近鉄けいはんな線で運転されている列車種別は各駅停車のみである。相互直通運転を行っている大阪市営地下鉄中央線も含めて、通過駅がある優等列車はまったくない。なぜ、急行や快速などが存在しないのか。
各停だけしかないということで、距離に対する所要時間は遅い。最高速度も95km/hということで、近鉄の中では遅い方に入る。
けいはんな線が開業したのは1986年、生駒~学研奈良登美ヶ丘間の延伸区間が開業したのは2006年のことである。私鉄各線の中では新しい方に入る。
近鉄奈良線のバイパス路線として建設された。高度経済成長期の時代、近鉄奈良線の沿線では住宅地の開発が急速に進んだ。これにより、鉄道利用者が増えて、輸送力が不足気味となっていた。
けいはんな線が完成したことで、奈良線の沿線の乗客の一部を迂回させ、混雑を緩和された。以前は大きな問題となっていた超満員の状態は結構解消はされた。
ただ、それでも近鉄奈良線の方が近鉄けいはんな線よりも所要時間の面では優勢となっている。奈良線では急行などの優等列車が充実している。
対するけいはんな線は、急行などは一切なく、すべて各停のみでまかなわれている。遅いという事実は否定できない。速達性という点では劣勢に立たされているといえる。
速達性は重視していない?
大阪難波~奈良間を走る近鉄奈良線は、距離も長いこともあって優等列車が充実している。有料列車の特急に加えて、無料で乗れる快速急行・急行・準急・区間準急が走っている。
けいはんな線は、単独では長田~学研奈良登美ヶ丘間の18.8kmと短い。長田~コスモスクエア間は地下鉄中央線の区間。
奈良線は地域輸送と同時に阪奈間の都市間輸送も担っている。けいはんな線の場合、役割は地域輸送がメインである。
生駒駅よりも西側は生駒山を通る新生駒トンネルに入る。生駒駅より西側は大阪府内となり、速達性はあまり重視されない。
そして、けいはんな線にも地下鉄中央線の区間にも、各駅停車を急行などの優等列車が追い抜かせる待避線のある駅がまったくない。
設備上からも各駅停車しか走らせられない環境。フラットなダイヤでしか運転できないため、けいはんな線では急行などは走っていない。