比谷線は東武スカイツリーライン(北千住~東武動物公園)と相互直通運転を実施。
特に遅れやすいのも東武線直通列車。相互直通運転があることで、実質的な路線距離が増大。
日比谷線では、直通列車の影響による遅延は中目黒方面の列車にて発生しやすい。
北千住駅発の電車は定刻通りに動いていても、東武線からの直通の方は遅れて到着する光景は日常茶飯事。
東武スカイツリーラインに起因する遅延
◎東武スカイツリーラインに起因する遅延
- 踏切関連の人身事故、緊急停止・安全確認
- 特急列車の遅れ
参考:東武スカイツリーラインで遅延が多い原因を調査! 主要な理由は3つ
東武スカイツリーラインに起因する遅延とは、踏切関連の人身事故、緊急停止と安全確認が主流。
東武東上線は北越谷駅以北にて地上平面を走る区間がほとんど。道路との交差部では踏切がほとんど。
自動車と列車の衝突による人身事故に加え、列車通過直前横断、線路内立ち入り、小動物との衝突などでの安全確認が遅延の原因となる。
また、特急列車の遅れにも影響されやすい。
追い越していく特急が遅れることで、待避中の日比谷線直通の電車が遅れる。東武線の特急列車は最長だと鬼怒川温泉駅発着のため、より遅延が生じやすい。
まとめ~遅延は少ない方に入る日比谷線だが
東京メトロの中でも日比谷線は遅延が少ない方に入る。
東京メトロは遅延の多さでは半蔵門線や千代田線がトップを走る。ほぼ毎日どこかの時間帯で5分以上の遅れが発生している。
それに比べて日比谷線、丸ノ内線、銀座線は毎日必ず遅れているわけではない。2,3分は遅れることは多いが、大規模な傷害となるようなケースは少ない。
東京メトロ各線の遅延の頻度
<遅延の多さ> | |
多い路線 | 少ない路線 |
半蔵門線 | 銀座線 |
千代田線 | 丸ノ内線 |
東西線 | 日比谷線 |
南北線 | |
有楽町線 | |
副都心線 |
遅れる路線の特徴
東京メトロの中で遅延が発生しる頻度が多い路線には次のような特徴が存在する。
- 他社線と相互直通運転を実施
- 乗り入れ先が長距離路線
- 混雑が首都圏でもトップクラス
日比谷線の場合は、他社線との乗り入れは東武スカイツリーラインとの相互直通運転があるため実施している。
北千住駅にて折り返しとなる電車も多く、路線距離が長いというわけではない。
混雑率も東京メトロの中では下の方に部類される。したがって、電車が遅れる原因になることも多いとは言えない。
東武線との直通運転はやはり遅れの原因に
それでも、日比谷線が定時運行に優れているかというと、決してそういうわけではない。
東武スカイツリーラインとの相互直通運転は遅れの原因となっているのは否定できない。埼玉県内の久喜駅(東武伊勢崎線)や南栗橋駅(東武日光線)までも走ることがある。
日比谷線を出入りする電車は東武スカイツリーラインでは各駅停車として走る。急行や準急などの通過駅のある優等列車として運転されることがない。
そのため、少しでも遅れが生じると終点に到着するまで遅れている状態が続く。遅延回復運転ができないからだ。
東武線への乗り入れは5分程度の遅れにはなりやすい。もちろん、東武線での人身事故や信号故障などのトラブルが発生すれば、日比谷線もその影響をダイレクトに受ける。
天候に左右される?
日比谷線は地下鉄であるのは確か。しかし、全線に渡って地下を走るわけではない。
北千住~南千住は地上を走る。隅田川を渡る橋があり、JR常磐線やつくばエクスプレス線と並行する。
中目黒駅も地上にある。東急東横線と同じように駅のホームは高架上にある。
地上区間を走ることから、大雪や強風などの天候の影響も受けるのは避けられない。距離はそれほど長いわけではないものの、悪天候になれば運転見合わせになる。
なお、東武スカイツリーラインが運転見合わせになった場合、日比谷線は基本的には北千住駅にて折り返し運転を行う。
日比谷線も全線で運転見合わせになるわけではない。しかし、それでも一時的な運転見合わせになることはあり、結果的に数十分の遅延になることが少なくない。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
---|---|
JR東日本 | JR中央総武緩行線、JR宇都宮線、JR高崎線、JR中央線快速、JR横須賀線、JR総武線快速、JR埼京線、JR川越線、JR東海道線、JR京浜東北線・根岸線、JR山手線、JR常磐線快速、JR武蔵野線、JR京葉線、JR横浜線、JR南武線 |
東京メトロ | 千代田線、東西線、有楽町線、半蔵門線、南北線、丸ノ内線、副都心線、日比谷線、銀座線 |
都営地下鉄 | 都営三田線、都営浅草線、都営新宿線、都営大江戸線 |
京成電鉄 | 京成本線 |
東武鉄道 | 東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、東武東上線、東武野田線(アーバンパークライン) |
西武鉄道 | 西武池袋線、西武新宿線 |
京王電鉄 | 京王線、京王井の頭線 |
小田急電鉄 | 小田急線(小田原線・多摩線・江ノ島線) |
東急電鉄 | 東急東横線、東急目黒線、東急田園都市線、東急池上線、東急大井町線 |
京浜急行電鉄 | 京急本線 |
相模鉄道 | 相鉄本線 |
その他の私鉄 | つくばエクスプレス、東葉高速鉄道、北総鉄道、埼玉高速鉄道、東京臨海高速鉄道りんかい線 |