JR学研都市線(片町線)では転換クロスシートの近郊型車両が走っていない。他の路線を見ると、特に快速系の電車は225系・223系・221系が割り当てられている。ロングシートは各駅停車が多い。
しかし、学研都市線に限っては快速も区間快速もすべて321系または207系が割り当てられている。こちらは近距離輸送用の車両のためロングシートであり、転換クロスシートのものはない。
なぜ、このように近郊型車両の225系・223系・221系は運転されていないのか。他の路線で走っている快速と何が違うのか。
快速運転の距離が短い
学研都市線では、速達電車は朝と夕方以降は「快速」、日中の昼間の時間帯は「区間快速」となっている。
快速運転が行われるのは、前者は京橋~長尾まで、後者は京橋~四条畷までとなっている。都市間輸送というよりは、大阪市内と郊外のベッドタウンの移動手段という性質が強い。
快速も区間快速も、ほとんどの時間帯で1時間当たり4本運転されている。均等間隔であれば、15分間隔でやってくる。
京橋~長尾の所要時間は快速でも25分程度である。他の路線に比べると距離は短い。学研都市線自体の終点は奈良県の木津駅だが、そこまで行く人は少ない。
近距離輸送という性質が強いため、学研都市線で使われている車両も321系、207系となっているわけである。
阪奈間の輸送を担っているのは、学研都市線ではなくJR大和路線(関西本線)であるといえる。こちらは、「大和路快速」という列車が阪奈間を走っている。
阪奈間となると、距離が長くて所要時間も長いため、近郊型車両が使われている。転換クロスシートの221系が主力となっている。
JR東西線は4ドア車しかダメ
学研都市線の電車のほとんどはJR東西線を経由して尼崎駅、塚口駅まで乗り入れている。また、JR宝塚線へ直通する電車はさらに宝塚駅まで走る。
京橋駅から西側へ行く場合はすべてJR東西線へ乗り入れるのだが、このJR東西線では4ドア車にしか対応していない。
背景にあるのがホームドアの存在である。JR東西線の駅ホームにはホームドアが整備されている。
線路への転落防止柵があることで安全対策が行き届いているというメリットがあるが、車両のドアの位置が一様でなければならないという制約が発生する。
そのため、JR東西線及び学研都市線では3ドア車の225系・223系・221系では運転できない。現状では、設備上の関係からも321系と207系しか走らせられないというわけである。
直通先のJR宝塚線の「丹波路快速」がJR東西線に乗り入れない理由もこれにあたる。
丹波路快速は3ドア車で転換クロスシートの223系または225系で運転されるが、すべて大阪駅発着になっている。