京王線にて遅延が多い理由を調査。よくある主要な理由は4つ挙げられる。混雑の影響、踏切関連、相互直通運転、過密ダイヤなどによる内容がメイン。
完全に運転見合わせになることは少ないものの、5~10分程度の遅れがしばしばある。
首都圏の中では遅延の頻度は少ない。相互直通運転(都営新宿線)を実施しているものの、それ以外の私鉄との乗り入れがないことが好条件となっている。
なお、遅延扱いになるのは原則5分以上の遅れが生じた時だが、2,3分の遅れは完全によくあること。
目次
京王線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
慢性的な混雑 | ★★★★★ | 優等列車に集中した混雑 |
踏切関連 | ★★★★ | 踏切による人身事故、緊急停止等 |
過密ダイヤ | ★★★★★ | 朝の2,3分間隔の過密ダイヤ |
相互直通運転 | ★★★★ | 都営新宿線の遅延の影響を受ける |
京王線(新宿~京王八王子)で遅延や運転見合わせの原因となるのは、上の4つが当てはまる。
朝の遅れは特に平均して2,3分間隔で走る過密ダイヤによる点が多い。
京王線では特急・準特急、急行、区間急行、快速が走っているが、ほぼ全線に渡って複線。複々線区間が新宿~笹塚のみで、しかも片方は実質的に都営新宿線直通のための線路という性質のため、ちょっとした遅れがダイヤを乱すことがある。
相互直通運転の影響もある。都営新宿線内での遅れの影響が出やすいのは確か。
そのほかにも踏切や駅構内での人身事故、線路内立ち入り、緊急停止非常ボタン作動、急病人救護といった内容もある。
慢性的な混雑
混雑が原因での遅延の詳細
- 京王線:下高井戸→明大前の混雑率160~170%で推移
- 列車種別による偏りが大きく、特急・準特急・急行などが超満員
>>京王線の混雑のピークの時間帯はいつ!? 上り・下りそれぞれ調査
京王線の朝ラッシュの混雑率は160~170%程度で毎年推移している。
ただし、実際のところは列車種別によって大きく異なる。
各駅停車では比較的緩やかな一方、優等列車ではかなりの混雑になる。ドア付近に立っていると完全に乗客同士が接するほど。
朝の時間帯では準特急・急行・区間急行にて超満員電車になる。
準特急・急行・区間急行に集中混雑
朝ラッシュに当たる7~9時の場合で京王線でまず遅れが生じる列車種別は準特急・急行・区間急行のいずれか。
停車駅が少ない分、長距離利用者はこれらの列車に殺到。
各駅停車は停車駅が多くて所要時間が長くなるため敬遠する人が目立つ。
そして、準特急・急行・区間急行の停車駅にて乗降時間の延長して、電車の遅れへとつながる。
1つの駅のみであれば数十秒の遅れ程度に収まる。しかし、これは数駅続くと遅れは数分単位になる。
そんな状態ではちょっとした遅れでも路線全体に与える影響は増大しやすい。
過密ダイヤ
京王線の朝ラッシュの時間帯の7時台と8時台では1時間当たり25~30本の運転本数がある。2,3分間隔で電車が行き来する計算。
しかもすべて同じ列車種別の「平行ダイヤ」ではない。
運行本数が多いこと+速達列車が多くは知っていることは、過密ダイヤによる遅延の根拠にはなる。
優等列車が充実
朝の時間帯でも準特急・急行・区間急行、そして各駅停車の4種類の異なる停車駅を持つ列車が同一の線路を走っている。
完全に過密ダイヤで、どれか1つでも遅れる列車があると、あっという間に後続列車に遅れの影響が広がってしまう。
前を走る各駅停車に後続の優等列車が追いついてノロノロ運転になる光景はよく目立ち、この点では乗客自身でも何となく想像がつきやすい。
特に明大前駅では前を走る電車に追いついてしまって、後続の電車が手前で止まる光景はよくあること。
これは京王線の遅延の1つ目の理由。
主要駅での乗降時間の延長
また、主要駅での停車時間の延長も遅れの要因になりやすい。
明大前駅、千歳烏山駅などは特にホームの数が少ない。停車時間が1分と考えると、後続の電車が接近してしまう計算になる。
前述の通り、特に明大前駅では朝ラッシュを中心に電車の渋滞が起きる。
5分以上の遅れにつながることは少ないものの、さらにドア挟まりなどによる安全確認に時間がかかれば、5~10分くらいの遅延につながる。
全列車を各駅停車にして「平行ダイヤ」にすればこの問題は解消されるのではないかと考えている人も存在するが、京王線は距離が長いため、所要時間を考えると非現実的。
新宿~京王八王子・高尾山口間ではJR中央線と並行して競合する関係にある点から速達性も重視されている。
過密ダイヤとはいえ、優等列車の運転は必要不可欠。
相互直通運転
京王線の大半は新宿駅を起終点とする。全列車が相互直通運転を行う他の東急東横線や東急田園都市線などよりは影響を受けにくい。
しかし、一部の列車では都営地下鉄新宿線と相互直通運転を行っている。
新線新宿駅から都営新宿線の区間に入り、本八幡駅(千葉県)まで乗り入れる。
直通先に当たる都営新宿線でのトラブルの影響も下り列車を中心にある程度受ける。
都営新宿線に起因する遅延
◎都営新宿線に起因する遅延
- 混雑の影響
- 天候(荒川鉄橋の強風)
都営新宿線に起因する遅延とは、本八幡方面からやって来る電車の混雑によるもの、荒川鉄橋の強風による天候上の要因の2つ。
人身事故、安全確認、線路・車両等の故障なども理由となる場合があるが、これら2点は目立つ。
最も、後者の強風による影響で都営新宿線内に遅延が生じた場合は京王線でも徐行運転または運転見合わせになる。
踏切関連の運行障害
踏切は運転見合わせ、大幅な遅延をもたらす典型的な原因。
人身事故のような実際の交通事故に加え、列車通過直前横断、線路内立ち入りといった一般市民の行動に問題によって電車の緊急停止があり得る。
人身事故
人身事故が起きる場所としては主要ポイント。クルマなどの一般交通と電車が衝突する可能性も高い。
一度起こると運転再開までには3時間以上かかることはほとんど。復旧までに長い時間がかかり、ダイヤの乱れの度合いが大きい要因。
京王線では連続立体交差が完了した部分を中心に踏切の数が以前よりは減少しているものの、まだまだ多数存在する。
踏切関連の人身事故はまだゼロになる見込みはない。
緊急停止による安全確認
列車通過直前横断、線路内立ち入りなども踏切では起こりやすい。電車が緊急停止する箇所でもある。
運転士による目視判断の結果から踏切内の障害物検知センサーが作動して自動的に急ブレーキがかかる場合の2パターンがある。
踏切には周辺の人たちが緊急時に電車を停止させる「非常ボタン」が付いているが、これが作動しなくても障害物検知センサーが反応して電車が止まる仕組みにもなっている。
運転士が危険を見て急ブレーキをかけることもある。同じく緊急停止という形で電車が止まる。
一旦緊急停止すると、電車の運転再開までには5分程度はかかる。
しかも停車状態から加速しなければならないため、余計に電車が遅れる。
小規模ながらも電車が5~10分の遅延が生じる理由の1つ。
まとめ
京王線の遅れの原因としては、混雑の影響、踏切関連、相互直通運転、過密ダイヤ。
いずれも他の路線でもあり得る内容ではあるが、京王線はそもそもの利用者数が多いということで、一度以上が出ると被害を被る人数が多くなる。
ダイヤが慢性的に過密!
京王線の場合、沿線はほぼ100%開発されているといってよいレベルである。そのため、住宅街が広がっていて、鉄道を利用する人数も他の路線と比べてかなり多い。
当然ながら、利用者数が多ければ運行本数もそれに比例して増える。
需要があるのに供給が少なければ、満員電車となって駅での積み残しも日常的な風景と化してしまう。乗る人が多いため、他路線よりも多くなければならない。
京王線はまた、都心から郊外へと延びる路線であるという性質を持つため、遠距離ユーザーのことも重視しなければならない。
都心から遠いところに移動する人のために速達列車を用意しなければ、客足が減って鉄道会社としての収益性が悪くなってしまう。
そこで、各駅停車だけでなく特急・準特急・急行といった通過駅を持つ優等列車も走っている。
停車駅を絞って所要時間を短かくしているのだが、だからといって各駅停車の本数も近距離利用者のことを考えると削減することはできない。これにより、自然と運行本数は多くなる。
しかし、京王線の場合は新宿から笹塚にかけての複々線区間を除いてはすべて複線となっている。上下線それぞれ線路が1本しかない。
各駅停車と優等列車が同じ線路を走らなければならない環境となっているが、各停が少しでも遅れが生じると後続の優等列車もそれに追いついてしまって遅れが出る。
数十秒の遅れである例が多いが、これは利用者数そのものが多いということにより、停車駅での乗降時間が長くなりやすいために起こる。
ほとんど全線に渡って複線になっているため、種別に関係なく多くの列車に遅れが生じやすい状態になっているため、たった数十秒の遅れが5分、10分の遅延へと発展してしまう原因がここにある。
人身事故もかなり多い!
さらに、京王線では人身事故が発生しやすいのもまた悪い点である。地上を走るところが多いため、踏切の数もかなり多い。
踏切は一般交通と電車が交わるため、物理的に事故やトラブルが生じやすい場所となっている。
人身事故、つまり列車との衝突まではいかなくても、踏切内立ち往生による非常ボタンの作動により、電車がストップする原因となる。
首都圏の他の私鉄各線は、少なからず高架もしくは地下に線路が建設されているケースが多い。並行して走るJR中央線もほとんどが高架区間となっていて踏切があまりない。
京王線の場合は地上の地面を走っている区間が多い。一般交通と列車が走る線路が交わる踏切の数が多いために、人身事故が多発している原因であるのは間違いない。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
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JR東日本 | JR中央総武緩行線、JR宇都宮線、JR高崎線、JR中央線快速、JR横須賀線、JR総武線快速、JR埼京線、JR川越線、JR東海道線、JR京浜東北線・根岸線、JR山手線、JR常磐線快速、JR武蔵野線、JR京葉線、JR横浜線、JR南武線 |
東京メトロ | 千代田線、東西線、有楽町線、半蔵門線、南北線、丸ノ内線、副都心線、日比谷線、銀座線 |
都営地下鉄 | 都営三田線、都営浅草線、都営新宿線、都営大江戸線 |
京成電鉄 | 京成本線 |
東武鉄道 | 東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、東武東上線、東武野田線(アーバンパークライン) |
西武鉄道 | 西武池袋線、西武新宿線 |
京王電鉄 | 京王線、京王井の頭線 |
小田急電鉄 | 小田急線(小田原線・多摩線・江ノ島線) |
東急電鉄 | 東急東横線、東急目黒線、東急田園都市線、東急池上線、東急大井町線 |
京浜急行電鉄 | 京急本線 |
相模鉄道 | 相鉄本線 |
その他の私鉄 | つくばエクスプレス、東葉高速鉄道、北総鉄道、埼玉高速鉄道、東京臨海高速鉄道りんかい線 |