東急田園都市線で遅延が多い原因を調査! 主要な理由は3つ

東急田園都市線

東急田園都市線で遅延が多い原因について調査。主要な要因は3つ。相互直通運転、混雑の激しさ、過密ダイヤがこの理由。

私鉄の中では首都圏の中でも標準的な頻度の路線。確かに完全な運転見合わせや運休こそは少ない。

しかし、朝ラッシュを中心に電車が5~10分程度は遅れることが決して珍しいことではない。

運転見合わせとなって列車の運行が完全にストップすることも頻発。


東急田園都市線の遅延の主な理由

遅延の原因 頻度 詳細な内容
慢性的な混雑 ★★★★★ 急行・準急に混雑が集中、乗降時間の延長
相互直通運転 ★★★★★ 東京メトロ半蔵門線・東武スカイツリーラインへの乗り入れ
過密ダイヤ ★★★★ 朝は平均2,3分間隔で運転、渋谷駅の構造上の問題

参照:鉄道の遅延の原因とは!? よくある事例の一覧

東急田園都市線にて遅延の原因となる点として、上記3つが当てはまる。基本的には東横線・大井町線と共通する内容。

まず挙げられるのが相互直通運転。東京メトロ半蔵門線・東武スカイツリーライン(伊勢崎線・日光線含む)との直通運転が主な理由。

次に慢性的な混雑。朝ラッシュを中心に急行・準急への乗客の集中で乗降時間の延長で遅れやすい。首都圏でも混雑率は200%近くの首位級。電車の乗り降りに支障が出るほどの混み具合。

過密ダイヤの要因もある。田園都市線は全線に渡って複線だが、急行・準急・各駅停車が走る。朝は2,3分間隔での運転になるため、どれか1つでも遅れると影響が増大する。

一方で人身事故や列車緊急による安全確認等が理由の遅れや運転見合わせは少ない。電車が完全にストップしてしまう運転見合わせや運休はあまりない。

直通運転による影響

相互直通運転

東急田園都市線は半蔵門線および東武スカイツリーラインと相互直通運転を実施。

2003年からは半蔵門線の水天宮前~押上間が延伸開業したことで、東武スカイツリーライン内とも乗り入れるようになった。

東武線・半蔵門線利用者を中心に一部の乗客によっては利便性が向上した反面、3社を通して遅延に弱くなったのは確か。

相互直通運転があることで、実質的な路線距離が増大。営業キロ数では、中央林間~久喜(東武伊勢崎線)で94.9km、中央林間~南栗橋(東武日光線)で98.6km。

約100km程度ということでJRの近郊路線並みの道のり。

これにより、田園都市線では他の路線のダイヤの動向に左右されるようになった。

東急田園都市線と相互直通運転する各路線の遅延の事情

  • 東京メトロ半蔵門線(渋谷~押上)
  • 東武スカイツリーライン(押上~久喜・南栗橋)

半蔵門線に起因する遅延

半蔵門線

◎半蔵門線に起因する遅延

  • 混雑による乗降時間の延長

東京メトロ半蔵門線に起因する遅延とは、混雑による乗降時間の延長が主流。

田園都市線とも重複する内容だが、半蔵門線内も通勤ラッシュの時間帯を中心に混雑しやすく、乗客の乗り降りに時間を要することがある。

ただし、それ以外には欠陥は特にはない。

架線支障、車両故障、信号トラブルなどがあるものの、頻度的には少ない。

地下鉄であって、踏切が存在せず、地上の天候にも左右されにくいため、電車の遅延の直接的な原因は少ない。

人身事故や安全確認の面でも、ホームドアが順次設置されているため、ほかの路線と比べても運行障害が起きにくくなっている。

東武スカイツリーラインに起因する遅延

東武スカイツリーライン

◎東武スカイツリーラインに起因する遅延

  • 踏切関連の人身事故、緊急停止・安全確認
  • 特急列車の遅れ

東武スカイツリーラインに起因する遅延とは、踏切関連の人身事故、緊急停止と安全確認が主流。

曳舟~北千住間と北越谷駅以北にて地上平面を走る区間がほとんど。道路との交差部では踏切がほとんど。

自動車と列車の衝突による人身事故に加え、列車通過直前横断、線路内立ち入り、小動物との衝突などでの安全確認が遅延の原因となる。

また、特急列車の遅れにも影響されやすい。

半蔵門線・田園都市線直通列車は途中駅にて後続の特急の通過待ちを行うことがあるが、そこで追い越していく特急が遅れることで、待避中の通勤電車が遅れる。

特急列車は最長だと鬼怒川温泉駅発着のため、より遅延が生じやすい。

ただし、頻度自体は首都圏では少ない。もっとひどい路線は他にたくさん存在するのは否定できない。

慢性的な混雑

田園都市線の朝ラッシュの混雑

混雑が原因での遅延の詳細

  • 東急田園都市線:池尻大橋→渋谷の混雑率190%前後
  • 急行・準急などが超満員

>>【朝ラッシュ】東急田園都市線の混雑状況を時間帯・区間ごとに調査!

東急田園都市線の朝ラッシュの混雑率は190%近くの数値を出している。首都圏では首位ほどではないが、都心直結路線ではトップクラス。

沿線の人口が急激に増加したことで、朝の通勤ラッシュが特に地獄の超満員電車となった。

その上、列車種別ごとの混雑差もある。

特定の列車種別の混雑に伴う乗降時間の延長により、路線全体の遅延へと結びつく。

急行・準急に集中混雑

朝ラッシュに当たる7~9時で田園都市線の列車種別で混雑するのは「準急」。

かつては「急行」も朝の時間帯で運転されていたものの、各停との混雑差があまりにも大きくて遅延が慢性化していたため、朝ラッシュの時間帯に限って渋谷~二子玉川間は各駅停車に停車する準急のみの運転となった。

それでも各駅停車は全線を通して停車駅が多いため所要時間が長くなる。これを敬遠する人たちが多い。

長津田駅、鷺沼駅、溝の口駅では緩急接続を行う。急行・準急と各駅停車が接続するが、ここで各停から優等列車へ乗り換える人が大量に発生。

ここでの停車時間が長くなって、電車の発車が遅れる。さらに、待避中の各駅停車の発車も遅れる。

これによって、東急田園都市線全体に遅延が生じる形につながる。

なお、急行が運転されている6時台から7時台前半の時間帯においてもすでに朝ラッシュの混雑は始まっている。急行の混雑はここでもすでに満員電車。

そして、ほぼすべての電車が半蔵門線内へも直通するため、半蔵門線や東武スカイツリーラインでの遅延の原因にもつながる。

過密ダイヤ

過密ダイヤ

東急田園都市線は過密ダイヤでもある。これも遅延の理由になるポイント。

朝のピーク時の本数は1時間当たり26本。単純計算で2,3分間隔での運行なのがわかる。

しかも、各駅停車に加えて通過駅のある急行または準急の2種類がある。

日中でもすでに比較的高密度運転となっているが、朝は特に本数が増発される。

少しの電車の遅れが問題を大きくしやすい。

線路容量が限界

田園都市線は渋谷~中央林間の全線で単なる複線。二子玉川~溝の口は複々線だが、1セットは大井町線専用のため、田園都市線単体として考えると複線にとどまる。

複線のところを各停と優等列車が走るため線路容量の限界に達している。定時運行の面では限界があると言わざるを得ない。

2,3分間隔で運転されている中で、乗降時間が長くかかることで停車時間が1分と考えると、後続の電車が接近してしまう計算になる。

乗降客数が多い主要駅では電車の渋滞が生じることもよくある。

通過駅のある列車であれば、途中の区間をいつもより少しスピードを出すことができ、最高速度で定速運転を行えばちょっとの遅れなら定刻で到着できるケースがある。

しかし、各駅停車は加速してはすぐに減速するという運転の繰り返し。

遅延回復には途中の駅で停車する時間を短くするしかないが、混雑する時間帯ではこれは不可能。

渋谷駅に起因する遅延

渋谷駅

朝ラッシュのピーク時に当たる7時台後半から9時までに渋谷駅に到着する電車の優等種別は「準急」ということで、二子玉川~渋谷間は平行ダイヤ。

混雑差は急行運転時間帯よりは起きにくく、遅延が生じにくいダイヤにはなっている。

しかし、遅延が渋谷駅に起因する問題がある。

渋谷駅では大量に降車し、半蔵門線直通列車は大量に乗車してくる。

乗降時間が田園都市線内のどの駅よりも長くかかる。

一方でホームは上り・下りそれぞれ1面ずつしかない。正確に言うと「1面2線」式。

1本の電車が停車中だと、後続の電車が入線できない構造のため、渋谷駅での乗り降りに時間を要してしまって電車の渋滞が起こる。

これによって田園都市線・半蔵門線の遅延へとつながり、ダイヤ不安定さの温床ともなっている。

なお、東横線・副都心線のホームは「2面4線」式。交互発着ができる構造で、田園都市線ホームよりも条件が良い。


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その他、各路線の遅延事情について

鉄道事業者 路線名
JR東日本 JR中央総武緩行線JR宇都宮線JR高崎線JR中央線快速JR横須賀線JR総武線快速JR埼京線JR川越線JR東海道線JR京浜東北線・根岸線JR山手線JR常磐線快速JR武蔵野線JR京葉線JR横浜線JR南武線
東京メトロ 千代田線東西線有楽町線半蔵門線南北線丸ノ内線副都心線日比谷線銀座線
都営地下鉄 都営三田線都営浅草線都営新宿線都営大江戸線
京成電鉄 京成本線
東武鉄道 東武伊勢崎線(スカイツリーライン)東武東上線東武野田線(アーバンパークライン)
西武鉄道 西武池袋線西武新宿線
京王電鉄 京王線京王井の頭線
小田急電鉄 小田急線(小田原線・多摩線・江ノ島線)
東急電鉄 東急東横線東急目黒線東急田園都市線東急池上線東急大井町線
京浜急行電鉄 京急本線
相模鉄道 相鉄本線
その他の私鉄 つくばエクスプレス東葉高速鉄道北総鉄道埼玉高速鉄道東京臨海高速鉄道りんかい線