小田急のロマンスカーは遅いと感じたことはないだろうか。特急列車だが、スピードはあまり出さない。停車駅は確かに少ないものの、表定速度ではまったく速くない。他の鉄道会社の有料列車と比べると劣っている。
ロマンスカーの中でも一番速い特急「さがみ」号でも、新宿→小田原間で表定速度は69km/hとなっている。箱根湯本駅まで乗り入れる「はこね」号になると、64km/hまで落ちる。
並行するJR東海道線の湘南新宿ライン特別快速だと、新宿→小田原間では87.7kmの距離を74分で結んでいる。表定速度に換算すると71km/hになる。
小田急のロマンスカーよりも速いことになる。実際には、小田急線の方がJR線よりも距離が短いことから、所要時間も短い。しかし、それでも距離に対する所要時間の面では、JRの無料の電車の方が早い。
なぜロマンスカーは遅いのか?
小田急線の場合、そもそも最高速度が低めに設定されている。特急でさえ110km/hまでしか出せない。普通の電車とほとんど変わらないスピードとなっている。
さらに、ダイヤにも余裕がない。本厚木駅から都心側ではダイヤが慢性的に過密状態となっている。特急が高速走行できるほど運行間隔に余裕がなく、そうすると先行列車に追いついてしまうという問題がある。
複々線化事業がすすめられたものの、それが該当する区間はあくまでも登戸駅から代々木上原駅までの区間だけとなっている。それ以外は従来通り複線のままとなっていて、ダイヤに余裕はないのが現状。
ロマンスカーはあくまでも有料の贅沢な列車であり、地域輸送の面では通勤型の電車を需要に見合った本数を運転しなければならない。
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さらに、線形もあまり良いとは言えない。カーブが連続する区間が全体的に多い。
伊勢原駅から小田原にかけては山間部を走るため、急カーブが連続する。さらに、登戸から町田にかけての区間も多摩丘陵地帯を走るため、制限速度がかかるカーブがいくつもある。
特急列車は停車駅こそ少ないものの、制限速度がかかるカーブがあれば減速せざるを得ない。ここで速達性が薄れるのは間違いない。
そもそも速達化は重要視されていない?
小田急のロマンスカーの場合、特急列車であることには変わりないものの、速達性はそれほど大きく重要視されていないという側面もあるようだ。
他の鉄道会社の場合、特急は所要時間の短さが最大の売りとなっている。普通の電車よりもスピードを出し、なおかつ停車駅を少なくさせることで、有料列車とそうではない電車の差別化を図っている。
特にJRや京成、東武などではこの傾向が強い。「特急=所要時間の短さ」がセールスポイントとなっている。
一方、小田急では観光列車という性質が強い。疲れることなく快適に箱根などの観光地へ行き来できる列車こそロマンスカーのようだ。
夕方に走るホームウェイ号でも、「確実に座れる列車」という性質が大きい。優先順位として、速達性はその次に入る要素と考えられる。